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第8話 スケルトン

俺は立ち上がって壇上から降りる。するとハルカが声をかけてきた。


「モンスターでしょうか?」


「どうだろうな、お前ら武器持っていけよ」


俺は眷属達と共に外に出る。


「おいおい、なんだよこれ」


体育館の外に出ると、そこには溢れんばかりのスケルトン達がいた。

スケルトン達は俺達を見つけると走って襲いかかってきた。


「応戦しろ!!」


「「「はい!!」」」「ギギ!」


不幸中の幸いか、スケルトン達は何の武器も持ってないただの骸骨だ。


俺は襲いかかってきたスケルトンに鉄パイプを振り下ろして頭を砕く。

スケルトンは消えて無くなるが、何故かMP獲得のポップアップが出現しない。

また襲いかかってきたスケルトン達をいくつも薙ぎ倒すが、同じように出現しなかった。


スケルトン達を倒していっている眷属達にも声をかける。


「お前らMP獲得のポップアップ出てきたか!」


「! そういえば出てないですー!」


「そうか!」


俺は自身の影にいつもよりも多く魔力を注ぎ込む。

そしてゾロゾロと影小鬼が這い出てきた、20近くはいる。


「スケルトンを倒せ!」


そう命令すると、影小鬼達はスケルトンの群れに襲いかかる。影小鬼のほうが強いようで、殴ったり噛みついたりして順調に倒していっている。


「ここは任せたぞ!油断せずお互いのサポートを忘れるな!」


「「「はい!!」」」「ギギャ!!」


返事を聞いた俺は翼を大きく羽ばたかせ飛び上がった。

おそらくはこのスケルトンを生み出している元凶がどこかにいるはずだ。


学校の屋上よりも高く飛ぶと、少し離れた大通りのど真ん中に見慣れない黒い大樹が生えてるのが見えた。


その大樹付近にはスケルトンが大量にいる。様子を見ていると、大樹の枝から白い実が落ちて、そこからスケルトンが生み出ているのが見えた。


「あれか…」


俺は大樹に近付き、上空で炎を魔力でコーティングして球体に仕上げていく。ゴブリン達を焼き尽くしたときの同じやり方だ。

炎の球体は次第に大きくなっていく。


(おそらくコーティングの魔力を増やせば、より燃え広がるはず)


俺はさらに魔力を注ぎ込み、球体を凝縮させた。

そしてスケルトンを生み出している大樹めがけて投げ放つ。


「焼き尽くせ…!」


ゴウッ!!


巨大な火球が一直線に落ち、大樹へと直撃した。


ボォォォォッ!!


大樹は爆発するように燃え上がり、白い実が次々と炭になる。スケルトンたちも次第に動きを止めていった。


俺は上空から様子を見守る。

しばらくすると大樹は完全に燃え尽き、スケルトンの群れも全て崩れ落ちた。

そして大樹は光に包まれる。


「終わったか」


俺は光に包まれている大樹の元へ降りる。

するとポップアップが出現した。


〔MP +5000〕


「ご、5000?? 弱かったわりには随分うまいな」


やがて光が収まったのでドロップ品が無いか見てるみると、そこには両刃の斧刄に、黒い大樹の太い根っこが複雑に巻き付いている大きい戦斧があった。


俺は戦斧を拾って軽く振るが、重量があり、少し腕に疲労を感じる程だった。

ただこの重量から放たれる一撃は計り知れないものになるだろう、良い拾いものだ。


「よし、戻るか」


俺は体育館へ戻るために翼を広げ羽ばたいた。



《体育館》


俺が体育館近くにいた眷属達の元に降り立つと、眷属達が駆け寄ってきた。


「ヒロキ様!お疲れ様です!」


「ああ、問題はなかったか?」


「はい!あ、いや、ここにいる全員1800MPを獲得しましたね」


「ほう、お前達も手に入れたのか」


俺は腕を組み、考え込んだ。スケルトンたちは武器も持っていなかったし、個々の強さも大したことはなかった。

だがこれだけのMPを得られたということは、やはりあの黒い大樹がボス級の存在だったのか。

というかスケルトンを生み出す実がなる木って何なんだ。


「しかし、あんな樹が毎晩生えてきたら、たまったものじゃないな」


「ヒロキ様、もしかしたらまた別の場所にも生えてくるかもしれませんね」


「ああ、やはりここじゃ守りが弱いな…」


モンスターが出現する仕組みはまだよく分かっていない。

あの大樹がまたどこかに生えて、新たなスケルトンを生み出す可能性は高い。


とは言ってもあれぐらいだったら全然対応できる、何ならボーナスステージと言っても良い。

だが眠る時間が削がれるのはいただけない。


「まあ考えても仕方ないな。今は休め。夜はまだ長い」


「了解しました!」


眷属たちはそれぞれ戻っていく。俺は戦斧を片手に持ち上げ、もう一度じっくりと観察した。


(なんか、根が動いているな)


斧刃に絡みついた黒い根が、まるで生きているかのようにわずかに蠢いている気がする。

何か特殊な効果でもあるのだろうか?


「…ふむ、明日試してみるか」


そう決めると、俺は体育館の壇上に戻り、再び横になった。

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