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第3話 種族

「ハァハァ…さ、さすがに疲れたな」


ゴブリンの集団を倒しきった俺は座り込んだ。

まさか増援が増援をさらに呼ぶとは思ってもおらず、最終的には50体以上は倒した気がする。


辺りにはゴブリンのドロップした薄い紫色のクリスタルのような石、魔晶石が散らばっており、拾うのが中々に面倒くさい。


「はぁ…拾うか。何に使えるのかは知らないが」


俺はため息をついて拾い始めた。


若干周りを警戒しながら魔晶石を拾い、俺は考える。

あの中二病じみた思考回路は何だ?普通に恥ずかしい。


「戦いに歓喜とか…いつの間にそんなキャラになったんだ?俺」


魔晶石を拾いながら冷静になった俺は、先ほどの自分の言動を振り返って恥ずかしくなった。

ゴブリンを蹂躙しながら笑みを浮かべるとか、まるで悪役じゃないか。


「…いや、悪魔になっちまったし、間違っちゃいないのか?」


そう考えると、あの興奮も、戦いの愉悦も、この種族特有のものなのかもしれない。

俺は人間じゃなくなったんだ。

今までの常識が通用しないのも当然かもしれない、だが気をつけるとしよう。恥ずかしいし。


「それはそれとして、拾うのめんどくさいな…」


散らばった魔晶石を一つずつ拾うのは中々に骨が折れる。

しばらく経って全部回収したところで、戦利品を確認する。


〔魔晶石(極小): 61〕


「数は多いが、サイズは小さいな。これ何に使えるんだ?」


試しにショップを開いてみると

〔魔晶石(極小)1つにつき、MP 10と交換可能〕という項目が追加されていた。


「ってことは…」


魔晶石61個 →MP 610

そしてゴブリンからの獲得MPを含めて


〔所持MP 1133〕


「ふむ、元は取れたな。レベル上げるか?」


俺はメニューを開きステータスを選択する。


ーーーーーーーー

〔Lv.1〕次のレベルまで500MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:悪魔〕

〔攻撃:F−〕〔防御:G+〕〔俊敏:G〕〔魔法:F〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約]

〔スキル〕

[火魔法Lv.1]

ーーーーーーーー


レベルをタッチすると、選択画面が表示された。


〔500MPを消費してレベルを上げますか?〕

〔はい〕〔いいえ〕


俺が〔はい〕を選択すると、無事レベルが上がった。


ーーーーーーーー

〔Lv.2〕次のレベルまで800MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:悪魔〕

〔攻撃:F〕〔防御:F−〕〔俊敏:G〕〔魔法:F+〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約]

〔スキル〕

[火魔法Lv.1]

ーーーーーーーー


ふむ、攻撃,防御,魔法が上がって俊敏は変化無しか。

そこまで目立った変化はないが、悪くはないな。


「それじゃあ、いい加減学校へ向かうか」


俺は学校へ向けて歩き出した。




「ぐぎゃっ…」〔MP +13〕


「まったく…これで何匹目だ?」


襲いかかってきたゴブリンに棍棒を振り下ろして倒す。

俺は倒したゴブリンの魔晶石を回収しながら、周囲を見渡した。


先ほどから小規模な集団に何度も遭遇している。

学校の近くに巣を作っているか、それともすでに学校を占拠しているのかもしれない。


まぁ戦いながらMPを稼ぎ、レベルを上げられるなら悪い話ではないが。


すると、学校の正門が見えてきた。


「まぁ…そうだよな」


開かれている校門の先の校庭には、大量のゴブリンがたむろしていた。

建物の窓は割れ、体育館の入口にはバリケードの残骸が転がっている。


どうやらここは避難所として使われていたらしいが、今は完全にゴブリンの縄張りになっているようだ。


「これはちょっとした戦争になりそうだな」


目視できるだけで三十匹以上、中にも当然いるだろうな。

そして先ほどまで見かけていたゴブリンの他に、やけに体格が良いゴブリンも混じっている。

おそらくはゴブリンの成長した個体だろう。


「ふむ、どうしたものか」


もちろん退くという選択肢もあるが、俺にはもうゴブリンたちが魅力的なMPにしか見えない。

外壁に身を隠して行動に移す。


俺は右手で炎を少しずつ出し、左手から魔力を放出して炎を魔力で包みこんで球体にしていく。

感覚的には泥団子や雪玉を作る感覚に近い。

俺はどんどん炎の球体を巨大化させていき、次第にはバランスボールほどの大きさとなった。


俺は巨大な炎を維持したまま、校門を通過して巨大な炎を上空へ浮かべる。


「ぎゃっ!ぎゃっ!」


「ぐぎゃぎゃ!!」


何体かのゴブリンが俺に気がついたが、もう遅い。

俺は巨大な炎を群がっているゴブリン達へ放った。

巨大な炎は逃げ惑うゴブリン達へ直撃する、そして地面に着弾すると炎が広範囲にばら撒かれた。


形を保つためにコーティングされていた魔力が着弾と共に崩れたことで、中に収まっていた炎が溢れ出したのだろう。

そして溢れ出た炎が膜の役目を終えた魔力に触れたことで、より一層威力が増す。


「中々の威力だ。やはり魔力操作の練習を積極的にやった方が良さそうだな。

思っていたよりも魔法の自由度が高い」


〔MP +16〕〔MP +30〕〔MP +23〕……


MP獲得のポップアップが次々と表示されていく。上手く大量に倒せたみたいだな。


すると室内にいたゴブリン達が騒ぎを聞きつけ飛び出してきた。


「お、出てきたな」


俺はニヤリと笑う。

室内にいたゴブリンたちは俺の炎に驚きながらも、すぐに状況を理解したのか武器を手にしてこちらへ向かってくる。

刃こぼれしたナイフや棍棒、さらには鉄パイプを持っている奴もいる。


「ほう、鉄パイプか。俺も試してみるか」


俺は地面に落ちていた鉄パイプを拾い、軽く振ってバランスを確かめる。

うん、悪くない。棍棒よりもリーチがあるし、何より鉄製だ。


ゴブリンたちは数の暴力で押し寄せてくるが、俺は落ち着いていた。


「さぁて、始めるか」


俺は前に出ると、一匹目のゴブリンの攻撃を避けながら鉄パイプを振り下ろす。


「ぎゃっ!」


鈍い音と共にゴブリンの頭が割れ、即死。

続けざまに近寄ってきたゴブリンに横薙ぎの一撃を叩き込む。パイプはそのまま二匹目の胴体を砕いた。

そして怯んだゴブリンを蹴り飛ばす。


「結構使えるな」


さらに三匹目が襲いかかってくる。今度はナイフを持っているゴブリンだ。

俺はバックステップで間合いを取り、カウンター気味に鉄パイプを振る。

ゴブリンの首が変な方向に折れ、そのまま崩れ落ちた。


「グォォォオオ!!」


体格が良いゴブリンがやってきた、名前はホブゴブリンとしようか。


「ホブゴブリン…まぁどうでもいいか」


俺は鉄パイプを軽く振りながら、ホブゴブリンと距離を取る。

普通のゴブリンよりも二回りは大きく、筋肉のつき方も明らかに違う。武器はボロボロの鉄剣だが、間違いなく今までの雑魚とは違うだろう。


ホブゴブリンは低く唸りながら剣を構え、一気に距離を詰めてきた。


俺は咄嗟に横へステップし、振り下ろされた鉄剣を回避。

振り下ろされた鉄剣が地面を砕く。


「パワーもなかなか」


俺は鉄パイプを構え直す。ホブゴブリンはすぐさま剣を引き抜き、次の一撃を繰り出そうとする。


俺は鉄パイプを振り上げるのと同時に、強く踏み込む。


ドンッ!!


地面を蹴り、瞬時に間合いを詰める。

驚くホブゴブリンの目の前に飛び込み、鉄パイプをフルスイング。

鈍い音が響き、ホブゴブリンの側頭部が大きく歪む。

その衝撃でバランスを崩したホブゴブリンが、よろめきながら後退した。


「効いたが、死にはしないか。頑丈だな」


ホブゴブリンは苦しげに呻きながらも、まだ立っている。だが、頭蓋にダメージが蓄積しているのは明らかだった。


俺は再び鉄パイプを構え、今度は思い切り振り抜いた。


バキィ!!


鉄パイプがホブゴブリンの首を捉え、鈍い音と共にその巨体が崩れ落ちる。


「グゥ…ゴフゥ…」


ホブゴブリンは苦しげにのたうち回ったが、次第に動かなくなり、やがて光に包まれ消滅した。


〔MP +80〕


「ふぅ…さすがにタフだったな」


そうして俺は残りのゴブリン達を片付けていった。






「ん~~…なかなか多かったな」


俺はストレッチをしながら辺りを見渡す。

あのホブゴブリンがここで一番強かったのか、あれ以上に強いのは出てこなかった。

ただ数だけは多かったので、ひたすら作業感があった。


「さて、と」


俺は軽くため息をつく。辺りにはゴブリンがドロップしたものが散らばっていた。


「拾いますか…」


軽くうんざりとしながら拾い出した。

魔晶石を次々と拾っていくと、分厚い本が落ちていた。


「本?なんだこれ」


本を拾うと、頭にスキルの情報が流れ込んできた。

俺は驚いて思わず本を離して落としてしまう。


「び、ビックリした…なんだこれは」


俺は再度本を拾い直す。

それは"影の小鬼"というスキルで、魔力を消費して自身の影から小鬼を生み出し自由に命令ができるスキルだった。

一応時間経過で消えてしまうらしいが、十分使えるスキルだろう。


「えーっと、どうすれば使えるんだ?」


〔スキルの書を使用しますか?〕

〔はい〕〔いいえ〕


「…こういう感じか。てかスキルの書って言うんだな」


俺は〔はい〕を選択する。


〔影の小鬼のスキルを獲得しました〕


その瞬間、このスキルの使い方を完全に理解した。

まるで生まれた頃から使っていたかのように、俺の中の常識として記憶に刻まれた。


「気持ち悪い感覚だな…さて」


俺は魔晶石拾いを再開しようとするが、良い機会だ。影の小鬼を使っておくとしよう。


自身の影に魔力を送り込むと、影から黒い手がいくつも飛び出し、小鬼達が這い出てきた。

その小鬼達は真っ黒で人型、頭には一本の角があり、瞳がありそうなとこは赤く光っている。


「辺りに散らばってる魔晶石を拾って集めてこい」


そう命令すると、小鬼達は走り出して魔晶石を俺の目の前に集めていく。

そして数分で全て集め終わった。


「便利だなぁ。ああ、帰っていいぞ」


そう言うと小鬼達は俺の影に飛び込んで消えていった。すると生み出す際に消費した魔力も回復した、圧倒的便利だ。

俺は目の前に集まった魔晶石を次々とアイテムボックスに入れていく。集まっていると効率が段違いだな。


〔魔晶石(極小): 85〕


魔晶石をアイテムボックスに入れ終わると、俺は早速魔晶石をMPへ変換した。

そして現在のMPの合計がこれだ。


〔所持MP 3386〕


「うますぎるだろ」


ここにいたゴブリン達はある程度成長していたようで、一匹辺り15〜30ほどのMPを獲得できた。

そして前回のあまりとここに来る道中に倒した分も入れてこの数字、美味すぎる。


「レベル上げちゃおうかな」


俺はステータスを開く。


ーーーーーーーー

〔Lv.2〕次のレベルまで800MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:悪魔〕

〔攻撃:F〕〔防御:F−〕〔俊敏:G〕〔魔法:F+〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約]

〔スキル〕

[火魔法Lv.2][影の小鬼Lv.1]

ーーーーーーーー


「お、火魔法がレベル2になってる」


何が変わったのかは分からないが、まぁ強くなったんだろう。


〔800MPを消費してレベルを上げますか?〕

〔はい〕〔いいえ〕


俺は〔はい〕を選択する。


ーーーーーーーー

〔Lv.3〕次のレベルまで1400MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:悪魔〕

〔攻撃:F+〕〔防御:F〕〔俊敏:G+〕〔魔法:F+〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約]

〔スキル〕

[火魔法Lv.2][影の小鬼Lv.1]

ーーーーーーーー


もう一回上げれるな。上げちゃおうか。


〔1400MPを消費してレベルを上げますか?〕

〔はい〕〔いいえ〕


また〔はい〕を選択する。


ーーーーーーーー

〔Lv.4〕次のレベルまで2000MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:悪魔〕

〔攻撃:F+〕〔防御:F+〕〔俊敏:F−〕〔魔法:E−〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約]

〔スキル〕

[火魔法Lv.2][影の小鬼Lv.1]

ーーーーーーーー

〔所持MP 1186〕


「着実に強くなっていってるな。てか次2000か…」


なかなかMPの消費がえげつないな。

さて、そろそろ校内探索でもするかな。拠点になりそうだと良いが。

ゴブリン達が汚していないことを願うばかりだ。

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