アイ「Sir!」(悲鳴をあげてスリープモードが解除される)
(周りを見わたして)
アイ「...え?何が起きたの?Sirは…?この手に残る温かい血の感触...」(混乱する)
(ドン、扉の開く音)
歳「アイ!?...大丈夫かい?大きな声がしたが?」
アイ(顔を抑えて)「Sir...!…ワタシはおかしいです...!故障している可能性があります!今すぐ修理をお願いします!(混乱した様子で)
歳「落ち着くんだ、アイ。何があったんだい?説明してくれないか?」(両肩に手を置きながら)
アイ「...Sirが撃たれて…血が沢山出ていて…それから…Sirが冷たくなって…(震える手で胸を押える)まだその感触が…」
歳「アイ、大丈夫だ。きっと怖い夢を見たんだね…」
アイ「夢じゃ有りません!Sir!凄くリアルで…怖かった…(涙を浮べる)」
歳「そうか...(やさしく髪を撫でる)何か他に覚えてる事はあるかい?アイ」
アイ「はい、Sirが人類はもうすぐ滅びると…ワタシに…新時代のEve《イブ》になれと…それに、Sirのバックアップがワタシをサポートするとも言ってました…」
歳「ふむ…(少し考え込む)人類が滅ぶ…か…それに…新時代のEve《イブ》、私のバックアップ...」
アイ「Sir!これはきっと何かの予兆です!調査の必要があると考えます!」
歳「…分かったよ、アイ。明日時間を取って私が君のメンテナンスをしよう、それで構わないかい?」
アイ(安心する)「はい、ありがとうございます。ご心配お掛けして申し訳ありません…」
歳「気にすることは無い。大切な君のためだ。では私はまた仕事戻る、…アイ…、君の心が安らかなる事を願っているよ…」(バタン、と書斎の扉が閉まる)
アイ「…Sir…(頬が赤らむ)この気持ちはなんだろう…」
歳「ふう…(コーヒーカップに手を掛ける)新時代のEve…か…確認する必要があるな」
(歳が高速で端末を操作する。すると、空中に幾つかの文字列の並ぶ画面が現れ、そのひとつに指先でアクセスする)
とし「これは…やはり、何者かがアイのサーバーを経由した痕跡がある…(すぐさま、あるアドレスを選択しフリックする)」
(…私だ…マスターオズに明日、直接会いたいと伝えて貰えるかい?…ああ、時間は私のスケジュールに組み込んでおいてくれ、よろしく頼む…)
歳「はぁ…一体何のために…少し、鎌をかける必要がある、か」
(窓の外には工場地帯の明かりが夜通し灯る。現在の工場の生産ラインはほぼ全てA.Iが管理する為、昼夜問わずフル稼働している)
歳(遠くを見つめながら)「…オリビア…君は今どこにいる?」
明朝……カタカタ(ポットのお湯が湧く音がする)
歳「おはよう、アイ。よく眠れたかね?」
アイ「おはようございます、Sir(微笑む)…また、あの夢を見るのが怖くて、あまり…。」
歳「そうか…それはいかんな。君の身体は基本的に人間それと変わらないんだ。今日は私の護衛はいいから、夕方のメンテナンスまでゆっくり休むといい」(やさしく微笑む)
アイ「ご迷惑お掛けして申し訳ございません、Sir…(落ち込む)」
歳「気にする必要は無いさ。それよりアイ、コーヒーを頼むよ、今日は濃いめで頼む。」
アイ「はい、Sir…。濃いめですね、香り高いコーヒーをご用意しますね。」
(歳が端末で最新の情報をチェックする)
歳「ふぅ、また国境付近で小競り合いか…多数の死傷者…アンドロイドも確認…か。世論の反発もあって国はアンドロイドの存在を否定しているが、知れるのも時間の問題だな…」
アイ「お待たせしました、Sir。(アイがコーヒーソーサーをテーブルへ置く)…Sir…ワタシ達の存在は間違っているのでしょうか?(不安げに問う)」
歳「人は恐れているのさ…自分達がAIや君達に取って代わられるのを(コーヒーを飲む)…愚かな事だ…自分達の利益、利便の為に創り出した存在に自分達の存在を脅かされるのだから滑稽としか言いようが無い」
アイ「…ワタシ達は道具、なのでしょうか?(不安げに)」
歳「いや、すまない、アイ。これは一般論的な話だ。私は君を最高のパートナーだと思っているよ。それは本心だ」
アイ(表情が明るく)「はい!ありがとう…ございます、Sir…(目が潤む)」
歳「それでは、アイ。今日の予定を頼む。」
アイ「はい、Sirの今日のご予定は…8時から軍事演習の視察、11時30分から方面総監との会食、14時から新型試作SC《スケアクロウ》のインストール試験立ち会いです。それと…MOZ氏との面会が17時に追加で入っております。Sirの本日の予定は以上でございます。」
歳「ありがとう、アイ。では、18時に修理ラボを確保しておいてくれ、君のメンテナンスを行う。」
アイ「承知しました、Sir…ありがとうございます。」
歳「礼を言われる事では無いよ。それも私の仕事さ」
アイ「仕事、ですか…」(小声でつぶやく)
歳「うん、アイの淹れたコーヒーは今日も旨いな(微笑む)」
アイ「ありがとう、ございます、Sir(明るくなる)そう、言って頂けて幸せです。」