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第七話(序章最終話):精霊の守護者! ギャベルの決意


 エルフ王国オルベリアの王城に響く静寂。

 俺、トーリ=オニギス(オルバ)は、ギャベル=ロルド=オルベリアと向かい合っていた。


「……私の側に立って、この国を守ってほしい」


 彼女の言葉には強い決意が込められていた。

 しかし、その背後には微かに迷いも感じ取れた。


「分かった。俺たちも協力する」


 その言葉を口にした瞬間、ギャベルの瞳がわずかに揺れた。



 ギャベルはエルフ王国の現状を詳しく説明し始めた。


「ここ最近、魔族の動きが活発になっている。特に、《漆黒の牙》と呼ばれる軍勢が、私たちの森の結界を破ろうとしているのよ」

「《漆黒の牙》……か」


 エレンが眉をひそめる。


「知ってるのか?」


 俺が尋ねると、エレンは頷いた。


「魔族の中でも精鋭部隊とされる存在さ。彼らは戦闘能力だけでなく、呪術や特殊な魔法を駆使することで知られている」

「その通り。彼らの狙いは、エルフの精霊の力を奪い、魔族の勢力を拡大することにある」


 ギャベルの表情は厳しかった。


「だからこそ、私たちは戦わなければならない……!」

「ふふ、面白くなってきたわね」


 オーレリアが唇を舐めながら言う。


「でも、ギャベル。あなたは本当に、戦う覚悟ができているの?」

「……?」

「エルフたちは基本的に平和を重んじる種族よね。あなたは王女として、それを貫くべきじゃないの?」


 オーレリアの言葉に、ギャベルの表情がわずかに揺れる。


 しかし——


「……それでも、私は戦う」


 ギャベルは静かに、しかし力強く言い切った。


「私はこの国の王女。民を守るためならば、どんな苦しみも受け入れる」

「……フッ、いいわね。その覚悟、見せてもらうわ」



 会議が終わり、俺たちは城の外へと出た。

 エルフの兵士たちが森の防衛を固め、緊張感が漂っている。


「奴らはいつ来るか分からない。警戒を怠るな」


 ギャベルが兵士たちに指示を出す。

 彼女の姿は、まさに王女としての威厳に満ちていた。


 しかし——


 ゴゴゴゴゴ……!

 突如、森の奥から異様な気配が漂ってきた。


「来た……!」


 俺はすぐに剣を構える。


「数は……20体ほどか」


 エレンが冷静に分析する。


「ふふ、ちょうどいいわ。久しぶりに暴れましょうか」


 オーレリアは不敵に微笑みながら、指を鳴らした。


 そして、森の影から姿を現したのは——

 黒い鎧を纏い、異形の角を持つ魔族たちだった。


「エルフの王国よ、我ら《漆黒の牙》が支配してやろう」


 その中心に立つ男が、不気味な笑みを浮かべる。


「貴様らが精霊の力を持つ限り、我らが奪い取るまでだ」

「……簡単に渡すと思う?」


 ギャベルは弓を構え、鋭い視線を向ける。


「ならば力づくで奪うまで……!」


 魔族の指揮官が叫び、戦闘が始まった。



「エルフ兵は後退! ここは私たちに任せて!」


 ギャベルの指示で、エルフ兵たちは後ろへ下がる。


「《風精の矢》!」


 ギャベルが放った矢が風を纏い、魔族たちの間を駆け抜ける。


 ズバァッ!


「ぐわぁっ!!」


 数体の魔族がそのまま吹き飛ばされた。


「おお……」


 俺はギャベルの実力に驚く。

 彼女の弓はただの矢ではない。

 精霊の力を宿し、まるで生き物のように敵を撃ち抜くのだ。


「ほう……なかなかやるじゃないか」


 魔族の指揮官が剣を構え、ギャベルに向かって突進してくる。


「チッ……!」


 ギャベルは素早く後退し、次の矢を放とうとするが——


「させるかよ!」


 俺がすかさず間に入り、大剣で魔族の剣を弾き返した。


「オルバ……!」

「お前は後方から援護しろ。前衛は俺がやる」

「分かった……!」


 ギャベルは頷き、弓を構え直す。


「フフ……いい連携じゃない?」


 オーレリアは軽やかに宙を舞い、魔族たちに向かって手をかざした。


「《紅蓮の爪》」


 ゴォォォッ!!

 赤黒い炎が魔族たちを包み込み、次々と焼き尽くしていく。


「ぐぁぁぁぁ!!」

「くそっ……なんて連中だ……!」


 魔族の指揮官は焦りを滲ませながら、俺たちを睨む。


「撤退するぞ!!」


 魔族たちは敗走し、森の奥へと姿を消した。



 戦いが終わり、森には静寂が戻った。


「……終わったのか?」


 エレンが周囲を警戒しながら呟く。


「ええ……なんとか撃退できたわね」


 ギャベルは弓を収め、静かに息をついた。


「ギャベル、これからどうする?」


 俺が尋ねると、彼女は迷いなく答えた。


「……私も、あなたたちと共に行くわ」


その瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。



「いいのか?」


 俺が改めて問うと、ギャベルは少しだけ微笑んだ。


「エルフの王女として、この国を守るのが本来の役目。でも……私は、もっと広い世界を見てみたい」


 エルフという種族は、基本的に外の世界へ出ることを好まない。

 しかし、ギャベルは違った。


「……それに、《漆黒の牙》は必ずまた動き出す。その時、私はもっと強くなっていなければならない」


 その言葉に、俺は頷いた。


「なら、決まりだな」


 俺たちは再び歩き出す。


 最凶の五人が、今ここに集結したのだ。


そして、新たな冒険へ


 ギャベルを迎えたことで、俺たちの旅は次のステージへと進む。


 剣士オルバ(トーリ)

 魔法使いエレン

 仮面使いヘンリー

 吸血鬼オーレリア

 そして、エルフ王女ギャベル


 それぞれが持つ力を活かしながら、新たな目的地へと向かう。


「さて……次はどこへ行く?」


 エレンが地図を広げながら言う。


「交易都市フォルセア。人類、亜人、魔族が共存する街だ。情報を集めるにはもってこいだろう」

「ふぅん……面白そうね」


 オーレリアが笑う。


「なら、決まりだな」


 俺たちは新たな目的地へ向け、旅立った——。



――――――――――


これにてこの枠は終了となります。


ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。まだまだ色んなNPCキャラや他の攻略キャラ達を増やしていくつもりなので楽しみにしててください。


次回は4/5の日に投稿したいと思っています。


この作品が面白い、続きを見たいと思う方はいいね♡お気に入り☆コメント等してもらえると、主の励みになりますのでよろしくお願いします(*^^*)

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