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第四話:仮面の使者! ヘンリー=メルゼットの影


「お前……本気でここに泊まる気か?」


 俺は思わずオーレリアを見上げた。


「ええ、当然じゃない?」


 紅い瞳を妖しく輝かせながら、彼女はまるで当然のように俺の部屋に上がり込もうとしていた。

 まあ、ここは村が用意してくれた宿で、部屋自体は広い。

 しかし——


「……さすがに、男女が同じ部屋で寝るのはまずいだろ」


 俺がそう言うと、オーレリアはクスリと笑った。


「なぁに、怖いの? それとも……私が何かすると思ってる?」

「する気満々のやつが言うセリフじゃねぇよ!!」


 なんなんだこいつは! もともと俺のキャラのはずなのに、こうも独自の思考を持って動かれると、なんかすごい違和感がある。


(いや、これはこれで面白いんだけどな……)


 結局、俺はソファで寝ることになった。

 オーレリアは優雅にベッドを使い、まるで城の姫のように寛いでいる。


「ふふ……夢の中でまた会いましょうね、オルバ」


 だから俺の名前はトーリだっての!

 ツッコミを入れつつも、俺は眠気に負け、ゆっくりと意識を手放した。


 翌朝、まだ日が昇りきらない頃だった。

 俺は微かな物音で目を覚ました。


 (……誰かいる)


 眠気を振り払いながら、そっと窓際へと視線を移す。

 すると、そこには黒い影が佇んでいた。


「……お前、何者だ?」


 俺が声をかけると、影は静かに振り向く。


「——久しいな、《轟雷のオルバ》よ」


 その声は低く、しかしどこか芝居がかった響きを持っていた。

 影がゆっくりと月明かりの下へと進み出る。


 黒いロングコートに、顔を隠す白い仮面。

 俺には見覚えがあった。


「ヘンリー=メルゼット……か?」


「ふふ……その名を呼ぶとは、やはり貴様は本物のようだな」


 ヘンリー=メルゼット——俺が作ったキャラの一人で、仮面を被った謎多き戦士。

 変幻自在な戦闘スタイルを持ち、仮面の奥に隠された素顔は誰も知らない。


(まさか、こいつまでこの世界にいるとはな……)


 ヘンリーはゆっくりと俺に歩み寄ると、静かに手を伸ばした。


「貴様に問おう。貴様は本当に——《轟雷のオルバ》なのか?」

「……お前が思っているオルバとは違うかもしれねぇが、俺がオルバであることに変わりはない」


 俺がそう答えると、ヘンリーは小さく笑った。


「ならば、力を見せてもらおう」


 次の瞬間——

 シュン!


 ヘンリーの姿が消えた。


 (速い——!?)


 気づいた時には、奴の短剣が俺の喉元に迫っていた。


 ガキィィィン!


 間一髪、俺は大剣を振るい、奴の攻撃を弾く。


「ほう……やるではないか」


 ヘンリーは一歩下がり、仮面の奥で微笑んだように見えた。


「おいおい、いきなり斬りかかってくるのかよ」


「これが私の流儀だ」


 ……まぁ、こいつらしいっちゃこいつらしい。

 エタクロ時代も、ヘンリーは仲間でありながら「本当に信用できるか」を確かめるために、戦いを挑んでくることが多かった。


 なら、こっちも応えてやるまでだ。


 ヘンリーが再び消え、次の瞬間には俺の背後に現れる。


 (クソッ、速い!)


 奴の短剣が俺の脇腹を狙うが——


「……読めてるぜ!」


 俺はすかさず回転し、大剣の柄で奴を弾き飛ばす。


「フッ……さすがは《轟雷のオルバ》」


 ヘンリーは軽やかに地面に着地し、再び構えを取った。


(こいつ……本気で戦う気かよ)


 俺が迷っていると——


「……そこまでにしておきなさい」


 静かな声が響いた。

 気づけば、オーレリアがすでに俺たちの間に立っていた。


「……吸血鬼か。なるほど、貴様はもう仲間を見つけていたか」


 ヘンリーは短剣を下ろし、静かに仮面を撫でた。


「私も、貴様の正体を確認できた。それで十分だ」

「おい、勝手に納得して終わらせるなよ」

「フフ……戦いはまたの機会にしよう」


 ヘンリーはそう言うと、マントを翻し、夜の闇へと溶けるように姿を消した。


「……相変わらず、掴みどころのない奴だな」


 俺はため息をつきながら、大剣を肩に担ぐ。


「ふふ……でも、良かったじゃない?」


 オーレリアが微笑む。


「また一人、仲間が見つかったのだから」


「……そうだな」


 ヘンリーが敵ではないことは分かった。

 だが、奴には奴の目的があるはず。


 そして、まだ他にも俺のキャラたちがどこかにいる。


(次は……誰に会えるのか)


 そんなことを考えながら、俺は再び村の宿へと戻った。



――――――――


次回予告


次に現れるのは天才魔法使いエレン=クルガー!?

彼がもたらすのは、予想もしない新たな脅威だった——!


次回、「魔法都市の影! エレン=クルガーの警告」

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