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第三話:謎の追跡者! 現れるもう一人のキャラ


「……いやいや、なんか話がデカくなりすぎてないか?」


 オーガを倒してからというもの、村の人々は俺を完全に英雄扱いし始めた。

 ご馳走は振る舞われるわ、村の女性たちはやたらと世話を焼いてくれるわ、子供たちには「オルバお兄ちゃんすげー!」とか言われるわで、正直気まずい。


「おい、俺はただの流れの冒険者だって何度も言ってるだろ?」

「ははは、謙虚ですな! さすがは伝説の英雄オルバ殿!」


 だから違ぇっての!!

 どうやら俺がどれだけ否定しても、この村では「轟雷のオルバ」は実在し、まさに俺こそがその本人だと確定してしまったらしい。


 「まぁ、今更否定してもしょうがないか……」


 とりあえず、異世界で生きていくためにはある程度の名声も必要だし、適当に流しつつ情報を集めることにするか。

 しかし、そんな考えが吹き飛ぶ出来事が起こる。


 夜の訪問者

 その夜、村で用意された宿に泊まっていると、窓の外に人影を感じた。


(……誰かいる)


 気配を殺しながらゆっくりと窓に近づき、そっと外を見る。


 そこには黒いローブを纏った人物が立っていた。

 フードが深く被られていて顔は見えないが、その身のこなしからして、素人ではないことが分かる。


(刺客か? それとも……)


 俺は無音で窓を開け、素早く屋根へと飛び移った。

 相手もそれに気づいたのか、すぐに動き出す。


「……っ!」


 相手の動きは俊敏だった。

 屋根から屋根へと飛び移りながら、俺の視線を避けつつ逃げようとする。


「待て!」


 俺は大剣を背負ったまま追跡を開始した。

 しかし、相手の速度は異常なほど速い。


 (こいつ、ただの人間じゃないな……!)


 そう確信した瞬間、相手が突如立ち止まった。


「……フフッ、やっぱり本物なのね」


 フードをゆっくりと下ろすと、そこに現れたのは——

 美しい銀髪と紅い瞳を持つ、妖艶な美女だった。


「吸血鬼……?」


 彼女の特徴を見て、すぐにピンときた。


「あなたは……《紅の月》のオーレリア=エヴァンロード?」


 すると、彼女はクスリと微笑んだ。


「ええ、そうよ。まさか本当に《轟雷のオルバ》がこの世界に現れるなんてね」


 新たなる事実


 オーレリア=エヴァンロード。

 俺がエタクロで育成していた最凶の吸血鬼キャラの一人だ。

 彼女は美貌とカリスマを持つ吸血鬼の女王で、強力な魔法と超人的な身体能力を兼ね備えていた。


(ってことは……他のキャラも存在してるってことか?)


 俺は慎重に言葉を選びながら尋ねる。


「お前、俺のことを知っているのか?」

「当然じゃない。あなたは《轟雷のオルバ》……私が何度も戦い、時には共闘した相手よ」


(やっぱり、ゲームでの出来事がこの世界では実際に起こっていたということか?)


 もしそうなら、俺が操作していたキャラたちは皆、それぞれの人生を歩んでいる可能性がある。


「なら、聞かせてもらおうか。お前がここに来た理由を」


 オーレリアはゆっくりと近づき、妖艶な笑みを浮かべた。


「あなたに、会いたかったからよ」

「……は?」


 まさかの直球発言に、一瞬思考が止まる。


「……冗談よ。でも、あなたが本物かどうか、確かめる必要があったのは本当」

「それで、俺が本物かどうかの結論は?」


 オーレリアは一瞬考える素振りを見せ、それからニヤリと笑った。


「本物……でしょうね。少なくとも、今のところは」


 (なんだその不穏な言い方……)


 敵か、味方か


「さて、オルバ……いえ、あなたの本当の名前は?」

「……トーリ=オニギスだ」


 ここまで来たら、下手に誤魔化すよりも正直に話した方がいいだろう。


「トーリ、ね……面白い」


 オーレリアは満足そうに頷いた。


「私はしばらく、あなたの動向を見させてもらうわ」

「……ってことは、ついてくるってことか?」

「当然でしょう? 今さら放っておけるわけないじゃない」

「はぁ……」


 なんだか勝手に話が進んでいる気がするが、彼女が味方になってくれるなら心強い。


 しかし——


(こいつがいるってことは、他のキャラもどこかにいるってことだよな)


 オーレリアは俺が作った最強キャラの一人。

 ならば、他のキャラもすでにこの世界のどこかで生きている可能性が高い。


 (オルバ、エレン、ヘンリー、ギャベル……)


 果たして彼らは、この世界で何をしているのか?


 そして——


 俺は、どうやって彼らと再会すればいいのか?

 そんなことを考えていると、オーレリアがクスリと笑った。


「あなた、何か企んでるでしょ?」

「いや、別に」

「ふふっ……ま、いいわ。それより、そろそろ村に戻らない?」

「そうだな……って、お前、どこに泊まるつもりだ?」


 オーレリアは艶やかに微笑み——


「あなたの部屋、空いてるわよね?」

「いやいやいや!!」


 思わず全力でツッコんだ。



―――――――――


次回予告


オーレリアと共に行動することになったトーリ(オルバ)。

 しかし、新たなキャラが動き出し、彼らの前に立ちはだかる——!?


次回、「仮面の使者! ヘンリー=メルゼットの影」

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