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第11話「工場襲撃日」

「岳人がいない?」


 大会は無事再開され、岳人の試合が迫っていた時、大会スタッフが言ったのだ。


「ええ、何かご存じありませんか?」

「……いえ、申し訳ないですけど」


「こちらこそ申し訳ない」と礼儀正しいスタッフが頭を下げ、小走りで去っていった。


(まさか……)


 今日は工場の襲撃日だ。まさか感づかれたのか?


 襲撃の指揮を取っているのは小野川だ。私の分身では全体の流れが分からない。


 電話が鳴った。私は素早く名前を確認したが、残念ながら目的の人物ではなかった。


「華、どうしたの?」


 電話先の華は困ったように言った。


『零次と連絡取れないんだけど、何か知らない?』


 ……一体、何が起きているというのか。




 *




「零次、分かってるだろうな」

「分かってる。慌てず騒がず、だろ?」


 零次の軽い返事に一抹の不安を抱えつつも、所詮は電話番なのだから問題ないかと考え直す。


 今俺達は、本来居るべき東京ドームから遠く離れ、川崎湾岸の工場に来ている。


(焦るなよ、俺)


 何度でも自分に言い聞かせる。


 目前に『真世界』の重要拠点があるのだ。

 それが仮に事実だとしても、警察としては確たる証拠がなければ踏み込めない。


(それが事実かは分からなかったが)


 ある日俺の自宅に届いた、一通の手紙だけが頼りだった。

 それが真実か調べたかったが、もし所長にバレれば蚊帳の外に追いやられてしまうだろう。

 だから俺の代わりに手足となる存在が欲しかった。そんな時、この男と2人きりになれる良い機会が訪れたのである。

 結果は灰色。証拠は望めなかったが、確かに怪しい場所ではあるのだ。俺は手紙を信じることにした。


 そして今日が計画決行日である。今日だ。


「もう一度確認するぞ。爆発があれば、公衆電話から通報しろ。その時自分のことは何も言わない。分かったか?」

「大丈夫だって。それより気を付けなきゃいけないのは岳人だろ。大丈夫か?」


 俺は不安を感じさせないよう、時巡のように不敵に笑ってやった。


「問題ない、俺はプロだぞ。大船に乗ったつもりでいろ」


 そうして俺は工場へと侵入した。




 *




 本当は彼を止めたかった。

 でも彼はヒーローだから、自分の力が届かなかったことを知れば、深く傷つき、泣きそうな笑顔で、逆に私を慰めようとしてしまう。


 だから計画が必要だ。

 水無月竜輝が活躍し、かつ負担をなるべく減らせるような。


 そして私、青木霧江の能力は、『コレクター』が太鼓判を押すほど暗躍に向いている。


「『ミュージアム』が展示No.7『深層心理ディープサイキ』。気張るよお」


 と言っても、もう3者の夢に入り込み、計画決行日を揃え終えたので、後は結果を見るだけなのだけど。




 *




 そしてまた1人、雷髪の少年、水無月竜輝が工場を見上げていた。


「ここが『真世界』のアジト」


 裏に精通しているという霧江から教えてもらった大事な情報。無駄にする訳にはできない。それに――


「アリスの自由のため、負けられない」


 侵入場所を探していると、怪しげな人影が目に入った。


「あれは、岳人?」


 彼は警察官だと言っていた。

 となると、彼もアジトを突き止め侵入しに来たということだろうか。


(どうしよう)


 彼は、すごく真面目な人だ。

 今会えば、無理やりにでも追い出してしまうだろう。


(協力したかったけど、仕方がないか)


『真世界』は勿論、警察にも気を付けなければならないというのは、何とも幸先が悪かった。




 *




「どうしますか、リーダー」


 部下の1人が、先に侵入した2人の処遇について指示を仰ぎにきた。


(あれは、十字岳人と水無月竜輝)


『コレクター』の差し金であることは疑いようがなかった。信用していただけなかったのは非常に残念ではあるが、頂いた戦力を無駄にすることなど、それこそ『コレクター』への反逆だ。


「彼らを陽動に侵入します。折を見てブザーを彼らに届けてやりなさい」

「ハッ、承知しました」


 自衛隊上がりの見事な敬礼を見届け、計画の修正に入る。


(本来は脚力強化の能力を持つ田中たなか可子かこに任せるつもりでしたが、彼女には先行して機密の奪取に努めていただきましょう)


「田中さん」


 声をかけると、艶やかな黒髪の少女が、軽快な足取りでこちらに来た。


「計画を変更します。あなたは先行して侵入し、機密資料を確保してください」

「え、はあ。分かりましたけど、陽動はどうするのです?」

「そちらは『コレクター』より頂いた方達にしていただくことになりました」

「え”!? 『コレクター』が!?」


 彼女は大げさに驚いた。

 一介の構成員では、名前が挙がることさえ驚きに値するのだろうか。


(フフ、私が『コレクター』と直接話す間柄だと知ったら、彼女はどれほど驚いてくれるでしょうね)


 それは後の楽しみとして、彼女に陽動役の顔写真を見せる。


「こ、この2人ですか」

「ええ、ですが彼らは完全な味方ではないので、決して近づかないように」

「わ、分かりました。ええ、絶対に回避します!」


 彼女の力強い回答に満足し、全体の監督に意識を傾けた。

 彼女はやる気たっぷりのようで、既にその自慢の脚力で工場へと向かっていた。




 *




 田中可子こと時巡優子の分身は、全力で思考を巡らせていた。


(何この状況、おかしいでしょ! しかも私今、カラコンだけの超シンプルな変装なんだけど。いや、侵入時は覆面するからバレないかもだけど、いや、何この状況!?)


 状況を察した本体がヘルプしてくれれば良いが、その前提では必ず失敗する。


(大丈夫、大丈夫。やることは変わったけど、むしろラッキーだ。最初に機密に触れられれば、誰かが隠蔽してもすぐに分かる)


 少し、落ち着いた。

 だが落ち着くと、やはりこの状況が不自然だと感じる。


(岳人、竜輝、小野川。3つの勢力が同じ日に襲撃はどう考えてもおかしい。誰かが謀った可能性が高いな)


 まず3勢力に顔が効くとしたら、私以外にはいない。というか岳人と竜輝、この2点だけでも難解だ。小野川が私の差し金だと勘違いしたのも無理はない。


(なら、超能力だ。直接顔を合わせることなく、この状況を作れるのは……)


 ……1人、心当たりがいた。

 寝る場所さえ分かれば彼女には可能で、そして3人の住所を調査できる女が。


「青木霧江」


 敢えて言葉にする。

 本体に私の見解を伝えるためだ。


(良し、すっきりした。後は仕事をするだけだね)


 私の残り寿命は14時間。これが最後の仕事になるだろう。




 *




 異変が起きたのは、侵入して間もなくだった。


(……罠か)


 内心で岳人は毒づいた。

 突如足元に、騒音をまき散らす機械が放り込まれたのだ。


 近くを巡回していた警備員に見つかり、無力化するも侵入自体はバレてしまった。今は物陰に身を潜めているが、見つかるのも時間の問題。続々と警備員が集まってきている。


 恐らく、体よく囮に使われたのだろう。それが俺に手紙をよこした人物の目的だ。


 携帯の電源を入れた。しかし、画面に表示された文字は"圏外"。

 外部との連絡を絶つ能力者の仕業だろう。


(勝手な真似はするなよ、零次)


 頼むから、早々に通報しその場を去ってくれと祈る。


(チッ。そんな事を考えてる場合じゃないな)


 そう、零次の事などどうでも良い。こそ巻き込んだのだ。


 物陰から身を晒し、重力操作により崩し、体術で倒していく。

 残り1人、拳銃を構えた男が、視界に入る。

 俺は能力を発動しようとし、しかし男は雷撃により倒れ伏した。


「竜輝!?」

「岳人――」


 何故そこに。

 そう疑問を挟む間もなく、竜輝が叫んだ。


「避けろ! 後ろだ」


 右に転がるように倒れこむ。俺がいた場所に、剣が突き刺さっていた。


 振り返り、敵へと視線を投げる。その剣には見覚えがあった。


「剣崎亜美!」


 大会にて時巡に破れた女だ。

 この状況なら、奴がどういった存在かなど、聞くまでもない。


「2対1は、無理」


 そう言うと、剣崎は走り去ろうとした。


「待て!」

「岳人!」


 追う俺に、水無月竜輝が追従する。


「岳人! 色々言いたいことはあるだろうけど、1つだけ確認させてくれ。君は1人で来たのか!?」


 嫌なところを突いてきた。だが、今はこの男の協力が必要なのは確かだ。


「ああ、増援はない。まずはあいつを倒すぞ!」

「了解。共闘はファミレス以来だね! 今度は足を引っ張らないぞ!」


 竜輝の言葉に、思わず笑みが漏れる。


「それは楽しみだ」


 追いかけた先には、何もない空間が広がっていた。何かの実験場か。


「ヌオおおおおおお!!!」


 雄たけびと共に、膨大な水が上空から降って来る。


「これで、2対2」


 剣崎の呟きと共に、大男が彼女の隣に着地する。


 その男は奇妙な恰好だった。

 背には直径30cm、高さは1mにもなりそうな銀色の円柱を4つ背負っていたのだ。


 その男は叫ぶように言った。


「侵入者共、覚悟しろ! この工場長が直々に始末してくれるわ!」


 そしてその男は右手を突き出し、を繰り出した。


「な!?」


 あの男は、水の能力者ではなかったのか。

 混乱する俺達へ、次の瞬間には男は巨石を打ち出していた。


「訂正」


 剣崎が目を細めて笑った。


「2対6だった」




 *




 岳人と竜輝が派手に暴れてくれているのか、警備の薄い通路を私は走る。


「ん」


 鍵付きの扉を見つけたので、私はとりあえず蹴りを入れ、へこんだ際に出来た扉の隙間を無理やりこじ開ける。


 その一室は、小さな計測器や、薬品が小分けにされた、研究室のようだった。

 どうやら工場の中に研究所もあったようだ。これは予想以上の収穫である。


 研究室には老人が1人。それなりに大きな音を立てて侵入したにも関わらず、老人は今なお目前の装置に目を向けていた。


 だが気がついていない訳ではないらしく、老人は振り返ることなく言った。


「ここで暴れるなよ。放射線発生装置もあるのだ。死ぬぞ」


 老人が目を向けている、この部屋の4分の1を占めるであろう装置のことだろう。


「ご忠告どうも。悪いけど、同行してもらうよ」

「これが終わったらな」


『真世界』への帰属意識など欠片もないのであろう。老人は快諾した。

 私は司令部へ連絡し、人員を要求した。おそらくこの部屋がこの工場で入手できる情報の核であろう。


 手持ち無沙汰になった私は、適当に棚でも漁ることにした。

 そこで、この場に相応しくない奇妙な物を見つけた。


 砂のない砂時計。

 円柱の台座にめ込まれたガラスの中には、あるべき筈の物がなかった。


「これ何?」


 老人の目の前に持っていき尋ねる。


「そいつは……」


 老人の視線が険しくなった。

 老人が決して目を離すことのなかった装置から視線を外し、こちらを睨みつける。


「お前、それを何処で見つけた?」

「どこって、そこの戸棚だけど」


 老人は不快そうに鼻を鳴らし言った。


「そいつは魂の集積機だ」

「魂?」


 思わず言葉を繰り返す。

 超能力のある世界でも、魂というものはオカルトだ。何かの比喩表現だろうか。そう問うと、老人は否定した。


「言葉通りの意味だ。持ち主が人を殺した時、砂が落ちるように、魂を集積する」


 おかしな事を言う。

 だがまあ、所詮は暇つぶしだ。もう少し話を聞いてやろう。


「それで、集めてどうするの? 砂時計替わりにしては、価値が釣り合わないね」

「砂が下半分を埋めた後、それこそ砂時計のようにひっくり返す」


 そして老人は言った。


「すると願いが叶う」

「……」


 私は暫し押し黙った。そして所詮は妄言だと自分に言い聞かせて言った。


「砂が溜まるにはどれくらいの魂が必要なの?」

「人類の9割程度だな」

「…………はあ」


 まあ、元より期待はしていない。

 しかし老人は、どのような理由で、そんな試しようもない代物の性能を語るのだろうか。


「神の啓示、というやつだ」

「それ、邪神だから関わらない方が良いよ」


 老人は再び鼻を鳴らし、装置に目を戻した。

 ちょうど回収部隊も到着したので、私も雑談を終え搬送を手伝うことにした。




 *




 水、火、土、風。

 この4つを放出するのが男の基本戦術だ。


 操作精度は悪いが、出力は人を殺すのに余りある。


(付け焼刃、だな)


 最終的な評価はそこで落ち着いた。

 この場で最も脅威なのは、剣崎だ。


 恐ろしくも、正確に首を狙った一閃を避ける。

 剣崎の剣速は超重力下でなお鋭く精密だ。おそらく、直接手に持つことで、自身の身体能力と能力による操作を併用し、爆発的に剣速を速めているのだ。


 そして、その立ち回りも見事だった。


「竜輝! また来るぞ!」

「ああ!」


 男の高出力の攻撃が、俺と竜輝に襲い掛かる。

 竜輝と距離が取れず、2人して男の攻撃に四苦八苦する羽目になっているのだ。この動きをさせているのが剣崎である。


 パシャリ、と濡れた地面を駆ける。


 この水も竜輝と相性が悪い。

 彼の能力は電撃。自分自身は耐性があるだろうが、もし放射すれば、彼と最も距離が近い俺が被害を被るのは間違いない。


「ヌン! やはり火の能力が最も効果が高いか!」

「でも水が蒸発しちゃう。次善の石礫で行こう」

「ウム! 了解した!」


 舌打ちする。あの程度の攻撃ならば重力で叩き落とせる。だがそれをするには、剣崎に掛けている圧力を弱める必要があった。


 だがその圧力も、効果が薄い。行動不能にするほどの重力場が必要だった。


(物体指定の重力は、対象の抵抗力を受けて減衰する。だから効果が弱い。しかし座標指定の重力場は、減衰を受けないが避けられる可能性がある。)


 前者の効果が薄い以上、後者に切り替えるべきだが、タイミングは測る必要がある。


「竜輝、一瞬で良い。剣崎の動きを止められないか」

「分かった。少し痺れるかもだけど、我慢してほしい」


 意識を強く保つ必要がありそうだ。


 竜輝が剣崎へと特攻する。

 異変を察してか、剣を手放し遠距離攻撃に変えた。だがその攻撃ならば問題ない。剣に重力をかけ、叩き落とす。


 男が石礫を飛ばした。だが、一手遅い。竜輝が電撃を放射する。


「ん」

「グッ!」

「ムウ!?」


 電撃は濡れた地面を伝い、竜輝以外の3人に襲い掛かる。俺は痺れる意識へ喝を入れ、剣崎の居る空間を超重力場へと変貌させようとし、気付く。


 そこに剣崎はいなかった。今も帯電している剣だけが突き刺さっていたのだ。


(剣を避雷針に!?)


「岳人!」


 竜輝が叫ぶ。


 剣崎は俺の真上に居た。

 その手には剣。痺れの残る体では回避は間に合わない。


(だが、跳んだのは失敗だったな)


 通常、重力操作は真上の相手には行えない。

 当然だ。その重力は枷として機能せず、相手の攻撃の手助けにしかならないのだから。


(窮鼠猫を嚙む、だ)


 俺は自分自身の座標を超重力場へと変貌させる。俺の上空にいる剣崎も、その影響を免れない。


「ガッ!」

「う!」


 剣が右肩をばっさり切り裂き、重量物と化した剣崎が俺を圧し潰す。飛びかける意識を、奥歯を噛み砕くほど喰いしばり、能力を維持する。


「岳人!」

「行け! 竜輝ィ!」


 駆け寄ろうとする竜輝に最後の力をふり絞り、責務を全うしろと叫び返す。


「おのれええええ!!!」


 石礫が竜輝を襲う。だが、肉体を電撃により活性化し、高度な運動能力を獲得した竜輝には何の問題にもならない。


 威力だけの攻撃など、通用する段階に奴はいないのだ。


「おおおおおおお!!!!」

「ギッ、ギャァアアア!!!」


 竜輝の拳から直接流し込まれた雷撃を受け、男はこの世のものとは思えない悲鳴を上げる。


 そうして男は倒れた。勝負はついたのだ。




 すぐに駆け寄った竜輝により剣崎も拘束され、俺も最低限の応急処置を終えた。


 流石にこれ以上は無理だ。竜輝に派手に電撃を打ち上げてもらい、零次への合図にした。

 動けない俺は、ある疑問を口にする。


「結局、その男は能力を使わなかったな」


 竜輝の攻撃を受ける土壇場でさえ自分の力を使わないのは不可解に思えた。

 その疑問は、剣崎の口から答えられた。


「工場長は無能力者。『真世界』は無能力主義なのだから、上層部が無能力者なのは当たり前」

「じゃあ何でお前は『真世界』に加担している」

「親がそうだったから。家族の絆は絶対」


 剣崎は何とも言えない顔で言った。良いとも、悪いとも判断しかねる顔だ。

 竜輝が「あれ」と疑問を口にした。


「じゃあ2体6じゃなくて、2体5だったんじゃ? 能力の話だよね?」

「女の嘘は許すのが良い男の条件。細かいことは気にしない」


 要はただのブラフだ。

 警官隊が駆けつけて来るのを見届け、俺は遂に意識を手放した。




 *




 緊急入院の後、俺は病室にて取調べを受けた。


 報告を怠り、個人での無断侵入。許されることではない。

 だが俺はさほど後悔はしていなかった。何せ『真世界』が秘密裏に開発していた、超能力発生装置を発見し、その工場の破壊まで成功したのだから。

 もしこれが秘されたままだったのなら、途轍もない被害が出ていたことは明白だ。


「事情は大方理解した」


 知らない刑事がそう言って、こちらを睨みつけた。

 それは心底軽蔑している目だった。


「お前たちは未成年だし、厳重注意だけで済むだろう。最も、お前の警察としての立場は、今後無くなると思っていた方が良い」


 その程度は覚悟の上だ。何も問題はなかった。


 男は「最後に確認することがある」と言い、1つの写真を取り出した。

 そこに写っていたのは零次だ。俺は零次については秘していたが、どうやら逃げ切れなかったらしい。


 俺は努めて動揺を押し隠したが、相手は熟練の刑事だ。俺の仲間であると認識したらしい。零次には悪いが、一緒にお叱りを受けることになるだろう。


 刑事が言った。


「俺達は通報を受けてあの場所へと言った」


 零次はきちんと仕事をしたらしい。

 続けて刑事が言った。


「『電話ボックスで人が倒れている』という通報を受けてな。友達だろうに、大したもんだよ、お前さんは」

「………………え?」


 刑事は俺の返事を待たず部屋を出て行った。


 俺は、あの刑事が軽蔑していた理由を、漸く理解した。


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