「……」
ん?
弘人はん? としか思えなくなった。
それもそうだろう。
いつもあった普通の日常が、普通で無くなったのだから。
「どういうことだ」
幸音が一切話しかけてこなくなったのだ。
前はどんなに忙しくとも挨拶ぐらいはしていた仲なのだが、それも無くなっている。
なんだこれは。一体どこで間違えたというのか。
「友達減ったやんけ」
四限目――
「おいなんで全員寝てんだよ俺の授業は退屈ってか!」
弘人は悲しみのあまりクラス全員を眠らせた。
お昼(´・ω・`)――
「どうしてだろう。どうしてなの」
「嫌われたのね」
「梓苅くん幸音ちゃんに嫌われたの-? どうせ下心隠し忘れちゃったんでしょー」
「おいお前、俺とお前は初対面なんだぞ」
「だからー? 燐菜ちゃんの友達はあたしの友達―」
「訳分かんねぇな!?」
弘人はいつものように寂しく階段ボッチ飯をしていたのだが、何故か燐菜のグループがやってきて、一緒に食べようと言ってきた。意味が分からないがとりあえず燐菜の嫌がらせだろうとは思っている。
「ひろ君たらいっつも幸音ちゃん幸音ちゃんはぁはぁって言っててね」
「えー! きもーい!」
「気持ち悪いね顔とそっくり」
「おいお前初対面で悪口は許さねぇぞ」
初対面悪口女と初対面きもーい女。どっちも悪口である。第一ここは女と話すために見つけた場所では無い。一人で悲しく飯を食らうために見つけた憩いの場なのだ。
「帰る」
弘人は弁当を包むと立ち上がる。悪口女軍団と一緒にいてはメンタルに悪影響なのだ。
「いいの? 幸音ちゃん石倉君と食べてるけど」
「むむっ!?」
何と。初耳女子情報もたまには役立つようだ。
「付き合い始めたんだってー」
「……」
「あらあらひろ君一生童貞確定ね」
「燐菜さんAVおごってください」
「女にそれ頼むのは気持ち悪いわよひろ君」
「うん顔そ」
「そっくりじゃねえよ中身と外はそっくりじゃねぇよ!」