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第15話 リアルハーレム

「そういえば石倉君の件どうなったの?」


 何日経ったか分からないが、今日もまた石倉の話を聞かされる男ー弘人。どうやらまだ言っていなかったようだ。なんなら最近の記憶が無い。


「あぁそれもう関与しません」

「え、なんで? あれ普通じゃないって」

「窃盗症ってやつだと思いますね。私では無く医者が必要かと」

「え?」

「やべ」


 幸音には言っていなかった。石倉が万引き常習犯なのは笊斗と燐菜しか知らない。


「どういうこと?」


 こうなった幸音相手に話題をそらすのは至難の業だが、やってみるのが男弘人。スッと数学の問題集を取り出し適当に開いて指さす。


「それよりこの問題が分からなくてさー。小テストこのままじゃ十点も取れないかも」

「それまだ習ってないけど」

「あ、違った間違えました。こっちですこっち」

「教えたら教えてくれる?」


 今回は成功。だがまだ話題のすり替えが出来ていない。これは万事休す。


「……何を? 僕の好みの女性とか? いやぁそれは」


 恥ずかしがってみる作戦に加え話分かってないよ作戦。


 幸音には効かず、それどころか落ち込んだように肩を落とさせた。


「弘人君最近私のこと避けてるよね。私何か気に障ることしちゃった?」


 これを言わせた男はアウトである。


「してないよただ中々会う時間が無かっただけとかでは?」


 同じクラスだからといって毎日話すかといわれると、イツメンでも無い限りは無いだろうと弘人は思っているがどうか。


「だって私が話しかけるとどっか行っちゃうか無視するじゃん」


 今までの行動がバレバレのようで。


「いやぁ君みたいなべっぴんさんにそんなことしませんよ」

「……馬鹿にしてる?」

「してません……」


 本気で言われてはもうふざけられない。関係を悪くはしたくないのだ。


「じゃあなんで」


 幸音が弘人の机を叩く。


「恋よね。坂下さん可愛いから緊張しちゃって」

「おい燐菜来んじゃねょ」


 気づいたら燐菜が弘人の椅子に座っていた。どんな技を使ったのか、弘人はさっきまで座っていたのに立っている。


「澳原さん」

「どうも幸音ちゃん。相変わらず可愛いわね」

「か! お、澳原さんの方が可愛いじゃーん」


 幸音は燐菜が少し苦手なようで、会話がややぎこちない。だが当の燐菜はどうでもよさそうに変顔を披露した。


「いいえ私はこう見えて性格ブスなの」


 弘人は燐菜の変顔が変顔じゃないのにムカついた。


「おい燐菜くだらねぇ話するつもりなら消えろ」


 弘人は至って真面目に言葉を投げた。すると燐菜はようやくふざけるのをやめる。


「……分かったわ。ちゃんと教えてあげる。でもここじゃ人目もあるし」


 弘人のぼっち飯階段――


「俺は聞こえた。聞こえたぞ。リアルハーレム主人公って言葉をな。こんなハーレムいらねぇ」


 弘人は教室から出る際、間違いなくリアルハーレムという言葉を耳にした。それも羨ましいというよりは。あんなブスがという驚きの要素の強い感じで。完全なる悪口を言われたのである。


「クソみてーな人生ですねはい」


 ムカついたので男という男を眠らせておいた。そのためオールできるぐらい今は絶好量だ。


 なんて弘人が脳内大暴れを行っていると、燐菜が幸音に真相を教えていた。


「……というわけなの。泥棒しちゃうまで落ちちゃったっていうのと、ひろ君の悪口を平然と言いのけちゃうってことで、もう助けないって判断に決めたのよ」


 全部言ったようだ。そんなに長く考え事をしていたのか? と弘人はスマホの時計を確認した。対して時間は経っていない。


「……澳原さんは。弘人君の力を知ってたんだ」


 もう全部伝わっているのが驚きすぎる。


「えぇ。私とひろ君はそれはもう固いきずなで」

「おい燐菜やめい」

「愛し合ってるのだから」

「愛し合ったこと無いから嘘言わないで」

「今から真実にしちゃう?」

「……死ね」

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