「ブライズ様、お手紙が届いております」
「ありがとう」
ブライズはメイドから手紙を受け取った。
「あら、デリック様から?」
ブライズは丁寧に便せんを開けると、デリックからの手紙を取り出した。
<来週の水曜日の夜、お会いできませんか? お迎えに参ります>
ブライズは胸が高鳴るのを感じた。
緊張で震える手を押さえて、了承した旨を手紙の返事に書いてメイドに渡した。
水曜の夜、デリックが迎えに来た。
「こんばんは、ブライズ様。夜分に申し訳ありません」
「いいえ、デリック様。お待ちしておりました」
二人は手をつないだ。
デリックは森の脇の丘を目指して歩き出した。
「ブライズ様、足は痛くありませんか?」
「大丈夫です。歩きやすい靴を履いております」
丘に着くと、デリックは空を見上げて、ブライズに言った。
「今日は流星群が見られる日なんです」
「流星群?」
「流れ星が沢山みられますよ。ほら」
ブライズがデリックの指さす方を見ると、確かに流れ星が見えた。
「素敵ですね」
「ええ。これを見せたくてお時間を頂いたのです」
しばらくふたりは手をつないだまま、流れ星を見ていた。
すると、急にデリックが話しかけてきた。
「ブライズ様、左手を出していただけますか?」
「こうですか? 急にどうされましたの?」
デリックは、ブライズの左手を取ると、薬指に花をあしらった可愛らしい指輪をはめた。
「ブライズ様、これからもずっと私と一緒にいて下さいませんか?」
「まあ、こんなことって」
ブライズは心臓がバクバクと音を立てているのを感じた。
「デリック様となら、喜んでいつでも一緒にいたいです」
「それでは、婚約成立と言うことでよろしいですか?」
「ええ」
デリックは、星降る丘の上で、ブライズに優しくキスをした。