天気の良い日だった。今日は討伐隊に参加することになっていた。
あおいが冒険に行く準備を済ませたころ、ドアがノックされた。
「おはようございます、あおい」
「おはようございます、アレックス様」
あおいはドアを開けた。
「あおい、準備は出来ていますか?」
「はい。あら? ロイドにローラも?」
あおいの問いかけに、アレックスが答えた。
「今日はゴブリン退治なので、町で有名な冒険者に声をかけたのです」
「ええ!? ロイドとローラって有名人だったの?」
「まあ、一応な」
ロイドは鼻をこすりながら、得意そうに言った。
「ゴブリンは森の奥に現れたそうです。それを退治に行きます」
ローラが遠慮がちに言った。
「分かりました」
あおいは大きなバスケットを抱えて、アレックスの後についていった。
「アレックス様、ゴブリンの退治くらい兵隊に任せないのですか?」
「たまには戦いをしないと、腕が鈍ってしまいますので」
アレックスの言葉にロイドが茶々を入れた。
「そう言いながら、あおいの料理を食べたいだけじゃないのか?」
アレックスは笑ってロイドに答えた。
「そうですね。あおいの錬金術にも興味がありますね」
話しながら歩いていると、森の奥までたどり着いた。
「この辺りにゴブリンが出るそうです」
「それなら、これを食べて下さい」
あおいはバスケットから、三つの焼きまんじゅうを取り出した。
「これは?」
アレックスがあおいに尋ねる。
「攻撃力が上がる、カレーまんじゅうです!」
あおいが配ると、3人はそれを頬張った。
「辛い!」
ローラが泣きそうな顔をした。
「でも、美味いな」
ロイドとアレックスはパクパクとカレーまんじゅうを食べた。
「おお、体の芯から力がわいてくる!」
アレックスは武者震いをした。
「丁度良く、ゴブリンも現れたぜ!!」
ロイドが剣を構える。
出てきたゴブリンは3匹だった。
「行くよ! 炎の壁!!」
ローラが魔法を使う。
「今のうちに剣で倒して!」
「はい、行きますよ、ロイド!」
「こっちは任せろ、アレックス!」
ロイドとアレックスはあっという間にゴブリンを倒してしまった。
「なんか弱かったな」
ロイドが言うとアレックスも言った。
「それは、あおいのカレーまんのおかげだったのではないでしょうか?」
「そうだな。一太刀でゴブリンが倒れたもんな」
あおいは立ち尽くしていた。
「皆さん、お強いんですね。私、見てるだけで何も出来ませんでした」
「あおいの錬金術のおかげです」
アレックスが言うと、ロイドが付け加えた。
「でも、腹が膨れるのが難点だな。沢山は食べられないぞ」
「分かりました、工夫してみます」
あおいは真摯にロイドの台詞を受け止めた。
「そろそろ帰りませんか?」
ローラが言った。
「そうですね、帰りましょう」
アレックスを先頭にして、一同はあおいの家まで帰って行った。
あおいの家に着くと、あおいは残っていた薬草クレープと、ポーションゼリー、エリクサー金平糖を一人分ずつに分けて、お土産にしてあげた。
「ありがとう、あおい」
アレックスが声をかけると、あおいは赤くなった。
「あれ? ふたりってそう言う関係なの?」
ロイドが驚いたように言った。
「いいえ!? どういう関係も、お友達ですよ!?」
あおいが慌てて否定すると、アレックスが笑ってあおいの頭をポンポンと軽く叩いた。
「私のことはお友達ですか?」
アレックスは面白がっている。
「もう! アレックス様なんて知りません!」
「それじゃ、今日はここで別れることにしよう」
アレックス達は町に帰っていった。
「あーあ、びっくりした」
あおいは残った薬草クレープをもぐもぐと食べた。