ある日、あおいは午後の休憩をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい、どうぞ」
あおいがドアを開けると、青い顔をしたアレックスがそこに居た。
「アレックス様、顔色が悪いようですけど、どうしたんですか?」
「たいしたことは無いのだが、モンスターから毒の攻撃を受けてしまってね」
「とりあえず、家の中に入って下さい」
「ありがとう」
あおいはアレックスをソファーに座らせると、冷蔵庫からあんパンを取り出した。
「はい、どうぞ」
「あおい? 私はお腹を空かせているわけではないのですよ?」
「あ、これ、毒消しあんパンです」
「毒消しあんパン?」
「はい」
アレックスは苦笑しながら、パンをかじった。
少しクセのある味だったが、美味しかった。
「おや、体が楽になってきたようです」
アレックスは立ち上がってみた。
「よかった。毒消しを作ったら、毒消しあんこになっちゃって。持ち歩けるようにあんパンにしてみたんです」
アレックスは我慢しきれず吹き出してしまった。
「ああ、もう! 笑わないで下さい!! 真剣に心配してたんですから!!」
「そうだな。ありがとう、あおい」
アレックスはそういってあおいの頭をポンポンと撫でた。
「今度、ピクニックでも行かないか?」
アレックスの誘いに、あおいはきょとんとした。
「いいですけど、急にどうしたんですか?」
「あおいの錬金術は面白くて美味しいから、もっと見せて欲しいと思って」
あおいは頬を膨らませて抗議した。
「それって褒めてます?」
「そのつもりだが?」
アレックスは元気になって、王宮に帰っていった。
「あれ? 二人でピクニックって、もしかしてデート!?」
あおいは一人、顔を赤くしていた。