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第13話

「このやり方は時代法に抵触するんじゃないのか?」


 デンちゃんが声を上げる。それをイイネ様が『初心者坊やねと』鼻で笑って答える。


「この程度じゃ大丈夫よ、でも……墜落させたらそうなるわねぇ……だから協力してってお願いしておいたでしょ~」


「大人しく人質役として協力してもらうださー」

「バズ兄、ズルいべ。おでもそっちの女の子の方が良がっぺ」


「エモ、何だかいい匂いがしよるけん」

「バズ兄、いい匂いはこの兄ちゃんもしちょるよ、きっと清潔男子どすけん」

「エモ、でもこっちは更に柔らかくて気持ち良いだべし」

「バズ兄、ズルいどべ。交換して欲しいズラ」


「エモ、見てら見てら!」


 バズが言いながらナミの身体を引き寄せ密着させる。


「きゃー、やめてやめてエッチ」

「いいなぁ、いいでしなぁ」

「止めろッ ナミちゃんから離れろッ!」


「大人しくせんかいッ」


 暴れ出そうとするデンちゃんをエモが殴りつける。倒されたデンちゃん。未だ・・結束バンドで拘束されていない人質の2人。デンちゃんを拘束しようとエモがしゃがみ込む。


「デンちゃん!」


 ナミがバズのつま先を踵で踏みつける、バズが思わずその痛さにナミを抱える腕を緩めた。

 ナミはその隙に素早く得物を手に取る。それは……紙ヨーヨーだ。いいや紙ではない紙ヨーヨーの紙の部分は薄く研ぎ澄まされた鉄が巻かれてでできている。

 ナミはバズと素早く距離を取り、バズの銃をはたき落す。異変を感じたエモがナミに気を移す一瞬の隙をついてデンちゃんがエモの短刀を絡めとるとそれをイイネ様に投げつけた。

 デンちゃんの手にはいつの間にか十手が握られている。デンちゃんは十手のかぎを使って短刀を絡め取ったのだった。



 機内に悲鳴が飛び交う。


 バズの拳銃を叩き落した返す刀で、ヨーヨーをイイネ様に放つ。ヨーヨーは鉄の擦れる嫌な音を響かせ伸びる! デンちゃんが投げつけた短刀を躱して体勢を崩したイイネ様の銃を、ナミの鉄ヨーヨーが弾き飛ばす。

 ナミの動きはしなやかで、それはまるで新体操の演技をしているかのように華麗だ、バズが思わず見惚れる程に。


 さっきの小太り中年男がイイネ様の拳銃を押さえ、ナミがバズの拳銃を蹴り飛ばした。


 一気に形勢逆転!


 それと見た乗務員が乗客たちの拘束を解くべく走り出す。イイネ様がそれを阻もうと踏み出した1歩に、再びナミのヨーヨーが唸る! イイネ様の出足を挫く。剃刀のように磨かれたヨーヨーの先が床に突き刺さる。


 デンちゃんがエモから奪った結束バンドでエモを拘束。その間隙を縫ってイイネ様が素早く鞭を取り出すと、逃げたスチュワーデスに放つ。スチュワーデスは鞭に足を掬われ転倒するも、研修で習うのであろうか? 倒れ方すら色っぽく、男たちの視線を集める。


「しまった!」


 デンちゃんがスチュワーデスとイイネ様の間に割って入ろうと飛び出す。他方、ナミのヨーヨーがイイネ様の方へと離れた隙にバズがナミに襲い掛かる。それを視界の端に捉えたデンちゃんが叫ぶ!


「ナミちゃん、危ないッ!」

「う、動くなッ」


 突如、小太り中年男がイイネ様の拳銃をバズに向けてバズを威嚇に入る。バズは両手を挙げてフリーズしたけれども、不敵な笑みを浮かべてゆっくり足をナミの方へと滑らす。


「素人さんが拳銃を向けたところで、撃てる分けないざます」

「う、動くな」


「下手に撃てば、関係のない誰かに当たっちゃうでげすよ?!」


 そう言うと一気にナミへと踏み出した。


「ひ……」

『バァーン!!』


 小太り中年男は思わず目をつぶりながら引き金を引いた。


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