「まず一枚ずつ爪をはぐ。そのあと、一本ずつ歯を抜く。大丈夫だ、ふつうならあまりの痛みで外傷性ショック死するだろうけど、俺は自動回復ポーションをいっぱい持っている。乳姉妹の悲鳴をずーーーーっと聞きながらお前はそこで芋虫ごっこでもしていろ」
みじめに地面に転がっている魔族少将の少女に俺は冷たく言い放つ。
「そうだ、いいこと考えた。お前ら魔族は人間に女を献上させて子供を産ませていたそうじゃないか。同じことをしてやろう。ファモーもお前にも子供を産ませてやるぞ。そのあと生まれた赤ん坊をお前らの目の前で拷問して殺してその肉をお前らに無理やり食わしてやる」
ちょっと待ってひどい、とカルアが呟くのが聞こえたが、魔族相手には容赦しないのが俺のポリシーだ。ぶっちゃけ敵ならば人間相手にも容赦しないけど。
「大丈夫、ポーションはあるし拘束するから自殺はさせん、状態異常回復ポーションもあるから狂うこともできない。生きたままこの世の地獄を味わうといい。あとさっきわざわざ生かしてやったお前の部下のガーゴイルもゴブリンどももリザードマンも爪と歯を全部抜いてから目の前でその家族を処刑してから殺す。よかったな、魔族にお似合いの最後だ」
ガクガク震えながら俺の言葉を聞いているアルティーナ。
「さて、そうはいってもお前らの組織は俺がこの辺を支配するには便利だ。組織を一からつくるってのはめんどくさいからな、そのまま居ぬきでお前の組織がほしい。もう一度言う。降伏しろ。そしたらお前もこのワーウルフもほかの部下たちも生かす。降伏しなければ全員その家族を目の前で殺してから殺す。お前は手足を切り取って魔王との取引材料に使うからお前だけは殺さない」
四肢を完全に拘束されたまま、俺の話を目を見開いて聞くアルティーナ。
俺は淡々と続ける。
「さあ、どっちがいい? 降伏すれば厚遇してやる。降伏して部下とともに生きるか、降伏せずに部下を拷問死させて自分だけ生き残るか。どちらにしろお前は生き残れるぞ、よかったな。どっちにする?」
簀巻きにされたまま、
「う、うわぁぁぁぁ……うわぁぁぁん……我は……我は……降伏など……許されぬのじゃ……」
涙を流して泣き始めるアルティーナ。
と、そこに一匹のコボルドが背後から俺に襲い掛かってきた。
勇気あるコボルドだな、敬意を表して拷問してやろう。
俺はそいつをひっつかむと、
「見本を見せてやる」
地面に叩き伏せ、無限風呂敷からペンチを取り出すと、一枚一枚その爪をベキッ! ベキッ! とはがし始める。
「ぎゃーーーーーっ!!!」
叫び声をあげてじたばたと暴れるけれども俺の力の前ではコボルドなど無力だ。
「ふえぇぇぇぇ~~~ん! やめてやってくれ、そいつだって我の部下なのじゃ……」
白目をむいて失神しているコボルド、そいつの頭からポーションをふりかけてやる、すると目を醒ましてまたも「うぎゃーーっ!」と叫んで暴れ始めたのでおさえつけてまた爪をはいでやる、八本目をはいだところでまた失神したのでまたポーションを振りかけて今度は歯を一本一本抜き始める、ちなみに俺の視線はずっとアルティーナに向けたままだ。
アルティーナは完全に恐怖していた。彼女の倒れている地面が濡れているな。これ、失禁してるんじゃないか?
おしっこまみれになって泣いているアルティーナ、顔が涙でぐしゃぐしゃだ。魔族とはいえ、まだまだ子供なんだなー。
「かっこいい! かっこいい! すっごい! 人類の救世主じゃーん! あっはっはー!」
喜んでみているリチェラッテ、
「あれ、あの、これって悪ですよね? こっちが悪人ムーブしてますよね? っていうか拷問とか邪悪ですよね? あの、泣いてますよその子……あの、やめたげて?」
とかぬかすカルア。
「いや、やめたらお前が
不思議なことを言う娘だなあ。
リチェラッテも、
「何言ってんのカルア、あたしたち無理やり魔族にあれをアレされて魔族の子供を産まされてから食われて死ぬとこだったんだよ、爪はぐくらいむしろ優しいでしょ、あったかみすら感じるよ」
ふむ、リチェラッテはわかっているなー。
モンスター相手にむりやり抜歯するくらい、ぽかぽか陽気の春の日に昼寝するくらい平和な行為だろー。
俺はアルティーナに向き直る。
「俺はどっちでもいいけど、どうする? とりあえず、俺は今からこのお前の乳姉妹の爪をゆっくり剥いでるから、時間かけて考えていてもいーよ。あと目ん玉もえぐりだしておこうかな。死なないギリギリ程度の死にたくなるくらいの痛みをじっくりたっぷりだ。まずは爪からだな」
ファモーを押さえつける。こいつ、人間7に狼3くらいの割合の獣人だな。