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騎士から神官戦士へ

 自らの過去、そしてこれからのブロッス帝国との戦いに対する新たな決意をギンは表明し、一同もその決意を尊重した時、司祭がギンに声をかける。


「ではギン殿、先程も申した通り、別の書物から剣士、魔導士のその後を調べてみましょう。あなたがルワール国内の領主の子だと分かれば、ルーツも特定しやすいかも知れません」

「お願いします」


 ギンと司祭のやり取りが終わるとムルカが司祭に話す。


「あの司祭様、魔法剣の話だけではなく、その……」


 ムルカが言葉を詰まらせるが、司祭は何を言わんとしようとしたかを理解した為、ムルカに言葉を放つ。


「あなたにも忘れられないことがあるでしょう、だから行っておあげなさい」

「ありがとうございます」


 次の瞬間、ムルカはルルーとギン達に伝達した。


「ルルー、みんな。私は少し出かけてくる」

「ええ、お気をつけて」


 ルルーの送りの挨拶を受け、ムルカは教会をあとにする。


 ムルカが教会を出ていくとブライアンがルルーに聞く。


「なあ、ルルー、ムルカの旦那は一体どこに行ったんだ?」


 ブライアンの問いに、ルルーは司祭の方を向き、司祭はルルーの表情を見て頷いて、何かを察したルルーはブライアンやギン達に語り始める。


「本当は私から話していいのかとは思うけど、みんなにもやっぱり知ってもらう必要があるから話すわね。ムルカ様は15年ほど前に奥様を亡くされてるの」


 ルルーが話したムルカが妻を亡くしているという事実に一同が驚くが、すぐにギンが言葉を発する。


「じゃあ、ムルカ殿が出かけられたのは……」

「ええ、お墓参りよ」


 ムルカが妻を亡くしているという事実を聞いて、エイムがルルーに尋ねる。


「ルルーさんはムルカ様の奥様にお会いしたことはあるんですか?」

「私がミッツ教団に入信したころはもうお亡くなりになってたわ。それにムルカ様が入信されたきっかけは奥様を亡くされたからなの」


 ブライアンが思っていた以上にムルカの入信期間が短かったので思わずルルーに尋ねる。


「どういうことだ?お前もそうだが、普通はガキの頃に入信するんじゃねえのか?」

「確かに私は8歳のころに親の薦めもあって入信したけど、っていうかあなたプレツに居て知らなかったの?」

「何をだよ?」

「ムルカ様が元はプレツの騎士団の一員だったってことよ」


 更なるムルカの過去に一同は驚きを隠せない。そんな時ブライアンが知らなかった理由を説明する。


「いや、俺も15年以上前じゃガキだし、それに騎士団の1人ってんじゃ、平民の俺んじゃ情報も入ってこなかったしよ」

「そうなの、でも軍人にとっては『プレツに騎士ムルカあり』といわしめる程だったらしいわ」


 ルルーとブライアンのやり取りを聞いてギンは疑問を抱き、ルルーにぶつける。


「奥さんを亡くして入信してるってことは騎士団を辞めたという事だな、まさか病気とかではないよな?」


 ギンの疑問に一瞬言葉が止まるが、意を決してルルーは語り始める。


「奥様は戦争の犠牲になったの」


 ムルカの妻の死の真相とは?

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