プレツのミッツ教団司祭より魔法剣の歴史の話を聞かされたギン。
彼は伝承に登場した剣士と魔導士の行方を司祭に尋ねたがその後歴史から姿を消したという話を聞き、一瞬唖然とするのだが司祭に声をかけられる。
「まあギン殿、この書物に書かれなかっただけで他の書物に書かれているかも知れませんし、今1度我らにお任せください」
「ありがとうございます」
司祭とギンがやり取りをしている中、ブライアンがギンに聞く。
「なあ、ギン、お前はそもそもどうやって魔法剣を身につけたんだ?」
ブライアンの問いに司祭が更に質問を重ねる。
「そうですね。あなたが魔法剣を習得した経緯を話していただければ、伝承の剣士との共通点や差異点が分かるかも知れません」
ブライアンと司祭の問いを受けギンが自らの事を話す。
「魔法剣自体はほとんど偶然に近い形で習得しました。ですが経緯の中で魔力コントロールの大事さをみっちり教えられました」
魔力コントロールという言葉を聞いてエイムがギンに問う。
「どのような方に教わったんですか?」
「父に仕えていたブレイクという男からだ。彼は剣も魔法も高水準で使いこなしていた」
ギンの発言に引っ掛かりをおぼえたルルーが思わずギンに尋ねる。
「ちょっと待ってギン⁉
「そういえば話してなかったな。別に隠していたわけではないんだが」
「あなたにも事情があったと思うし、今更そんなことは気にしないわ」
「すまん。そう言ってもらえると気が楽だ」
ギンはここに来て、自らの事を一同に打ち明けた。
「俺の父は、ルワール王国に仕えていた小領主で、俺はその第3子だ」
ギンが口にしたルワール王国という言葉を耳にしたムルカがギンに尋ねる。
「ギン殿、まさか帝国に貴殿の実家は……」
「いえ、帝国が本格侵攻をする前に内乱があってそれにより両親、2人の兄は命を落としました。ブレイクはその際に俺をコッポまで逃がしてくれました。彼がコッポにツテがあったこともあったので」
「そうか……」
ギンの話を聞いてブライアンがギンに対して謝罪の言葉を言う。
「すまねえな、辛いことを思い出せちまって」
「いや、お前が謝ることじゃない。今の俺は両親や兄たちの死を無駄にしない為に精一杯生きていく。それだけだ」
「ギン……」
ギンの強くも、どこか自分自身に言い聞かせている部分もある言葉だが、ギンの言葉を一同は信じることとした。