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魔法剣の歴史

 プレツの都市であるスップにあるミッツ教団の教会に帰還したギン達。


 教会に入り、ルルーが帰還の挨拶をする。


「ルルー、ただいま戻りました」

「同じくムルカ、ただいま戻りました」


 ルルーとムルカの声を聞いて司祭が反応し、2人及びギン達に声をかける。


「おお、無事に戻られましたね、ムルカ、ルルー、ギン殿達。ん?あの方達は?」


 司祭がヨナ達の存在に疑問を感じ、ルルーが言葉を返す。


「あの者達については相談もかねて説明したいと思いますので、魔法剣についてお分かりになったことをご説明願えますか?」

「そうですね、ギン殿」


 司祭がギンを呼び、ギンが反応を示す。


「はい」

「あなた方が各国を回っている間に我々が分かったことを話したいと思います」

「よろしくお願いします」


 ギンの言葉を聞いて司祭はおもむろに本を取り出す。


「この本に魔法剣の、正確にはかつて魔法剣を駆使して邪龍と呼ばれる存在を倒したの事が書かれています」

「ん?魔法剣を駆使した、どういうことですか魔法剣は1人で使用できるものではなかったのですか?」

「まあ読み上げますのでお聞きください。『邪龍あらわれし時、人々が絶望にうちひがれるなか、剣に魔力を纏いし剣士、そして力を与へんとする魔導士が邪龍に挑まんとする。邪龍の力は想像を絶するものであったが魔導士の魔力を剣に纏いし剣士の力で邪龍を滅し、再び人々に希望を取り戻さんとする』という内容ですがいかがでしょうか?」


 魔法剣の歴史が書かれた本の内容を聞いて呆然とするギンであったが、自身の感想を述べる。


「申し訳ない、思った以上に壮大な話であったのですこし驚きました。まず俺自身はこの話を今日初めて知りました。俺が初めて魔法剣を得た時も魔法剣は1人で使用するものであると認識していたので、まさか剣士が魔導士より魔法を受けその剣で邪龍という存在を倒していたなんて想像さえしていませんでした」

「そうですか、あなたにとっても初めて知ることが多かったわけですね」


 ギンと司祭の話を聞いて、ムルカが口を挟む。


「ですが司祭様、もし帝国が我々より先にこの伝承を認識していたとするならギン殿の魔法剣を警戒し、自らの戦力に取り込むか力が大きくなる前に排除しようとするのはうなずけますな」

「ムルカの言う通りかも知れませんね」


 ギンは話を聞いて浮かんだ疑問を司祭にぶつける。


「司祭殿、この剣士と魔導士のその後は分かりませんか?」

「残念ながら邪龍討伐後の消息は不明です。名もなき英雄といったところでしょう」

「名もなき英雄……」


 魔法剣に秘められし別の力の存在を知ったギン。彼にとってその力は大きすぎるものか、それとも……

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