スール国側で出国手続きを終わらせ、プレツ国の国境でルルーが入国手続きをしていると国境の兵士に声をかけられる。
「あなた方は特使殿ですねお帰りなさいませ。同盟交渉の成果は報告を受けております」
「ありがとうございます。帝国軍の襲撃もありましたが無事に切り抜けられました」
「そうでしたか、ん?このもう1台の馬車の者達は?」
「旅先でミッツ教に入信したいと申し出がありましたので教会までお連れしようかと」
ルルーの発言に対して思わずヨナが抗議に行く。
「ちょっと待ってよ、別にあたしらは……」
ヨナが抗議しそうになるとエイムがヨナの前に立ち、人差し指を口元にあて、静かにするようにジェスチャーをする。
「エ、エイム?」
ヨナの声を受け、エイムが小声で話す。
「ヨナさん、ルルーさんはヨナさん達が入国しやすいように、ああ仰ってくれているんですよ。私達も前にそういうことがあったから」
「そういうこと」
エイムとヨナがやりとりをしている間にプレツへの入国手続きが完了し、ミッツ教団の教会があるスップへと向かっていく。
その道中馬車の手綱を握っているギンにブライアンが声をかけている。
「なあ、ギン」
「どうした?突然」
「あの時お前わざわざ俺の口に手を当て無理やり黙らしたよな、さっきのエイムみたいに静かにするようなポーズでよかったんじゃないのか」
ブライアンの言うあの時とはコッポからプレツに入国する際に、今回と同じくルルーがギン達をミッツ教団の新たな入信希望者と兵士に説明しようとしたところを抗議しようとした際に、ギンに口を紡がれたことなのだ。
「そういえばそんなことがあったな」
「何、他人事みたいに言ってんだよ。人を乱暴に扱いやかがって!」
「お前は声がでかいからな無理にでも止めないとルルーの行動が無駄になると思ったからな」
「だからってもう少しやりようがあったんじゃないのか」
2人のやり取りを聞いて、思わずルルーがツッコミを入れる。
「うるさい!いつまでやってんのよ」
ルルーの声を聞いて、2人は黙り込み、ようやくスップまでたどり着く。
スップにたどり着くとルルーが一同に声をかける。
「このまま教会まで馬車で行きましょう。ループとゲンジのお世話は教徒に任せればいいから」
「ゲンジの世話はあたしらがやるよ場所さえ貸してくれりゃ」
「分かったわ」
そしてようやく教会の前までたどり着き、ルルーが教会に最初に入っていく。
「ルルー、ただいま戻りました」