プレツのミッツ教団の司祭より突如、帰還要請を受けたギン達は帰還の前にヨナ達を迎えに村まで向かった。
その道中で何やら話しているようだ。
「とりあえず国王と側近のやり取りはヨナ達には内緒にしておきましょう、ただでさえ辛い思いを強いられているのに、こんなことを言われたなんて知ったらまたどう思うか」
ルルーがヨナ達の心情に配慮し黙っているのが良いという意見を聞いて、馬車の手綱をとっているギンが反応を示す。
「俺もその意見に賛成だ。あいつらにはできる限り前向きでいてもらわなくては困るからな」
「そうね、彼らは新しい1歩を踏み出そうとしているからね」
ギンがルルーとやり取りをしているとヨナ達の村に着き、門番にギンが話しかける。
「今戻った。ヨナを呼んでくれるか」
「へい。姉御、特使さん達が戻ってきやしたぜ」
門番がヨナを呼びに行き、しばらく待っているとヨナがギン達の前に現れる。
「あ、お帰り。もう出発するのかい?」
ヨナの問いかけにルルーが説明をする。
「そうだけど、私達プレツに戻らなくちゃいけなくなったの。あなたたちもついてきてもらうことになるけどいいかな?」
「ああ、別にどこにでもついて行くつもりだったし」
「それじゃあ、早速出発の準備をしてくれる」
「あいよ」
ヨナがそう言うと他の傭兵達も出発の準備を始める。準備のさなか彼らも馬車を引っ張り出してくる。馬車を見てルルーが声を発する。
「あなた達、馬車を所有してたの」
「あたしらは傭兵仕事な合間に行商もやってっからね。まああんたらの馬車みたいに小ぎれいじゃないけどね」
ヨナとルルーがやり取りをしているとエイムがヨナに声をかける。
「あ、ヨナさんちょっといいですか?」
「何だい?」
「ヨナさん達のお馬さんの名前はなんていうんですか」
「ゲンジっていうんだ」
ヨナより馬の名前を聞いてゲンジの方に駆け寄って声をかける。
「これからよろしくお願いしますねゲンジ」
「エイムは馬が好きなのかい?」
「ループも私達の仲間ですし、ゲンジもそうですよ」
エイムが屈託のない笑顔で返答して拍子抜けしたヨナはルルーに声をかける。
「仲間か……、あたしらのこともそう思ってるのかな」
「そうよ。それにあの子だけじゃなくて、私達みんなあなた達を仲間として迎えるわ」
ヨナとルルーの間に穏やかな空気が流れ、いよいよ出発の時が来た。
ヨナ達の村を発ち、しばらく進んでいくと、グラッスとスールの国境が見えてきた。
国境を抜けるとジエイが馬車を降り、一同に声をかける。
「では皆さん、私はこれより王宮に戻り陛下にこれまでの情報を伝えて参ります」
立ち去ろうとするジエイにブライアンが声をかける。
「じゃあな、ジエイ元気でな」
「しばしの別れです。報告が終わり次第、私もプレツに参ります」
そう言ってジエイはスールの王宮へと向かっていく。
再会を信じ、しばしの間、別行動をとるジエイであった。