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帰還要請

 グラッスとの同盟交渉を終えたギン達はヨナ達の村へと戻っていく準備をしていた。そんな時にギン達のもとにミッツ教団の使者が声をかける。


「ムルカ様、ルルー様お久しぶりです」


 使者の声にムルカとルルーが反応する。


「貴殿はミッツ教団の使者か?」

「あなたが来たってことは次の国のお知らせ?」


 ムルカとルルーの問いに使者が答える。


「いえ、司祭様より1度プレツに戻るよう言伝を頼まれて参りました」


 突然の帰還要請に戸惑いを隠せないムルカは使者に尋ねる。


「何故、今帰還しなければならないのだ?我らの同盟交渉は今のところ成功しているのだが」


 使者はムルカに問われているが、断りをいれてからギンとの話を所望する。


「申し訳ありません、ムルカ様。ギン殿とお話をさせてもらえないでしょうか?」

「承知した。ギン殿、少しよろしいか?」


 ムルカに呼ばれたギンはムルカのもとに向かっていく。


「どうしました?」

「この者が貴殿に話があるようだ」


 ムルカの言葉を聞いてから使者がギンに対して言葉を発する。


「ギン殿ですね、司祭様があなたにお話があるので帰還してほしいとのことです」

「俺に話?」

「はい、魔法剣について分かったことがあるのでそのお話をしたいと仰っていました」


 使者の話を聞いてムルカが使者に疑問を投げかける。


「待たれよ、その話の為だけにギン殿や我らが戻るのか?確かに我々が調べてもらうようお願いをしたが……」


 ムルカの疑問に対し使者がムルカに耳打ちをする。


「ムルカ様……」


 使者の耳打ちの内容を聞いたムルカは表情を曇らせながらも言葉を発する。


「そういうことか……」

「はい、司祭様のムルカ様に対する心遣いもあります」

「先に戻って司祭様に感謝の旨をお伝え願う」

「承知いたしました、では私はこれで」


 そう言って使者はその場をあとにする。


 事情を知っているのかルルーはムルカに声をかけづらそうにしているが、ムルカからルルーに声をかける。


「何をしているのだルルー、早くヨナ殿達を迎えに行き、プレツに戻るぞ」

「えっ、は、はい」


 ルルーは急いで馬車へと乗り込み、エイム達にもプレツに戻ることを説明する。


「みんな聞いてくれる、司祭様が私達にプレツへ戻ってきてほしいとの知らせを使者より聞いたからヨナ達を拾い次第プレツに戻るわ」


 ルルーの説明に疑問が生まれたエイムはルルーに尋ねる。


「どうして急にプレツに戻ることになったんですか?」

「司祭様がギンの魔法剣について分かったことがあるからそのお話をされるとのことよ」

「魔法剣についてですか!良かったですねギンさん!」


 うれしそうに話すエイムに対してギンが言葉を返す。


「良いかどうかは分からないが俺の知らないことが少しでも分かるのなら、何かのきっかけにはなるかも知れない」


 ギンの言葉を聞いてルルーが言葉を発する。


「そうね、私としてはヨナ達のことを司祭様にご相談できるから、いいタイミングでの帰還ね」


 ギン達が会話をしているとジエイが口を開く。


「皆さん、そういうことでしたら私は1度スールに戻ろうと思います。陛下にこれまでに得た情報を報告したいので、よろしいでしょうか?」

「お前は元々スール王の密命で動いているからな、俺達に止める権利はない」

「では、私も帰国します。報告が終われば私もプレツに向かいます」


 ジエイの話を聞いてルルーが一同に声をかける。


「じゃあ、まずヨナ達を迎えに行きましょう」


 プレツへの突然の帰還。そこで話される魔法剣の新たな真実とは?

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