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グラッスへの不安

ギン、エイム、ブライアンの3人がそれぞれの買い物を終え町中で話しているところにジエイが戻ってきて一同に声をかける。


「皆さん、ただいま戻りました」

「ジエイか、帝国軍は?」

「はい、既に国内より撤退した模様です」

「そうか、さすがにあの指揮官が負傷していたら作戦続行は無理か」


 ジエイの話を聞いて、とりあえず安堵しているギン達のもとにルルーとムルカが戻ってきて声をかける。


「みんな、戻ったわ」

「ルルーさん、ムルカ様、お疲れ様です」


 エイムに声をかけられたルルーが一同に同盟交渉の結果を報告する。


「同盟交渉はスムーズに交渉がすすんで結んでくれたわ。だけどヨナ達の処遇の部分でちょっと……」


 ルルーの言葉が止まったのを見て、ブライアンが思わず言葉を発する。


「まさかあいつらも処罰されるのか?」

「そういうことにはならないわ。ただ国王には1度私達が護衛として雇うのを反対されたけど、側近が国王になんか耳打ちしたら急に態度が変わって、雇っていいってことになったの」


 ルルーより国王のヨナ達に対する処遇の変化を聞いて一同は一瞬、言葉を失うがエイムがルルーに対し言葉をかける。


「でもヨナさん達が私達と一緒に旅をしてくれるんですよね?」

「そうよ。でも釈然としないの、国王はヨナ達を自国民としてなにかをしたかったかも知れないけど、側近がなにか吹き込んで、その、私にはまるでヨナ達を厄介者として扱っているようで嫌な気分だったわ」


 ルルーの発言を聞いて、ムルカも自らの考えを述べる。


「私もルルーに同感だ。しかし我らの立場ではグラッスの内政までは口出しはできん、割り切ることも大事だ」

「はい、心得ております」


 ムルカとルルーの話を聞いて、思うことがあったのかギンが言葉を発する。


「これは俺の推測だが、もしかしてヨナ達を国内に残しておくのが側近や他の領主たちにとって都合が悪いことでもあるのかも知れないな」

「それは側近があわてて耳打ちをしたという話を聞いてか?私も何か焦っているように感じたが、単に厄介者扱いしているわけではないと?」

「はい、ヨナ達には何かあるかも知れませんね」


 ギンの話を聞いてルルーがギンに尋ねる。


「ヨナ達に聞いてみるの?」

「いや、単なる推測で聞く必要はないだろう。これからあいつらと共に戦っていくんだ、わざわざ嫌な気分にさせることはない」

「そうね、憶測であれこれ言われちゃヨナ達も嫌だろうし」

 ギン達にとってこの先グラッスが帝国とギン達との関係に影響を及ぼすがそれはまだ先の話。

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