ヨナ達傭兵団との傭兵契約を結んだギン達だが、現在別の問題が生じていた。
そのことについてムルカが言及をしていた。
「これからグラッスとの同盟交渉に向かいたいが、今頃王宮は大騒ぎであろうな」
ムルカの発言に対してルルーが反応を示す。
「そうですね。トッポックス領主がどうなっているかが気になりますね。もしその対応に追われてたら私達との同盟どころではありませんからね」
ムルカとルルーの話を聞いたジエイがある提案をする。
「ムルカ殿、ルルー殿、私が様子を確認してきましょうか?」
「貴殿がか?そうだな我らが今下手に動くと余計な混乱を招きかねんからな」
「しからばごめん」
偵察に向かおうとするジエイに対し、ブライアンが声をかける。
「あ、ちょっと待ってくれジエイ。お前が速く動けるのってあれも忍術なのか?」
「左様。あれも忍術の一種です。では改めてごめん」
ブライアンの質問に答え、ジエイはグラッス国内の偵察に向かう。
その様子を見てヨナから言葉がもれる。
「いやーー、あいつすごいんだね」
ヨナの言葉を聞いてギンが反応を示す。
「そうだな、俺達もあいつには驚かされる」
「さっきの奴もだけど、よく考えたらあんたらもすごいんだよ。あの魔導騎士団をやっつけるなんてさ」
「だがいずれ奴らはまた動き出す。今回みたいな戦い方はもう通用しないだろうからな」
ギンの言う今回の戦い方とはエイムの風魔法で自らの体を吹き飛ばし、勢いをつけて敵を斬りつけるものだったが、結果的に魔導騎士団長カイスと痛み分けという形になったのである。
ギンがヨナに話しているのを見てエイムがギンに話しかける。
「そうですよ。あんなこと本当にもうしないでください」
「そうだな。それはお前の言う通りだ」
こうやって時間が過ぎていくなか、ジエイが戻って来た。
「ただいま戻りました」
ジエイの声を聞いて、ムルカが反応を示す。
「おおジエイ殿、それで状況は?」
「はい、やはり既にトッポックス領主は身柄を拘束され、屋敷も接収されていました。今は国王の側近が屋敷に入り政務を行っているようですがこれからどうなるかは……」
ジエイの言葉を少し顔を伏せ気味でヨナが聞いて、言葉を返す。
「そっ……か、まあそうなるよね」
ヨナを心配そうに見てエイムが呟く。
「ヨナさん……」
更にルルーからジエイは尋ねられる。
「それでジエイ、同盟交渉はできそうなの?」
「今日はもう無理でしょう。明日私が先に王宮へ向かい情報を集めそのうえで皆さんがついてくるというのはいかがでしょうか?」
「分かったわ」
いよいよグラッスとの同盟交渉が始まろうとしている。