傭兵団を率いるヨナが通行料の要求をしたのを独断ではなくトッポックス領主の依頼ではないかと考えたギン達はその真意を探るためヨナ達が向かった可能性のある村へと向かっていった。
その道中でジエイがギン達より先行して得た情報を話している。
「まあ、色々あって情報を話す暇がなかったのですが、この国は基本的に合議制という形の政治をとっているのです」
ジエイの発言を聞いて、エイムが抱いた疑問をぶつける。
「あのジエイさん、すいません合議制とは何なんですか?」
「簡単に言うと、多数決のようなものですね。まあ、いきなりどういう選択をするかを決めるのではなく、それぞれの意見を出し合いそのうえで最終的に多数の意見を尊重するという流れですね」
ジエイの発言にムルカが言葉を挟む。
「特にこの国は地方領主の権限が強く独立性が強いから国王といえど決定を覆すのは難しいのだな」
「そうですね、いかに領主達とうまく付き合っていくかで国王の手腕が問われますね」
ジエイとムルカの発言を聞いて、ブライアンから思わず言葉が発せられる。
「王様も大変だな家来の機嫌をとらなきゃならねえなんて」
ブライアンの発言を受け、ルルーがグラッスの現状を交えて話す。
「特にグラッスは国王がまだ若く即位したばかりだから古参の家臣の意見を無視して政治を行うのは難しいの」
全員の話を聞いてギンが自分の意見を述べる。
「だが結局は同盟反対派のトップックス領主が今回の件を主導した可能性がある。合議制を一地方の領主が無視したとなれば粛清対象になるのは避けられないな」
ギン達がグラッスの現状を話していると村らしきものが見えたが、なにやら厳戒態勢のように見える。
その様子を見たブライアンが思わず言葉を発する。
「何だありゃ?本当に村か?」
ブライアンがそう思うのも無理はない。高台から外敵を見張っているような様子であり、ブライアンが目にした者達は武装していたのである。
ブライアンが言葉を発した直後にムルカが不安を口に出す。
「うかつに近づいて攻撃してこないだろうな?」
ムルカの言葉を聞いたギンが全員に向けて言葉を放つ。
「みんな、ひとまず俺が近づいて様子を見る。安全を確認したらみんなも来てくれ」
心配になったエイムはギンに声をかける。
「ギンさん、気を付けて下さい」
エイムの言葉にギンは無言で頷き村の入り口に近づいていく。
ギンが近づいた様子に気付いた見張りはギンに声を出す。
「何だ?てめえは」
「俺は怪しい者ではない。お前たちをまとめている者と話がしたい。村に入れてはくれないか?」
「俺達をまとめている?ああ、姉御の事か。一体何の用だってんだ?」
見張りの質問にギンは答える。
「俺達はお前たちが言う、姉御という者に不当な通行料を取られそうになった。その理由が知りたい」
「通行料?あ、お前あの時の奴か。まさか俺達に仕返しにでも来たのか?」
「俺の話を聞いてなかったのか?そうした理由が知りたいんだ」
「うるせえ!こうなったら姉御にてめえをぶちのめしてもらうから、逃げるのなら今のうちだぞ」
そう言って見張りはヨナを呼びにその場を離れた。
しばらくすると見張りはヨナを連れて戻ってきた。
「あ、あんたあの時の奴じゃないか。あたしに何の用だい?」
ギン達とヨナ達は話し合いを成り立たせるのか?