ギンとカイスはものすごい勢いで衝突し、互いに後方に吹っ飛び、その場に倒れこんでしまう。それぞれの仲間が心配で駆け寄っていき、プラナがカイスに声を掛ける。
「カイス様!ご無事ですか⁉」
すぐに反応は見られなかったが、力を振り絞りプラナの言葉にカイスが反応を示す。
「う……う、ううん、はあっ……はあっ……、プラナよ感謝するぞ。お前の魔法で致命傷はまぬがれた」
「カイス様……、ご無事で何よりです」
プラナが安堵の表情を見せるも、次の瞬間再びカイスは倒れこむ。
「何⁉体が思うように動かん、どういうことだ?」
カイスの声が聞こえ、ギンが倒れたままカイスに言葉を放つ。
「あれ程の勢いだ、例え防御魔法でも完全に防げたわけではないだろう」
ギンが言葉を発したことにエイム達が反応を示す。
「ギンさん!よかった。無事でしたんですね」
「とんでもねえ奴だなあんなことして気を失わねえなんて」
「でも、全くの無傷ではないでしょう、そもそも動けるの?」
ルルーの問いにギンが答える。
「奴と同じで体は動かない。だが、お前達が動けるなら俺達の勝ちだ」
ギンの言うように、魔導騎士団側はプラナ1人しかまともに動けるものはいない。その一方でギンが戦闘継続が困難になった者の、エイム達3人は戦闘が可能だ。もはやプラナにも3人を相手にする余力はない。
最後の決着になるかという時に、帝国軍の兵士がカイス達のもとに駆け寄る。
「カイス様!これは……」
「すまぬが今、体を思うように動かすことが出来ぬ。どうしたのだ?」
「はっ!砦の攻略に失敗し、更にはトーラス様も負傷なされました。現在は他の者が本陣までお連れしております」
「トーラスまでもが……やむを得ん、退くぞ!」
カイスの撤退命令を受け、プラナがある役割を申し出る。
「カイス様、私が殿をしますので、先にお退き下さい」
プラナの申し出を受けたカイスが部下の兵士に抱えられ撤退準備をしながらギンに呼びかける。
「剣士よ、名はなんと言う」
「俺は傭兵のギンだ」
「ギンか、その名覚えておくぞ」
そう言ってカイスは部下の馬の後方に乗り、その場を離脱する。そしてプラナが殿としての務めを果たそうとする。
「貴様ら!次会う時はこうはいかんぞ!」
そう言ってプラナは火の魔法を放ちブライアン達の進路を封鎖し、その場から離脱する。
「くそっ!火の魔法か」
「任せて」
そう言ってルルーは水の魔法を放ち火を消化するが、すでに魔導騎士団の姿はない。
「ちきしょう、逃がしたか」
「まあ、指揮官があそこまで負傷したらグラッスの攻略は今は無理ね、私もギンに治癒魔法をかけないと」
そう言ってルルーはギンに治癒魔法をかけるためギンに近づいていく。
魔導騎士団を敗走させることに成功するギン達であった。