カイスはギン達に対し戦場を離脱することを推奨したが、ギンはその提案を跳ね除け、カイス率いる魔導騎士団と戦うことを自らの剣をもって示す。その態度にカイス自身もギン達と戦うことを決意する。ギンの剣をかわしたカイスがギンに話しかけている。
「分かっているのか、剣を我らに向けるというのがどういうことか」
「当然だ。お前は抵抗の意志の無い者を殺めない騎士道精神にあふれる男。それは理解した。だが俺達はお前たちと戦わなければならないんだ」
ギンの言葉を聞いたプラナがギンに聞く。
「我らに敵対の意志を示すということは、貴様らはプレツの者達か?」
「厳密には少し違うが、まあそういうことだ」
ギン、エイムはコッポ国の者、ジエイはスール国の者なのだがそこまでを説明する必要はないとギンは踏んで手短に答える。
ギンの返答を聞いたカイスが改めてギン達に宣言を行う。
「貴様らがプレツより同盟の為に動いているならばそれは帝国そのものへの敵対行為。ならば私は魔導騎士団長として貴様らを生かしてはおかん」
そう言ってカイスも剣を抜き臨戦態勢に入る。部下であるプラナ、そして彼らに付き従う兵士たちもだ。
彼らが剣を抜くとジエイが後方の異変に気付き、ギンに告げる。
「ギン殿、彼らの後方から火の手があがってます。確かあの方向には砦があるはず。急がなければ領主の館も彼らに占拠されてしまいます」
ジエイの話はもっともだが、焦って勝てるような敵ではないとギンは感じている。そんな時、ムルカがギンに提案を示す。
「ギン殿、私とジエイ殿が砦の救援に向かう。貴殿らはここを頼む」
ムルカの提案にルルーが戸惑い、思わず声をあげる。
「ムルカ様とジエイだけでですか?それでしたら私も参ります」
「いや、貴殿はギン殿達とこの戦線を維持してくれ。私もルルーほどではないが治癒魔法は使えるから余計な心配はいらん」
「ムルカ様……、分かりました。お気をつけて」
ルルーの言葉にムルカは頷き、ジエイと共に兵士の間を駆け抜けていく。その動きに翻弄されたプラナが追撃に向かうがカイスより制止の言葉を受ける。
「くっ……、待て!」
「プラナ!追撃は不要だ!」
「よろしいのですか?」
「あちらにはトーラスがいる。奴がいればそう簡単にはいかんだろう。それより我々はまずはこの者達を一掃する」
カイスは副官であるトーラスを信頼しており、彼の力量ならばそう簡単にはぬからないと踏んでいる。ならば自分達は自身の役割を果たすことに専念すべきだとプラナに告げる。一通りの動きが終わり、いよいよ開戦の時だ。