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02

 「……」

 「……」


 無言のお茶会。いろんなものが置かれ始めた、僕の居室。

 いつもと同じように面談後に開かれたお茶会が、いつもの3倍くらい静かだった。


 「キューサクさんも、考え抜いた末に、同じように思ったんでしょうね」


 零せば、警備員さんがすいっとこちらを向く。


 「『どうして私が、我慢しないといけないんだ』って。それで、そういう政治体制を壊すために、シハイに協力した」


 下を向く。ティーカップの中で、エアコンの風を受けた紅茶が時折、さざ波を立てる。


 「で、やれることを全部やったから、死んだ。こんな世界に用はないと、後はシハイと警備員さんに任せた、と」

 「それは、分析か? 共感の結果か?」


 今まで黙っていた警備員さんが、口を開く。青い瞳が、揺れている。キューサクの本心がそうだったら嫌だな、なんて思っているんだろうな。


 「分析です。生きている本人に会えていないので、共感のしようがありません」


 警備員さんは「そうか」とだけ言って、黙った。


 再び、沈黙が居室を支配する。その重苦しさが、これから起こるであろうことを暗示しているようで。でも僕は、何もできなかった。

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