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第23話 迅雷

 借りる防具を選び終えた迅と購入が終わった雫は一緒に店を出る

 出た後、雫が口を開く


「明日もダンジョン潜りますよね?」

「あぁ、行く予定だ。その為に防具を借りた」

「ちなみに何級のダンジョンの予定ですか?」


 ……どこ行くか考えてなかったな


「まだ決めていない。少し待ってくれ」


 迅は思案する

 迅は適当に行く予定だったから考えていなかった


 ……6級か5級の予定だが……あぁ、折角だからあそこ行くか


 とあるダンジョンの事を思い浮かべた

 そのダンジョンは5級、丁度良い危険度

 そしてそろそろ行く予定だった場所


「5級のダンジョンに挑む」

「5級ですか」

「あぁ、そしてそこは先程話していた鉱石が取れるダンジョンだ」


 鉱石が手に入る為、敢えてボスを討伐せずに放置しているダンジョンがある


「鉱石が取れるダンジョン……着いて行っても大丈夫ですか? 鉱石採掘さいくつも手伝います」

「構わないぞ。訓練なら5級は丁度良いか」


 ……1体ずつの戦闘なら5級でも差程強くは無い。初心者でも勝てる


 初心者の剣の訓練をするのに丁度良いくらいの危険度と迅は考えている

 何かあっても迅が居れば危険な目を遭う事もほぼ無い上、雫自体身を守る術は持っている


「はい、1体ずつであれば何とか行けると思います。シールドもありますし」


 迅を守る為に使っていた障壁、4級のボスの攻撃も防げる硬さを持つ魔法

 5級の魔物程度ならビクともしない


「行く予定のダンジョンは群れの魔物は居ないから一気に出てきても2、3体程度だ」

「そのダンジョンの所有権はどのクランも持ってませんよね?」

「……人気の無い場所にあるダンジョンだからな。アプリのリストにも載っていないから何処も所有権は持ってないはずだ」


 鉱石の採掘が可能なダンジョンの一部は大手クランが所有している

 所有権を手に入れればそこで手に入る鉱石の独占が可能

 多くの利益を手に入れられる代わりにそのダンジョンで起きた事の責任をクランが負う


 ……それなら正式にクランと認められた私達のクランで独占をすれば……


 クランなら所有権を得る事が可能

 大手に取られる前にダンジョンの所有権を得られればクランの資金源ともなる

 その資金があれば様々なメリットをクラン所属の探索者に与えられて人も増やせる


 ……取り敢えず一度見た方がいいですよね


「何時に行く予定ですか? 合わせます」


 ……鉱石採掘は長い、それに雫の戦闘訓練もある。となると……遅くとも7時には入りたいな


 鉱石の採掘には時間がかかる

 一度に纏めて回収していると言う理由もあるが戦闘のように雑にさっさと済ませるが出来ない

 鉱石を雑に扱えば売り物、つまり加工に使えなくなったり品質が落ちてしまう


「7時だ。場所はここだ」


 ダンジョンのある場所を記したマップを雫に送る

 マップを雫は確認して頷く


「7時ですね。わかりました」


 2人は別れてそれぞれ家に向かう


 ……7時、早いですね。迅さんは朝方の探索者なんですかね


 ダンジョンに潜る時間は自由の為、探索者の中には朝方に動く人や昼に動く人、夜に動く人など様々


 迅は家に帰った後、のんびりとしていると夢が帰ってくる

 今日はいつもより疲れた様子だ


「おかえり」

「ただいま」


 帰ってきた夢はジッと迅を見てため息をつく


「……? どうかしたか?」


 夢は台所でコーヒーをコップに注いで迅の隣に座った

 そしてコーヒーに角砂糖を入れて掻き混ぜる


「今日、迷宮狩人の迅雷じんらいと会ったんだけど……」

「迅雷……あぁ、聞いた事あるな。確かかみなり魔法の使い手だったか」


 迅雷、ある雷系の魔法を使う探索者の異名いみょう

 迷宮狩人めいきゅうかりうどと言うクランに所属している強い探索者


「そう、その迅雷、砂糖少し足りないか」


 夢は混ぜ終えたコーヒーを飲む

 砂糖を軽く入れる


「それがどうかしたのか?」

「僕に似ている探索者に会ったと言っていてね。何か心当たりはないかい?」

「心当たり?」


 迅に特に心当たりは無い

 迅は迅雷と言う異名は知っていてもどんな人物なのかは知らない


「似ていると言うのは見た目の話だと考えられるからねぇ。それならお兄ちゃんしか居ない訳だ」


 血の繋がりのある兄妹なだけあって2人の見た目はそれなりに似ている

 髪色は黒と白で違うがどちらも高身長の痩せ型で顔立ちは母親寄り


 ……最近迷宮狩人と関わった覚えも無い


 3級ダンジョンの入口で出会ったのが迷宮狩人のパーティだと気付いていない迅は余計何も心当たりがないのだ


 ……迷宮狩人……分からないな


「特には無いな」

「本当かい?」

「あぁ、特に関わった覚えは無い」

「ふむ、なら勘違い……じゃないなら少々厄介な事になりそうだ」


 迅に聞こえないように小声で呟く


「なんだ?」

「なんでもないさ。ただの確認だ。そもそも迅雷なんてお兄ちゃんとは縁遠い人間の筈だからねぇ」


 コーヒーを飲み終えた夢は台所に戻る


 翌日

 7時前に鉱石が採掘出来る5級ダンジョンの前に着いて待つ

 いつもは1つのバックを今回は複数持っている

 今日は雫の方が遅いようだ


 ……まだ10分前だが……迷っているのか? マップが見づらかったりしないよな


 雫がこのダンジョンに来るのは初めてだろう

 迷っていてもおかしくはない


「取り敢えず待つか。何かあれば連絡してくるだろう」


 7時少し前に焦った様子で走ってきた雫が到着した

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