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第12話 驚きの行動

 ……次は明後日で攻略は5級のダンジョンか


 4級よりも危険度が低いダンジョン、勿論危険ではある

 しかし、迅にとっては単独で何個も攻略しているダンジョンだ

 3人で挑む必要があるとは思わない


 ……これからの連携や互いの得意不得意を知るには良い機会か


 ギリギリの戦いでは仲間を見る暇がない

 余裕がある戦いなら観察が出来る

 そうすればお互いの癖などを知れるかも知れない


「体力に余裕ある……どっかダンジョン行くか」


 2人のおかげでダンジョン攻略後でありながら体力がだいぶ残っている

 携帯を開いてアプリを起動する

 公式の発見されているダンジョンの等級や位置、魔物の情報などが記される探索者専用アプリ

 ダンジョンの位置や等級などの情報は信頼性が高く迅も良く使っている

 付近のダンジョンを探す


 ……6級2つと5級が1つあるな。近いしここが攻略するダンジョンか? 6級片方攻略するか


 今居る場所から比較的近い場所にダンジョンを見つけた

 ここなら今から徒歩で行ける

 マークをつけて向かう

 20分程度歩いてマップに記されている場所に着いた


「ここか」


 岩のような物で出来た入口を見つけた

 入口の見た目は殆ど攻略した4級ダンジョンと同じ

 階段が下に続いている

 中に入っていく

 それから数時間後、迅は入口に転移した

 入ってから数時間でダンジョンを攻略したのだ

 6級の魔物は強くない

 駆け出しの探索者が挑むレベルの難易度、最も舐めてかかった一般人や駆け出しが死ぬ事はあり毎年死者が出ている

 魔石の値段も攻略時の報酬も高くない


 ……大した実績にはならないとはいえ報告はしておくか


 取引所に向かった

 受付の女性は迅の姿を見かけて取引所に迅が1日に2回来た事に驚く


「あの人、今日一度来てたはず、何かあったのかな」

「うん? あぁ、毎日来る人じゃん。今日来てたん?」

「はい、今日3人で4級ダンジョン攻略してます」

「なら報酬で問題あったんじゃないか?」

「ですかね」


 迅は取引所でほぼ毎日来る常連として有名である

 受付で魔石の換金を行う

 女性は6級のボスの魔石を見つける


「6級ダンジョンのボスの魔石……」

「6級ダンジョンを攻略しました」

「え? 攻略ですか?」

「はい、そうですよ」


 女性は驚きを隠せない

 ダンジョンに1日に2回潜る探索者は居ない

 疲れている状態で潜るのは危険過ぎる

 強い探索者であってもやらない

 例え弱い6級ダンジョンでも

 迅は今日4級ダンジョンを攻略している

 毎日でも普通では無いのに1日に2箇所は更におかしい

 受付の女性は手馴れた動きで換金の手続きを行う


「クランに所属していますね」

「はい、そうです」

「ではクランに報告で大丈夫でしょうか?」

「クランに報告?」

「クランの管理者にこちらから報告します。討伐者や討伐等級などを伝えます。そしてこちらでもその情報をクランの実績として登録します」

「なるほど、それで大丈夫です。お願いします」


 ……報酬は全部貰っていいんだよな。飯買お


 換金と報告を終えて取引所を出る

 コンビニに飯を買いに行ってから家に帰る


 〜〜〜〜


 解散後、家に戻った雫は椅子に座り机の上に置いてあるパソコンを起動する

 得た迅の情報を書き記す

 4級ダンジョンで確認した戦闘スタイル

 持っていた魔道具や武器などの情報を書き記していく


「今分かっているのはこのくらいですね。次は録画確認ですかね」


 書き終えた雫はバックから小型のドローンを取り出す

 そしてパソコンに繋いでデータを確認する

 そのデータは道中の魔物、ボスとの戦いの録画であった

 戦闘中にこっそり録画をしていた

 この事は千尋も知らない

 再生して拡大、低速にして戦いを見る


「動きに無駄が少ない実戦経験豊富な人の動きですね。ただこの動きは剣術では無いですね」


 迅の動きを見て剣術を習っていないと気付く

 我流、形嵌らない剣の振り方をしている


 ……経験豊富なのに習っていないですか。珍しいような気がしますね


 前衛で探索者を続ける人の殆どは武術や剣術を習う

 知識や技術が戦いに使えるからだ

 実際探索者用の武術や剣術まで生まれたくらいである


「経験はどのくらいでしょうか。数年単位で探索者やってるとは思いますが、迅さん若いですから4、5年くらいですかね」


 雫は迅の年齢を見た目から22、23くらいだと考えている

 その年齢で4、5年となると高校卒業後から探索者を始めた頃くらいだろう

 高校生辺りから探索者になる人は多い

 録画を見ているとメールが届いた通知が鳴る


 ……メール?


 開いて内容を確認する

 ダンジョン管理組織からのメールだった

 取引所を含む施設や迅が使っていたアプリなどのダンジョンに関する物を管理している組織だ


「クラン報告?」


 内容は迅が6級ダンジョンを攻略した、その報告であった


 ……迅さんが6級ダンジョン攻略ですか……は? え?


 雫は目をぱちくりさせて二度確認する

 何かの間違いだと思い一度閉じて落ち着いてから見る

 内容は変わらない


「ど、どうなってるんですかぁ!?」


 雫は思わず叫ぶ


「今報告来たって事は今日攻略してますよね!? えぇっと、確か4級ダンジョンって今日攻略しましたよね? もしかしてもう日付変わってたりして」


 携帯で日付と時刻を確認する

 携帯の日付はまだ変わっていない


「変わってない……いやいや、4級は私達の協力があったとはいえ1日に2箇所攻略?」


 普通の探索者ならまずしない

 連日ダンジョンに潜る事だってする人は限られている


 ……意味分かんない……


 驚きを通り越した謎の感情に雫は包まれた

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