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第11話 ネックレス

「どういう効果か」

「はい、最初はヒント無しで」

「嬉しそうと言う事は使える物と考えて魔法の出力強化か?」


 自分かもしくは迅、千尋のどちらかが仕える魔道具なら喜んでいる理由が分かる

 もしくは希少な効果の魔道具


「違います」

「な、なら身体強化系、筋力」

「違います」


 魔道具の効果は数多ある

 その中から当てるのは難しい

 それどころか現在判明していない効果の魔道具の可能性もある


 ……なんだろう


「難しいな」

「は、はい、難しいです。どの系統かも分からないと多過ぎて」


 迅と千尋は悩む

 答えが出ずヒントを求める


「ヒントくれ」

「ではヒントを……この効果は全員が使える効果です」

「全員が使えるか。なら障壁を張るタイプか」

「違います」

「む、難しいです」


 2人で幾つか出すが全部外れだった

 更に魔法、魔力に関係する物と言うヒントが出た

 このヒントでだいぶ絞れる


 ……魔法、魔力関係か。なら出力強化はいい線かいや、俺でも使えるだから出力以外なら魔法関係では無いな


 迅は身体強化の魔法しか使えない

 出力強化以外の魔道具で影響を受けられる物は少ない

 なら魔力関係、それなら迅でも使える

 2人は幾つか答えるが全て外れた


「……降参だ。分からないな」

「わ、私もです。どんな効果か分かりません」


 2人は正解を出せずに諦めた


「ふふふ、効果は何と魔力効率化でした」

「魔力効率化? それはどういう効果なんだ?」

「し、雫ちゃんそれ本当なの?」


 千尋が目を輝かせている

 この反応からして千尋にとって良い効果の魔道具なのだろう


「はい、この目でしっかり確認しました。魔力効率化は魔法や魔道具で使う魔力を減らす事ができます。例えば身体強化の魔法が発動に魔力を20消費するとします」


 雫は換金したお金を使って説明をし始める

 2枚の紙幣を机の上に並べる

 2枚で20という事だろう


「この効率化のネックレスを使うとその20消費のところを、17に下げられます」


 紙幣を1枚取り除いて7枚の硬貨に変えた

 物を利用した説明も相まって分かりやすい

 発動時の魔力の消費を抑える魔道具


「なるほどな、だがそれは魔道具だ。発動に魔力が必要では無いか?」


 魔道具は魔力を消費して効果を使う

 つまり例え身体強化の魔法で使う魔力が20から17になったとしても魔道具の効果発動に4以上使えば逆に非効率になってしまう


「あっ、そ、そうですね。それだと意味が無いかも」


 千尋はハッとして気付いた


「この魔道具は所有者に対して自動的に発動するんです。つまり魔力消費はなしで永続的に使えます」

「ほう、それは便利だな」


 魔力を使わない魔道具、普通なら驚く所だが迅は似たような魔道具を所有している

 迅は雫の言葉で理解して納得した


「よ、良かった。ちゃんと強い魔道具ですね」

「これは誰が持ちます?」

「じ、迅さんが良いかと、魔力量が少ないならこれで少しでも多く使えますし、魔道具も使いやすくなるかと」

「いや、千尋が持て、攻撃魔法を多く多用するお前が使う方が効果を最大限活用出来る」


 2人で意見が別れた

 どちらも間違っていない

 魔力の効率化はどちらが使っても強い効果の魔道具だ


「確かにそうですね。私は魔力量多いですし迅さんは先の戦いを見た限り余り魔力を使わないタイプのようですし」

「俺は身体強化の魔法に大部分魔力を持っていかれていたがこのパーティなら雫がその分を請け負う。今使ってる魔道具程度なら今でも扱える」


 雫がいる限り相当の事がなければ自分で身体強化の魔法を使わないで済む

 その分魔力の余裕が出来た


「はい、強化の魔法はお任せを、ならちーちゃんが持つべきですね」

「攻撃魔法を多用するからな。魔力の消費を抑えられればその分戦力となる」

「わ、分かりました。私が使います。役に立ちます」


 千尋がネックレスを受け取る

 迅は攻撃魔法の話の中で戦闘中の時の事を思い出した


「そう言えば先の戦いでは炎魔法しか使っていなかったが3種使えるんだよな?」


 千尋は炎、水、土の3種の魔法が使えると言っていた

 しかし、4級ダンジョン攻略の際は1つの炎の魔法しか使っていない


「さ、3種の魔法の中で炎が1番威力が高い魔法なので使ってました」

「そうなのか。炎が強いという事か?」

「属性の中では基本的に炎が1番威力が高いです。ただ他の魔法も威力はありますし他の長所を持っています」

「み、水は魔法の維持時間が長いです。土は物質操作の強みがあります」

「成程、そういう違いがあるのか」


 魔法に疎い迅は初めて知った

 昔に魔法の習得をしようとしたが魔法の適性が無かったから身体強化以外は習得が出来なかった

 それ以降、使えない物は使えないとキッパリ諦めていた


 ……この際だ。魔法に関する知識も付けるべきか


 これからも定期的に2人の魔法を使える人間と組む

 それなら魔法の知識があればより戦術の幅が広がって戦い易くなる


「あっ、次動ける日はいつですか?」

「動ける日? あぁ、いつでもいいぞ」

「わ、私は明後日以降なら」


 2人はそれぞれ動ける日を答えた

 迅は明日でも明後日でもいつでも動ける

 千尋はダンジョンに挑むのは1日置きと決めている


「でしたら明後日、新しいダンジョン攻略に行きましょう」

「クランの実績作りか」

「はい、存続が決まった以上クランの実績を積む必要があります。少しづつでも確実に」


 存続が決まったら終わりでは無い

 ここからクランとしての実績を積む必要がある

 実績を詰めれば人が集まり大きくなる


「次は何等級行くつもりだ?」

「狙うのは5等級です。6級は実績になりづらい、4級は他のクランや探索者と取り合う事になりますから、目星はつけてあります」

「わかった。後で場所と時間を教えてくれ。実績に関しては1人で攻略した場合も大丈夫か?」

「はい、勿論、報告さえして貰えればクランの実績になります。その上、単独なら報酬は1人で受け取っていいです」

「そうか、分かった」


 迅は今まで通り1人でも活動する予定だった

 実績になるのなら安心して今まで通りにやる

 魔石を換金した分のお金を3等分にした後解散した

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