落ちた魔石を回収する
中ボスよりも一回り大きい魔石
これが4級ダンジョンのボスが落とす魔石である
周囲を確認すると地面にキラッと光る何かを見つけた
……なんだこれは
迅はその光る物を拾い確認をする
……ネックレス、魔道具か。効果はなんだろうか
魔石とネックレスを手に持つ
戦いが終わり休んでいる2人の元へ向かう
「お疲れ様でした! 怪我はありませんか?」
雫は素早く迅の身体を確認する
防具の破損や怪我は見えない
「怪我は無い、作戦通りの行動助かった」
「作戦通り……作戦通りですかね?」
雫は首を傾げる
「作戦通りだろ? 俺が前衛で戦い防御と攻撃のサポート」
作戦は迅が前衛で引き付けて戦う
千尋がタイミングを見て魔法で攻撃、状況では引き付け
雫がシールド系統の魔法でサポートだった
確かに作戦通りではある
「そ、そうですか。そうでしたか……」
……おかしい。作戦では攻撃魔法の攻撃の中に突っ込んでいくなんて無かったはず……
あんな無謀な作戦は知らない
確かに作戦会議の時に千尋の攻撃に合わせて連携をするという話はあった
でもあのやり方までは想定していない
精々タイミング合わせての不意打ち攻撃くらいだと思っていた
「あ、後は帰還して取引所に報告ですね」
「報告?」
迅が疑問に思い聞くと雫がハッとして答える
「あっ、はい、今回クラン存続の条件である4級ダンジョンのボスを討伐しましたからその事を取引所で伝えるんですよ」
「そうなのか。なら魔石はそっちが持ってた方がいいか」
迅は魔石を雫に手渡す
恐らく雫がリーダーだろうと迅は考えている
実際クランの現在のリーダーは雫
千尋はクランのリーダーになるには性格が消極的過ぎる
「はい、その辺の話は私が請け負います……そちらのネックレスは?」
「あぁ、これか。ボスから落ちた物だ。効果は見てもらわないと分からないが」
「という事は魔道具ですね!」
雫は目を輝かせている
魔道具は鑑定と呼ばれる異能を持つ人か鑑定の魔道具を使って確認する
それ以外にも魔力を通して効果を実際に使えば確認出来る
最も最後のやり方は魔道具の効果によっては危険の為推奨はされていない
「つ、使える効果なら良いですね」
「そうだな。魔法系なら2人のどちらかが使え。身体強化系の場合は借りたい」
「はい、それで構いません。身体強化系は迅さんの方が最大限使えますからね」
「い、異議無し」
部屋の奥に移動する
そして奥に置いてある転移装置の元に行く
石のようなもので作られた台座の上に菱形の水晶が置かれている
転移装置、ダンジョンの最深部の奥に存在する装置で使うと入口に転移する事が出来る
つまり攻略すればわざわざ来た道を戻らなくて済むのだ
「魔道具は無さそうですね」
「な、無いみたいです」
雫は転移装置の周囲を確認した
ボスが落とすケース以外だと転移装置の近くに置かれている
しかし、魔道具らしき物は見つからない
「そのようだな。転移装置で戻るぞ」
「分かりました」
「は、はい」
転移装置を使い3人は入口に着いた
そしてダンジョンが崩れていき消滅した
ボスを失ったダンジョンは崩れて消滅する
こうやって増えたダンジョンの数を減らしているのだ
ちなみに攻略時に他にも中に人が居た場合は強制的に入口まで飛ばされる
崩壊に巻き込まれる事は無い
「取引所に行きます。ついでにネックレスの鑑定もして貰いましょう」
「そうだな」
取引所で魔道具の鑑定も出来る
3人で取引所に向かう
……クランメンバーだけの証拠はどうやるんだ?
ふと迅は疑問に思う
クラン存続の条件にはクランメンバーだけで4級ダンジョンのボスの討伐
つまり登録されているクランメンバーで討伐した証明が必要
だがどうやって証明するのか分からない
「クランメンバーだけの証明ってのはどうやってやるんだ?」
「討伐参加者の姿が魔石に刻まれていますからそれを取引所側で鑑定して貰えれば証明になります」
迅の質問に雫が答えた
魔石は情報の塊
鑑定を通すと討伐参加者の情報が得られる
3人で一緒に行けばその情報の確認もスムーズに出来るのだ
特に迅のクラン所属は最近の事、取引所側のリストが更新されていないとややこしい事になる
「そうなのか」
「はい、鑑定を通さないとならないという部分はありますが逆に確実な証拠となります」
「それは便利だな」
取引所につき雫が受付と話をしている間、2人はやる事が無く暇なので近くの椅子に座って待機する
魔石の鑑定と一緒にネックレスの鑑定もして貰っている
……魔道具はどんな効果だろうか
あのネックレスが使える効果なら有難い
魔法系でも身体強化系でも良い
治癒や防御などのサポート系の効果でも嬉しいところ
「あ、指輪返します。ありがとうございました」
千尋は指輪を指から外して机に置く
迅は指輪を受け取らない
貸すと言う言葉を使ったが1回限りのつもりではなかった
「返さなくていいぞ。俺は使わないからな」
「ぶ、分割の指輪はそうですが衝撃の指輪は使えるのでは?」
「あぁ、確かに使える。だが魔力量が多くなくてな。強化系に使うのに手一杯だ。いずれ役に立つかもしれん」
「そ、そうですか。なら大事にします」
千尋はバックに指輪を仕舞う
「あの分割の指輪の使い方良かったぞ。渡して正解だった」
「は、はい、使ってみて攻撃の幅が広がったのを感じました」
「それなら良かった。破損には気をつけろよ」
「は、はい、気をつけます」
千尋はコクっと頷く
魔道具は頑丈だが破損してしまう
完全に壊れない限りは修復可能だが完全に破壊された場合効果を失う
魔道具はレアで同じ効果の魔道具を見つけられるとは限らないから大事に扱う
「そ、そういえば剣の魔道具の効果はなんですか?」
「あぁ、これか。これは簡単に言えば刃……」
「鑑定終わりましたよ!」
雫の声に遮られた
2人は雫の方を見る
雫は嬉しそうに立っている
ボスを倒した事でクラン存続が決定したからだろう
2人はそう考えていた
「これで条件は満たしたからクラン存続だよな」
迅が聞くと雫は嬉しそうに頷いて話す
「はい、そうです! これでクランを続けられます」
「それは良かった。早速役に立てて良かった」
「大活躍でしたよ」
「し、雫ちゃんネックレスの鑑定はどうだったの?」
「そう、そこが重要なんですよ。ネックレスの効果、鑑定の結果、なんだと思います?」
雫は余っていた椅子に座って2人に質問をする