「1つ目のトラップに引っかかったようだね」
ベルテが岩の上から遠眼鏡で覗きながら、そう呟く。
けが人を介抱するガーフィルド一家の手下たち。中には先日酒場で見た顔もいた。
「ひいふうみい......これで五人か。まだ数十人は残っているはず。どこに隠れてるのかな?」
そう頭の中で分析しながら、家の裏手を見る。
「やっぱりこっちが本命だよね。正面は陽動で」
一〇人近い手下が我先にと裏手の扉を壊そうとしている。手には斧やハンマーを持ち上げて。
手の鏡を大量にかざすベルテ。キラッ、と鏡が輝く。それが合図だった。
「待っていたぞ!」
屋根の上の少女。それは
着地と同時に煙があがる。
突然の出来事に手下たちは混乱する。
煙の中をまるで見えるように、小太刀で手下たちを始末していく
「忍びの真似事をするとは思わなかったが――ベルテのためならばしょうがあるまい」
そう言いながら、縦横無尽にたち振る舞う
「これでだいたい片付いた――はずなんだけどね」
そうベルテが呟いた瞬間、彼女ははっと気づく。
とてつもない殺気の塊が近づいていることに。
遠眼鏡を放り投げ、岩の影に飛び込もうとする。
しかし――そんな彼女を銃弾がとらえた。
(......!)
高速で動いているベルテを撃ち落とせる技量。そんな技量を持っている奴は、このあたりには一人しかいない。
「つめが甘い。最初から罠だとわかっていました」
聞き覚えのある声。それはとても不快なメロディーにも聞こえた。
「マルカム!」
ベルテは右腕の傷を押さえながらそう叫ぶ。
長い拳銃から紫煙を曇らせながら、男が近づく。
マルカム=ガーフィールド、それ以外の何者でもなかった。
「しかし、ずいぶんとやってくれたもんですね。これは高くつきますよ、え?さしあたっては武器庫の場所と鍵をもらいましょうか」
「嫌だと言ったら」
ふん、と鼻で笑うマルカム。
そして、拳銃の銃口をじっとベルテの鼻先に押し付ける。
「そのかわいい顔が、メロンのようにぐちゃぐちゃになるだけです。私がいかに紳士とはいえ、限界がある。『火薬のベルテ』、決断しなさい。命を取るか、武器をあの世まで持っていくか」
目を閉じるベルテ。
マルカムは無表情にそれを見つめる。
少しの沈黙。
そしてマルカムは、拳銃のトリガーに指をそっとかけた――