ベルテの家は岩に囲まれた要塞のような場所にあった。
「じいちゃんの代からここに住んでいてね。今まで、攻撃されることはなかった。でももうダメかも。ガーフィールド一家に目をつけられたからね。連中の情報網は尋常じゃない。数日たたずにこの家を取り囲むだろうよ。そうなったらとっても二人では対抗できない」
そういいながら夕食の皿をテーブルに置くベルテ。ゆでたてのパスタから、白い湯気がふわりと立ち上る。
「おお......!」
テンションが上がる
「今日のは特別だよ。トマト缶じゃない、生のトマトをペーストにして、とっておきのパスタにあえた。イタリア産のパスタさ」
そういいながら、ワインを取り出す。古びたコルク栓のホコリを払いながら、開ける。
「これもとっておき。父さんの遺産の一つさ。ヨーロッパ産の逸品だよ。
最後、という言葉に引っかかる
「わたしだけ、出ていけということか」
静かにベルテがうなずく。
「わかるよね。あいつらは多分徒党を組んでやってくる。いくら
首を振る
「武士は逃げぬ」
「知ってるよ。中国の孫子。逃げるも兵法なんでしょ」
ぐぬぬ、と
「私は残るよ。この家は――」
そう言いながら、ベルテはテーブルの上をそっと撫でた。
「家族の思い出が詰まってる。爺さんも、父さんもここで死んだ。残されたのは大量の武器と火薬。それを捨てていくなんて考えられないよ」
「私もそうであった――」
「しかし内戦で負けた我々は、故郷に住むことを禁止された。そしてさらに雪深い辺地に強制移住させられたのだ。武士にとって土地は命より大事なもの。正直、自害するといった一族のものもいたようだが、うちのお爺さまがそれを止めた。『新しい故郷を作ればよい。皆が幸せになるような安住の地を見つけることができれば、そこが新しい故郷だ』と」
「だから
そういいながらワイングラスをかたむけるベルテ。
そのあと二人は夜遅くまで飲み明かした――お互いの様々なことを語り合い――
次の日の朝方。
無数の人影が家を取り囲む。
男たちは手に手にいかつい武器を持ち、その目は血走っていた。
先頭に立つのは、当然ではあるがリーダーのマルカムである。
彼の指示に従い、ジリジリと距離を詰めていく。
その時、彼の頬をかすめる銃弾。
ニヤりと微笑み右手を上げる。
それが、合図だった。
一斉にベルテのアジトに飛び込み中を乱射する――
その刹那、大きな爆音とともに男たちはふっとばされる。
大きな火柱とともに――