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第7話 マルカムとの戦い

 ベルテの家は岩に囲まれた要塞のような場所にあった。

「じいちゃんの代からここに住んでいてね。今まで、攻撃されることはなかった。でももうダメかも。ガーフィールド一家に目をつけられたからね。連中の情報網は尋常じゃない。数日たたずにこの家を取り囲むだろうよ。そうなったらとっても二人では対抗できない」

 そういいながら夕食の皿をテーブルに置くベルテ。ゆでたてのパスタから、白い湯気がふわりと立ち上る。

「おお......!」

 テンションが上がるリズ。それを見てほほ笑むベルテ。

「今日のは特別だよ。トマト缶じゃない、生のトマトをペーストにして、とっておきのパスタにあえた。イタリア産のパスタさ」

 そういいながら、ワインを取り出す。古びたコルク栓のホコリを払いながら、開ける。

「これもとっておき。父さんの遺産の一つさ。ヨーロッパ産の逸品だよ。リズと最後の夜だし、いいよね父さん」

 最後、という言葉に引っかかるリズ。思わず手がとまる。

「わたしだけ、出ていけということか」

 静かにベルテがうなずく。

「わかるよね。あいつらは多分徒党を組んでやってくる。いくらリズが強くても、数にはかなわない。逃げて。あいつらが来る前に」

 首を振るリズ

「武士は逃げぬ」

「知ってるよ。中国の孫子。逃げるも兵法なんでしょ」

 ぐぬぬ、とリズはうめく。

「私は残るよ。この家は――」

 そう言いながら、ベルテはテーブルの上をそっと撫でた。

「家族の思い出が詰まってる。爺さんも、父さんもここで死んだ。残されたのは大量の武器と火薬。それを捨てていくなんて考えられないよ」

「私もそうであった――」

 リズが語り始める。

「しかし内戦で負けた我々は、故郷に住むことを禁止された。そしてさらに雪深い辺地に強制移住させられたのだ。武士にとって土地は命より大事なもの。正直、自害するといった一族のものもいたようだが、うちのお爺さまがそれを止めた。『新しい故郷を作ればよい。皆が幸せになるような安住の地を見つけることができれば、そこが新しい故郷だ』と」

「だからリズたちはこんなとこまではるばるやってきたんだね――」

 そういいながらワイングラスをかたむけるベルテ。

 そのあと二人は夜遅くまで飲み明かした――お互いの様々なことを語り合い――



 次の日の朝方。

 無数の人影が家を取り囲む。

 男たちは手に手にいかつい武器を持ち、その目は血走っていた。

 先頭に立つのは、当然ではあるがリーダーのマルカムである。

 彼の指示に従い、ジリジリと距離を詰めていく。

 その時、彼の頬をかすめる銃弾。

 ニヤりと微笑み右手を上げる。

 それが、合図だった。

 一斉にベルテのアジトに飛び込み中を乱射する――

 その刹那、大きな爆音とともに男たちはふっとばされる。

 大きな火柱とともに――

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