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第3話 ガーフィールド一家との『ビジネス』

 狭い酒場。

 そこに一団が乗り込んでくる。

 がやがやとした喧騒があたりを支配する。

 それまで談笑していた人々も、口をつぐみ会計をして退出する姿も見られた。

 じっとその様子をリズは見つめる。小太刀の柄に右手をかけながら。

 金髪の背の高い男性を先頭に、五人ほどの集団がずかずかと歩みを進める。

 そして、ベルテのテーブルのそばまで来るとどん、と小銃の柄を床にたたきつけた。

「ここにいたのかい。探し求めた『火薬のベルテ』さまよ」

 後ろのガラの悪い男がにやにやしながらそう言う。

 当のベルテは、視線を合わせずただリズのほうを見つめていた。

「おい、返事くらいしたらどうなんだ――!」

 その男の怒号を手で制止する先頭の金髪の男。これが一団のリーダーらしい。

「これはすまない――血の気が多いものが部下に多くてね。覚えているかい、小生の名前を」

「忘れたくもないね。ガーフィールド一家の頭目のマルカムさんでしょ」

「一家とは......穏やかじゃない。我々は政治団体ですよ。いわゆる政党。合法的にこの西部に秩序と安寧を与えようと日々努力している――」

 マルカムの言葉にうんざりとした表情をするベルテ。リズは察する。どうも、「望まざる」関係であることに。

「さて、そのためにはベルティーナ=レヴァッキーニ嬢、あなたの助力が必要なのですよ」

 芝居がかった流ちょうな英語。マルカムの見た目は若く、結構整った顔立ちなだけにいやに慇懃無礼に感じられる。

「武器――お持ちの武器を『全部』売っていただきたい」

 そういいながら、後ろの男に顎で命令する。後ろの男が机の上にどん、と箱を置く。中には――ぎっしりと銀貨が詰まっていた。

「役立たずの州紙幣ではありませんよ。折り紙つきのモルガンダラーです。悪い話では――」

「桁が一つ違うよ、出直しな」

 にべもないベルテの返事。

 マルカムは顔色一つ変えないが、後ろのひげ面の男の一人の顔が真っ赤になる。

「このガキ!いい気になりやがって!」

 そういいながら腰の拳銃を抜き放とうとした――その瞬間、拳銃は後ろにはじかれる。

 ベルテの手に握られていたのは銃身の短い拳銃。その銃口からゆっくりと硝煙がたなびいていた。

「銃の腕もなかなか。抜き打ちの拳銃を打ち落とすとは。銃身が短いですね?このような狭い場所ではそれも有効でしょうな。威力や射程は弱くなるものの、こういう狭い空間では有効ですね。ましてや、『女』の持つ銃としては――」

 次の瞬間、マルカムは左手に拳銃を構えていた。

 なんという早業。

 その銃口はベルテの鼻先に突き付けられていた。

 ピースメーカーという名の拳銃。西部では人気のある銃である。驚くべきはその銃身の長さである。十インチはあろうか。それを瞬時に腰から抜いて、撃鉄を起こす素早さ。

 ベルテは固まったように動けなくなる。

 しかし、目はそらさずじっとマルカムのほうをにらむ。

 その時、リズが舞う―― 狭い酒場。

 そこに一団が乗り込んでくる。

 がやがやとした喧騒があたりを支配する。

 それまで談笑していた人々も、口をつぐみ会計をして退出する姿も見られた。

 じっとその様子をリズは見つめる。小太刀の柄に右手をかけながら。

 金髪の背の高い男性を先頭に、五人ほどの集団がずかずかと歩みを進める。

 そして、ベルテのテーブルのそばまで来るとどん、と小銃の柄を床にたたきつけた。

「ここにいたのかい。探し求めた『火薬のベルテ』さまよ」

 後ろのガラの悪い男がにやにやしながらそう言う。

 当のベルテは、視線を合わせずただリズのほうを見つめていた。

「おい、返事くらいしたらどうなんだ――!」

 その男の怒号を手で制止する先頭の金髪の男。これが一団のリーダーらしい。

「これはすまない――血の気が多いものが部下に多くてね。覚えているかい、小生の名前を」

「忘れたくもないね。ガーフィールド一家の頭目のマルカムさんでしょ」

「一家とは......穏やかじゃない。我々は政治団体ですよ。いわゆる政党。合法的にこの西部に秩序と安寧を与えようと日々努力している――」

 マルカムの言葉にうんざりとした表情をするベルテ。リズは察する。どうも、「望まざる」関係であることに。

「さて、そのためにはベルティーナ=レヴァッキーニ嬢、あなたの助力が必要なのですよ」

 芝居がかった流ちょうな英語。マルカムの見た目は若く、結構整った顔立ちなだけにいやに慇懃無礼に感じられる。

「武器――お持ちの武器を『全部』売っていただきたい」

 そういいながら、後ろの男に顎で命令する。後ろの男が机の上にどん、と箱を置く。中には――ぎっしりと銀貨が詰まっていた。

「役立たずの州紙幣ではありませんよ。折り紙つきのモルガンダラーです。悪い話では――」

「桁が一つ違うよ、出直しな」

 にべもないベルテの返事。

 マルカムは顔色一つ変えないが、後ろのひげ面の男の一人の顔が真っ赤になる。

「このガキ!いい気になりやがって!」

 そういいながら腰の拳銃を抜き放とうとした――その瞬間、拳銃は後ろにはじかれる。

 ベルテの手に握られていたのは銃身の短い拳銃。その銃口からゆっくりと硝煙がたなびいていた。

「銃の腕もなかなか。抜き打ちの拳銃を打ち落とすとは。銃身が短いですね?このような狭い場所ではそれも有効でしょうな。威力や射程は弱くなるものの、こういう狭い空間では有効ですね。ましてや、『女』の持つ銃としては――」

 次の瞬間、マルカムは左手に拳銃を構えていた。

 なんという早業。

 その銃口はベルテの鼻先に突き付けられていた。

 ピースメーカーという名の拳銃。西部では人気のある銃である。驚くべきはその銃身の長さである。十インチはあろうか。それを瞬時に腰から抜いて、撃鉄を起こす素早さ。

 ベルテは固まったように動けなくなる。

 しかし、目はそらさずじっとマルカムのほうをにらむ。

 その時、リズが舞う――

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