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呪印持ち男装姫は辛辣能吏の付き人です~呪われてますが、辛辣で美麗の上司が離してくれません~
呪印持ち男装姫は辛辣能吏の付き人です~呪われてますが、辛辣で美麗の上司が離してくれません~
千賀春里
異世界恋愛和風・中華
2025年03月19日
公開日
4万字
連載中
「もう僕に嘘は付けないよ、藤李」

 目を細め、蠱惑的な笑みを浮かべる上司は最高に色っぽくて最高に怖かった。


先代国王の弟が謀反を起こし、先代国王の実子である瑠庵が即位して早十年。
落ち付きつつあるが問題が山積みの冠竜国は飢饉で多くの国民が喘いでいる状況。

先王の弟の娘で瑠庵の従兄弟に当たる姫の藤李は瑠庵の『使える人材は使い潰す』という精神から宮中で最も多忙と言われる戸部で小間使いとして働いていた。しかも相手は呪われているという噂のある白真誠。
 この尚書、金持ち貴族で見目麗しく有能だが何て言っても口が悪い。口を開けばすかさず飛んで来る嫌味の雨に辟易しながらも懸命に働く藤李だがある日、突然瑠庵に呼び出された藤李は今までおざなりにしていた神獣の住まうとされる聖域の調査を命じられる。

聖域の調査には巫女の血を引く王族でなければならないと言われ、渋々了承する藤李。しかし右も左も分からず頭を抱えるが、春の宴で怪しげな男達の会話を耳にして―――?



「このクソ忙しい時期にですか?」

 ただでさえ忙しくて、おまけに頻繁に見る意味深な夢のせいで寝不足なんですけど。

 尚書は呪われてる?

「私も呪われるみたいですけどね?」

 私にもありますよ、呪印。

 訳アリ男装姫と口の悪い美貌の尚書、二人の持つ呪印の意味とは?

第1話

 薄れゆく意識の中で誰かが泣いている。


 顔ははっきりと見えないが男性であると思われた。

 違和感のある胸を押さえると手にはべったりと赤い液体が付着し、次第に重くなる瞼が自分は死ぬのだと教えてくれた。


 何度も何度も自分の名前を呼び、頬を撫でるその男性の顔が見えないことが悔やまれる。


 願わくば、生まれ変わることが出来たのなら、また貴方の側にいたい。

 想いが通じずとも、貴方の側で貴方の幸せを願う私でありたい。


 そう強く願った。


 自分の手を強く握り締め、絡んだ指に力を込める。


 自分に重なるように倒れ込む男性の鼓動も、自分と同じように小さくなっていく。



 どうか、次の世でも貴方に愛されますように。




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