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第二話 人を殺めた事がある受付嬢

 中間地点のギルド、名前はチュッカン。

 ……安易な名前だが覚えやすい、チュッカンの機能も増えていった。

 まずは最低限の衣食住、今はまだ村……と呼べるくらいだが。

 計画ではもう少し発展するとか、でまあ今はこのギルドが賑わっている。


 運がいいのか悪いのか、近くのゴールドダンジョンというのが発生した。

 これはダンジョン内が全て金で出来ている珍しいダンジョン。

 まだがまあ金の相場を下げない為に、ルールを設けているんだが。

 例えば冒険者ランクで変わるけど、受けれるのは一週間に一回とか、売れる量とか何か色々、俺は清掃員だから詳しいことは知らん。


 ダンジョンにも色々と種類があるんだよな、俺は清掃しか興味がないから覚えようとも思わない。

 あ、今日もなんか受付が騒がしくなってきたな。


「ああん!? 何で俺達がゴールドダンジョンを受けれないんだよ!」

「ですからギルドの規定です」

「規定だぁ!? じゃあ何でアイツらはうけれたんだ!」

「あなた方よりランクが上だからです」

「んだとコラァ!」


 あーあ、今日もまた死人が出るのかなぁ。

 今喧嘩売られている受付嬢は、エリル=オシマノスさん。

 とある大国のギルドに居た問題児らしい。

 俺でも名前とやって来た事は風のうわさで知っている。


 彼女は時間外労働がとても嫌いだった。

 そこで最初は正規の手段で改善を訴えた。

 それを却下し続けられた。

 ……まあ最終的にどうなったかというと。

 武力で解決しようとした、彼女はあらゆる武器と魔法を使ったらしい。


 全ては理由無き時間外労働撲滅の為に!

 とかだったらしい、怖いなぁ。

 まあ気持ちはわかる、こう……気持ちよく仕事させてくれるならいいんだけどな。


 で、オチとしては何も変わらなかった。

 オシマノスさんはクビになったようだ。

 だが大国のギルドは潰れた。


 仕事のほとんどをオシマノスさんがしていたからだ。

 後輩も育ってなかったらしい。

 で、それは置いといて、オシマノスさんから個別で清掃の依頼を受けている。


『ベリスカルファさん申し訳ございません、貴方が綺麗にしてくれたギルド内を汚す事になるでしょう、個人で長期契約で掃除をしていただけませんか?』


 ……普通に考えて、ギルドの受付嬢からそういう掃除の依頼は無いだろ。

 まあ俺も仕事として受けているけどさ。

 でもなぁ……


「これ以上は営業妨害になります、実力行使をしますよ?」

「上等――」


 あ、叫び声も無しに燃え尽きた、あれは何の魔法なんだ?

 って俺が考えなくとも、この状況を解説してくれる冒険者さん達が居る。


「あ! あれは! 今より約100年も前に記述が無くなったとされる炎の魔法!」

「何だってカイセッツン!? つまりは凄い炎魔法という訳だ!」

「そうだオドロキン、これは歴史的瞬間に立ち会えたかもな」


 ……なんかこの人達のやり取りも見慣れたな。

 カイセッツンさんとオドロキンさんは特別な能力があるらしい。

 カイセッツンさんは解説すればするほど、それを理解して使える様になるとか。

 オドロキンさんは驚いた数だけ大声の威力が上がるとか。

 本当かはわからないけどさ。


「お! ぎ! ギルド職員が人を殺しをしていいのか!?」

「チュッカンの冒険者ギルドの契約書にサインしましたよね? まさか、確認もせずに印鑑をおしたんでしょうか?」


 これも何度も見たやり取りだ。

 各ギルドにはその地域のルールとか、そのギルド内のルールとかある。

 これも細かいから覚えるのは大変だ。

 っても治安が悪い所じゃなければ、特に気にすることも無いだろう。

 一般的な価値観で普通にしてればいいんだよ。

 ちなみにうちは簡単に言えばルールを守れかなぁ。

 大声で難癖とか契約書に書く事ですらないだろうに。


「ぶっ――」

「どうぞご自由に」


 あーあ、そんな事している間にまた燃やされた。

 で、あの炎の魔法は燃えカスも残さないから、俺の清掃の意味もないぞ?

 床がコゲてるとかも無い、オシマノスさんの実力が高い証拠だ。

 ……そこまで時間外労働を嫌うのか? いや、今回は難癖か。

 俺も対価に見合わない仕事はしないけどさ。


「オシマノスさん、このクエスト承認よろしくお願いします」

「……はい、問題ありません、よろしくお願いします」


 クレームと同時に通常業務もこなしている。

 いや……ここのギルドの常連さん達もおかしいな。

 何つーかまだ開店……開業? してから一ヶ月もたってないのに。

 そりゃ最初はビビられたけど、毎日毎日こんなのだと常連さん達は慣れるよな。

 ちなみにちゃんと蘇生魔法も使っていて、今燃やした相手にも使っている。

 業務こなしながら良く出来るな、復活したら装備も元通りにしているようだ。


 だだ酷いと本当に殺される。 

 死なないと勘違いした奴が調子に乗ってた冒険者がこの間居た。

 あれはいい見せしめだったな、もちろんオシマノスは人殺しって事になるんだが。

 そこはこのギルドの契約書が免罪符になった、従業員への過度な恐喝行為は~とね。

 だから生き返れるだけありがたいはずだ。


 お、言ってるそばから蘇生されたな。


「いっ生き返!? こ! こんな田舎のギルドに来たのが間違いだったぜ!」

「あ、ああ! 王都に帰ろうぜ!」


 って事は王都のギルドで依頼を受けているエリートさんか。

 ゴールドダンジョンに来なくともやっていけるだろうに。

 いや、駆け出しの可能性もあるか? だって態度が悪いもの。

 あ、こっちに来た、出入口だからそうなんだが


「邪魔だ清掃野郎!」

「吞気に出入口で清掃してんじゃねぇ!」


 ……水入りバケツをひっくり返した。

 清掃なんだと思ってんだこのやろう……

 ぜってぇ許さねぇ!

 だが待て……まずは反省を促すんだ。

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