中間地点のギルド、名前はチュッカン。
……安易な名前だが覚えやすい、チュッカンの機能も増えていった。
まずは最低限の衣食住、今はまだ村……と呼べるくらいだが。
計画ではもう少し発展するとか、でまあ今はこのギルドが賑わっている。
運がいいのか悪いのか、近くのゴールドダンジョンというのが発生した。
これはダンジョン内が全て金で出来ている珍しいダンジョン。
まだがまあ金の相場を下げない為に、ルールを設けているんだが。
例えば冒険者ランクで変わるけど、受けれるのは一週間に一回とか、売れる量とか何か色々、俺は清掃員だから詳しいことは知らん。
ダンジョンにも色々と種類があるんだよな、俺は清掃しか興味がないから覚えようとも思わない。
あ、今日もなんか受付が騒がしくなってきたな。
「ああん!? 何で俺達がゴールドダンジョンを受けれないんだよ!」
「ですからギルドの規定です」
「規定だぁ!? じゃあ何でアイツらはうけれたんだ!」
「あなた方よりランクが上だからです」
「んだとコラァ!」
あーあ、今日もまた死人が出るのかなぁ。
今喧嘩売られている受付嬢は、エリル=オシマノスさん。
とある大国のギルドに居た問題児らしい。
俺でも名前とやって来た事は風のうわさで知っている。
彼女は時間外労働がとても嫌いだった。
そこで最初は正規の手段で改善を訴えた。
それを却下し続けられた。
……まあ最終的にどうなったかというと。
武力で解決しようとした、彼女はあらゆる武器と魔法を使ったらしい。
全ては理由無き時間外労働撲滅の為に!
とかだったらしい、怖いなぁ。
まあ気持ちはわかる、こう……気持ちよく仕事させてくれるならいいんだけどな。
で、オチとしては何も変わらなかった。
オシマノスさんはクビになったようだ。
だが大国のギルドは潰れた。
仕事のほとんどをオシマノスさんがしていたからだ。
後輩も育ってなかったらしい。
で、それは置いといて、オシマノスさんから個別で清掃の依頼を受けている。
『ベリスカルファさん申し訳ございません、貴方が綺麗にしてくれたギルド内を汚す事になるでしょう、個人で長期契約で掃除をしていただけませんか?』
……普通に考えて、ギルドの受付嬢からそういう掃除の依頼は無いだろ。
まあ俺も仕事として受けているけどさ。
でもなぁ……
「これ以上は営業妨害になります、実力行使をしますよ?」
「上等――」
あ、叫び声も無しに燃え尽きた、あれは何の魔法なんだ?
って俺が考えなくとも、この状況を解説してくれる冒険者さん達が居る。
「あ! あれは! 今より約100年も前に記述が無くなったとされる炎の魔法!」
「何だってカイセッツン!? つまりは凄い炎魔法という訳だ!」
「そうだオドロキン、これは歴史的瞬間に立ち会えたかもな」
……なんかこの人達のやり取りも見慣れたな。
カイセッツンさんとオドロキンさんは特別な能力があるらしい。
カイセッツンさんは解説すればするほど、それを理解して使える様になるとか。
オドロキンさんは驚いた数だけ大声の威力が上がるとか。
本当かはわからないけどさ。
「お! ぎ! ギルド職員が人を殺しをしていいのか!?」
「チュッカンの冒険者ギルドの契約書にサインしましたよね? まさか、確認もせずに印鑑をおしたんでしょうか?」
これも何度も見たやり取りだ。
各ギルドにはその地域のルールとか、そのギルド内のルールとかある。
これも細かいから覚えるのは大変だ。
っても治安が悪い所じゃなければ、特に気にすることも無いだろう。
一般的な価値観で普通にしてればいいんだよ。
ちなみにうちは簡単に言えばルールを守れかなぁ。
大声で難癖とか契約書に書く事ですらないだろうに。
「ぶっ――」
「どうぞご自由に」
あーあ、そんな事している間にまた燃やされた。
で、あの炎の魔法は燃えカスも残さないから、俺の清掃の意味もないぞ?
床がコゲてるとかも無い、オシマノスさんの実力が高い証拠だ。
……そこまで時間外労働を嫌うのか? いや、今回は難癖か。
俺も対価に見合わない仕事はしないけどさ。
「オシマノスさん、このクエスト承認よろしくお願いします」
「……はい、問題ありません、よろしくお願いします」
クレームと同時に通常業務もこなしている。
いや……ここのギルドの常連さん達もおかしいな。
何つーかまだ開店……開業? してから一ヶ月もたってないのに。
そりゃ最初はビビられたけど、毎日毎日こんなのだと常連さん達は慣れるよな。
ちなみにちゃんと蘇生魔法も使っていて、今燃やした相手にも使っている。
業務こなしながら良く出来るな、復活したら装備も元通りにしているようだ。
だだ酷いと本当に殺される。
死なないと勘違いした奴が調子に乗ってた冒険者がこの間居た。
あれはいい見せしめだったな、もちろんオシマノスは人殺しって事になるんだが。
そこはこのギルドの契約書が免罪符になった、従業員への過度な恐喝行為は~とね。
だから生き返れるだけありがたいはずだ。
お、言ってるそばから蘇生されたな。
「いっ生き返!? こ! こんな田舎のギルドに来たのが間違いだったぜ!」
「あ、ああ! 王都に帰ろうぜ!」
って事は王都のギルドで依頼を受けているエリートさんか。
ゴールドダンジョンに来なくともやっていけるだろうに。
いや、駆け出しの可能性もあるか? だって態度が悪いもの。
あ、こっちに来た、出入口だからそうなんだが
「邪魔だ清掃野郎!」
「吞気に出入口で清掃してんじゃねぇ!」
……水入りバケツをひっくり返した。
清掃なんだと思ってんだこのやろう……
ぜってぇ許さねぇ!
だが待て……まずは反省を促すんだ。