翌日の午後、真人を恵子とともに空港まで送った。
「それじゃあ、勉強頑張れよ」
「真人も、お仕事頑張って」
次に会えるのはまた先になるだろう。しかしもう寂しくない。お互いの誓い合った行く末を信じているから。
「また三人で飲もうね?」
「恵子もありがとな。お前がいなかったら多分無理だった」
「ちょ……照れるなぁ。でも真人、あんたもあんまり優柔不断じゃだめだからね?恵美から聞いたんだからね!もう会えないなんていうもんじゃないよ!普段は上手いことやってんのに恵美のことになるとてぇんでダメなんだから」
「あ~もういいもういい。はい、ありがと」
恵子の説教が長くなりそうになったので真人はぶんぶんと手を扇いでそれを静止した。
「こら~!」
適当にあしらわられたことに憤慨する様子を見せるが、私たちは慣れっこなので無視する。
「じゃ、またな」
「う……うん」
「恵美……」
最後の最後で少しだけ不安が顔を出してしまった……。
「また会おう」
「……うんっ!」
真人は最後に私を抱きしめると飛行機へ搭乗していった。
「……行っちゃったね」
「でもすぐ会えるよ!ほらほら!あたしらも頑張んなきゃ!」
恵子は私の背中をグイグイ押す。
「とりあえず今日は休みだから飲み行くぞー!」
「嘘でしょ!?」
冗談かと思ったがこの後私は本当に昼飲みに連行されることになる……。
「……あたしらだって、あんたが向こう行ったら会えなくなるんだから……」
「え、なんか言った?」
「気のせいでしょ!」
飛行機のエンジン音が響く中、恵子が何か言った気もしたが彼女の言う通り気のせいだったのだろうか……。
滑走路を滑り出した飛行機はあっという間に空へ溶けていく。
雲ひとつない青空が、私たちの行く末を示しているようで、なんだかとても爽快だった。