そうしてようやく長い夜は終わろうとしていた。
「あー……きもちわる……てかもう三時だし……明日有給取っておいてよかった……」
まだ慣れないお酒を遅くまで飲んだせいで、足許はふらふらするし頭もがんがんと痛む。
「大丈夫か?」
そんな私を見て、真人は背中をさすってくれた。
結局居酒屋の後にも何軒か回ることになり、人数は減りながらも二次会、三次会と続けられたのだが、主役にされてしまっていた私たちは逃がしてもらえなかった……。
そうしてようやく今頃になって解散となったのだが、ふたりだけの時間とはいえこの体調ではロマンティックなムードも何もないのだ。
「ごめん……急でさ」
「え?」
「結婚なんて……考えてもいなかった?」
酒の勢いのまま真人に畳み掛けてしまったため少し申し訳ない……。
「んー、いや、そりゃ考えてはいたけどさ。……でもまだあれから一回も会ってなかったからさ。言うなら、今日で二日目だぜ?ははっ!スピード婚だ!」
真人は吹き出すように笑う。
「いやでもさぁ……一年会えなかったんだよ?その間ずっと、あんたがなにしてるかとか……したいこととか、ずっと考えちゃうじゃん」
「今日はじゃあ七夕だ」
「もうっ!」
こっちの気も知らないでふざけてるのかと思ってつい口を尖らせる。
「いや悪い悪い。……俺もだよ。俺もお前のことばっか考えてた。……結婚はさ、流石にお前を呼ばなきゃならなくなるから、どうなるかなんてまだ考えてなかったけどさ……だから、びっくりしたけど、めちゃくちゃ嬉しかった」
いつもとは違う真剣な眼差しでそう言い切られると、その言葉も信頼出来るものだと思えた。
「真人……」
「なぁ、恵美。その、ずっと考えてたしたいことっての、きかせてくれねぇか?」
…………ずるい。