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観光ガイドの薩日内さん
観光ガイドの薩日内さん
陸前フサグ
現実世界仕事・職場
2025年03月16日
公開日
7,322字
連載中
【不老不死の18歳、死にた過ぎてガイドします。】


 伊達家の子孫・伊達衛宗は、幼い頃から心臓病を患い、人生の殆どを病院で過ごしていた。
 体調が良くなり退院するものの、社会を知らない衛宗は外に出る事出来ず家に篭りきりに。

 そんなある日、祖父から渡された書物の中に気になる名前を見つける。
 薩日内永という人物はどうやら、政宗が生まれる前から数百年生き続ける不老不死の人間らしく――?

 不老不死の死にたがり観光ガイド×世間知らずの病弱お坊ちゃまの観光備忘録。

1箇所目 死にたがり


 何度も、何度も願った事がある。


 誰もが願いそうな、単純で純粋、温かな願いとは真逆の願い。それは生きている事を否定する願いだ。

 そして時に、その言葉を発するだけで精神が安定し、生きる事にやや前を向けたりする事もある。


――死にたい。


 あなただって、気がついたら言っているでしょう。最近では不満や失敗したと思ったら口に出されてしまう、軽い言葉になったものだ。


 失敗したら「死にたい」

 恥ずかしくて「死にたい」

 全てが嫌になって「死にたい」


 様々な意味で、この言葉は今日も何処かで呟かれている。

今を生きている人間が生まれる前の遠い時代には、血を流して死ぬことが美学だった事もあった。


 昔にそんな事があったのだから「そんな事は言ったらいけない」と強く強く叱られ、生きる事を全うする事に集中しろと言う人もいるが、それだって綺麗事の時がある。


 「死」とは人間にとって最終地点であり、最終手段である。

 どん詰まり、生きているのがしんどくなって命を絶つ奴はごまんと居る。まあそう思った所で、残念ながら人間はちょっとやそっとでは死ねやしない。


 死にたいと思い、願い続ける人間には痛い程わわかる。

眠れば嫌でも朝が来る。生きてる証明に、朝日が眩しく刺し、寝ぼけ眼に不快感を与えてくるのだ。


 ああ、今日も生きている。生まれてから何日目の朝かもわからない朝を。


 誰か、死に方を教えて欲しい。

 寿命や病死、自殺は試した。


 なんでもいい。なんでもいいから、この心臓を止めてくれやしませんか。

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