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第2話 冒険の始まり 2人の出会い②

ピュ〜〜〜

 2人は、地面めがけて真っ逆さま。まさに絶対絶命のピンチである。

 崖から落ちる瞬間、オージは夢見た王の姿を思い浮かべた。いや……このまま死ぬわけにはいかない。

「こうなったら一か八か……俺に捕まれ!」

 オージは、少年の手を取り、もう片方の手を広げて地面に向けた。

 地面に直撃しそうになるその瞬間

テンクウ!!」

 オージが唱えると、2人の身体はフワッと宙に浮いた。宙に浮いたのも、束の間、魔法が解け、2人は、地面に落っこちてしまった。

「いててて……間一髪だったな……」

「君は本当にすごいな! 今のは浮遊魔法かい? こんなの見たことないよ!」少年は先ほどのピンチも忘れて、オージに興味津々だった。

「いやぁ僕は魔法はからっきしダメだからだなぁ。ホントに尊敬するよ!ところで魔力切れは大丈夫だったのかい??」

「まあ走ってるうちに少し魔力が回復してたんだろ。それに気持ちが乗れば魔力は。さてと、もとの場所まで戻らないとな……しっかし、ここどこだよ。」

 あたりを見渡しても目印になるようなものはなく、断崖絶壁と森の木々だけがそこにあった。

「このあたりには、村がたくさんあるのかい?」

オージは、立ち上がり、土埃を払いながら、聞いた。

「ん? いや、俺が住んでるヒガーシ村ぐらいのはずだが?」

「それじゃあこのケモノ道をまっすぐだね!」

「なんで知ってるんだ?お前この辺やつじゃないだろ?」

「崖から落ちる前に村が見えたからね!!」

「あんな状況で景色を見てたっていうのか?」

 オージは怪訝そうな顔で少年に問いかけた。

「その顔は疑ってるな〜? よし! じゃあ助けてくれたお礼に村まで僕が案内しよう!!」

 そういうと少年は、身なりを整え、ケモノ道を歩き出した。

「おい! ちょっと! まてよ!」

 慌ててオージも立ち上がり、とりあえず後ろからついていった。



「なぁ、お前王都からきたんだろ?」

 オージが尋ねた。

 少年は、少し驚いたような顔をして、

「あぁ! そうだよ! なんでわかったんだい?」

 と聞き返した。

「まあ格好をみればなんとなくね、このへんでそんな綺麗なカッコしてるやついないぜ。なんでこんなところに?」

「なるほど! 気をつけないとだな! 私は、ある調査で旅をしていたんだ。調査が終わって王都に戻ろうとしていたら、道に迷ってしまってね……」

「なんだ、おっちょこちょいなやつだなぁ……まあいいや! なぁ! 王都にはさ! スゴイ魔法使いがいっぱいいるんだろ?」

 どうやら、オージも王都の話には前のめりだ。

「う~ん、もちろんすごい魔法使いはいるけど、いっぱいってわけじゃないかもね! 君のように2種類の魔法を使えるのは王都でも珍しいんじゃないかな!!」

「まぁ、毎日ジーヤに稽古つけてもらってるからな! 魔法には自信あるぜ!」

「ジーヤというのは君の師匠かい?」

「師匠ってよりは育ての親かな? 俺の話はいいからもっと王都の話を聞かせてくれよ!」

 村までの道中、2人は、王都のについての話に花を咲かせた。

 ……………………

「じゃあ王都の授業も中身は、あんまし変わんないんだなぁ〜」

「それこそが王が目指したこのクニの姿だからね!」

「やっぱり王様はさすがだぜ!! いや〜、一度でいいから王都にいってみてぇなぁ〜」

 オージにとっても、少年にとっても王都の話をするのは楽しかった。

「オージは、よほど王や王都に関心があるんだな!」

 オージにとって少年の話はどれも刺激的だった。だからこそオージは少年には打ち明けたることにした。

「俺さ実は、王様を目指してるんだ! 無謀かもしれないけど、俺の夢なんだ!」オージは、頭かきながら、ほんの少しだけ照れくさそうにしていた。

 オージの言葉に少年はハッとした顔をした。そして

「そういうことか! 無謀なんかじゃない! 素晴らしい志しだ! それだったらまずは私が王都を案内するよ!」と提案した。

オージは、「本当か!!」と自然と笑顔になった。

しかし、 少し考え込んで顔を曇らせる。

少年の提案はオージにとってはこれ以上ない提案であったはずだ。そして、また話しだした。

「ジーヤが王都は危ないってうるさくてさぁ! それに、ほら、あれなんだよ。この村さ、ジーヤが獣とかから守ってるんだよ、まあ今は平和だけど、いつ昔みたいな危機が訪れるかも分かんないだろ?ジーヤも歳だし、これからは俺が守る番ってわけよ!」笑顔で話すがその顔はどこかぎこちない。

「まあ王都のことはちょっと興味あるけど、教育はこの村でも変わらないものが受けられることが分かったし、魔法のことならジーヤが、教えてくれるしな! それに王都にいないから王になれないってわけでもないしな!」オージは、なんとか言葉を紡ぐ。

「だから……わりぃけど俺は行けない。誘ってくれてありがとよ!」オージの強がりであることは、誰の目にも明らかだった。

「そうか、少し残念だが、君が言うなら仕方ない」

 少年は少し寂しい顔をしながらも、オージの言葉を受け止めようとした。

 だが、オージの目には熱いものが浮かんでいた。

 そんなオージをみて、こう続けた。

「オージ。確かに、君が言うことは大義だよ。間違ってないとおもう。だが、それは本当に君の意思かい?君はそれでは良いのかい?」 

「それは……」オージは少年の問いに答えることはできなかった。

 そうこうしていると2人は、村の入口までついた。

「本当に見えてたんだな……」

「だからそういっているであろう! じゃあ僕はここで失礼するよ!」少年は足をとめた。

「なんだよ! せっかくだし、ちょっとぐらいよってけよ!大したもんはないが、もてなすぜ!」

どうやら、オージは、まだ王都のことが聞きたいりない様子だ。

しかし、少年は、すこし考えこみ、答えた。

「お誘いありがとう。だが、実は王都にいそいで戻らなければ行けなくてね。あまりゆっくりしている時間はなさそうなんだ。」

 オージは残念そう顔を浮かべたが

「そっか、時間使わせちまって悪かった! まあいつかまた村に遊びに来いよ! 今日はありがとよ!」

と少年をおくりだした。

 少年も最後に

「そうさせてもらうよ! こちらこそありがとう!僕も君が王都に来る日を待っているよ! その時はかならず僕を尋ねてきてくれ!」と伝えて村を後にした。

 オージは少年を見送るとジーヤの待つ我が家に戻っていった。

「あ、そういやあいつの名前聞いてなかったな……」

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