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遥か昔、7つの種族を巻き込む大きな戦争がありました。
千年戦争と呼ばれたその戦争は、7人の王たちの手によって終結されました。
王たちは歴史を繰り返すまいと【セカイ】を7つの【クニ】に分け、お互いに干渉しないことを取り決めました。
こうして、セカイには平和が訪れました。
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ここは、ヒトのクニ【ヒューマニア】そのはずれに位置する【ヒガーシ村】。平和な村には今日も平和な風が吹く。
村の教室では今日も老師が子どもたちに熱心な授業を行っている。何やら老師の授業を子守唄にウトウトする少年が1人。
「~であるからしてぇ……こら! 聞いておるのか!」
平和な村に老師の怒号が鳴り響く。
「起きるんじゃ、オージ! 歴史もちゃんと学ばなければ、王になんてなれぬぞ!!」
老師の2度目の怒号で、ようやく少年が目を覚ます。
「あぁ、おはようジーヤ……」
少年は目をこすりながら、答える。
「こんなこと聞かなくたって知ってるての……その後、王バシレウスはこのクニを統治して、今は王子ワカと2人で暮らしている……だろ?歴史なんて何十回も本で読んだって! あ! てか、もうこんな時間じゃん! ちょっといってくる!」
「何をいうか! まだ授業は……」
キーンコーンカーンコーン
「全く困った子じゃ……」老師は頭を抱えた。
少年は勢いよく教室を飛び出し、村のはずれにある森へとむかっていった。
嵐のように飛び出した少年の名前は【オージ】。この物語の主人公である。ヒューマニアの王を目指し、筋トレに、魔法に勉学と日夜修行中だ。授業中にウトウトしてしまうのが、たまに傷であるが、日頃の疲れがたまっているのだろう。実は先ほどの老師【ジーヤ】と二人で暮らしている。ジーヤはオージとは血こそ繋がっていないものの、赤ん坊の頃から育てあげた。なかなか言うことを聞かないワガママ坊やに育ってしまったが、それだけ自分の意志が強いということで温かく見守ってほしい。
そうこうしているうちにオージが修行場所の森に着いた。
「よし、今日はここから狙ってみるか。」
オージは右の人差し指と中指を突き立て、大きく足を広げる、そのまま右の手首に左手を添え10m先の大岩を指差した。眉間にシワを寄せ、握り込んだ拳には力が入る。
「
オージがそう唱えると、彼の指から電撃が走り、そのまま大岩を貫いた。
「よし! 記録更新だ!! これでジーヤにも認めてもらえるかもしれない!」
オージは拳を握り、ガッツポーズをした。
「よーし、今日は、ちょっと本気出すぜ!!」
それから数時間オージは魔法の特訓を続けた。あたりはすっかり夕焼け色に染まっていた。
「ふぅ……ちょっと今日はやりすぎちまったぜ。」
オージは修業を終え、一息つこうと座り込んだ。
「強くなりゃ、みんなを守る王になれる…よな?」
オージは汗を拭いながら、木々の間を見上げてつぶやいた。
ゾワッ
「誰だ!」
休んだのも束の間、背後からあやしい気配を感じた。
オージは、すぐさま立ち上がり、背後の気配に指を向ける。すると、
「待って待って! 怪しいものじゃないよ!!」
物陰からオージと同年代ぐらいの少年がでてきた。
それから続けて
「私は今このあたりを旅してるんだが、道に迷ってしまって……そこで君を見つけたんだ。君があまりにも集中しているようだったから、声をかけづらくてさ、それより君の魔法すごいね! どうやって習得したの!?」と興奮気味に話し始めた。
が、オージは少年には目もくれず、鋭い目つきをしていた。
「静かに、お前に言ったわけじゃない。」
オージの視線の先には、体長3メートルはあろう野獣が牙を尖らせ、睨みをきかせていた。
「ギヤォォォン」
野獣はそのまま2人に襲いかかってきた。
「逃げるぞ!!」
オージは少年の手を引き、走り出した。
切り抜けようと必死に走る2人だが、少しずつ少しずつ猛獣との距離は縮まっていく。
「逃げるよりさっきの魔法を使ったほうがいいんじゃなかいか!?」少年がオージに問う。
「いくら野獣でも生き物だ、力の加減ができない俺の魔法じゃ致命傷になっちまうかもしれない。本来はこの森の生き物はみんな優しいはずだ。それに……」
「それに?」
「さっきの修業で、魔力は使い果たしちまった。」
迫る野獣。そんな中でも少年にはどこか余裕がある。
「それはとてもまずいね! でも君の心意気は素晴らしい!! 君! 名前は!?」
「オージだ! そんなこと言ってる暇があったら必死に走れ! あの光に向かって走れば森を抜けられるはずだ!!」
「うむ!!」
2人は、死に物狂いで走り、ようやく森をぬけた。
息を切らし、もう体力も限界を迎えようとしていた。
が、
「ウソだろ……」
2人の目に映ったのは広大な空と、広い森を見下ろす景色だった。崖である。
ついに2人は野獣に追い詰められてしまった。
野獣は牙を剥き出しにして、ヨダレを垂らしている。
「すまん、焦って村の方向を間違ったみたいだ。お前だけでも何とか逃がす。」
「それはお互い様だよ。この森に詳しい君なら僕がいなければ、野獣からも逃れられたんだろう?」
2人の額からは汗が流れ、拳にも力が入る。
二人のもとに一歩また一歩と、歩み寄ってくる野獣。2人は死を覚悟して、自然と歯を食いしばる。
「ここまでか……」
その時だった。
踏み出した野獣の一歩の重さに耐えきれず、岩盤にヒビが入った。野獣は危険を察知して、森の中に逃げ出していった。
「ふぅ、危なかったなぁ……」
「いや! マズイ!!」オージが声をあげた。
岩盤のヒビはそのまま、大きな亀裂となり、崖が崩れだした。
2人は崩れる崖から何とか助かろうともがいたが、抵抗虚しく、そのまま崖から落ちてしまった。