三機の鉤爪ビッグスーツは素早く散開してカリオとショウを一瞬の内に包囲する。
「お前たちは青い方、私は黒い方だ」
三機の内の一機、そのコックピットでちょび髭のパイロットが指示を出す。包囲した勢いのまま指示を受けた二機がショウ、ちょび髭がカリオに向かってそれぞれ飛び掛かる。
タァン!
ショウが飛び上がり二機の鉤爪を避けると、オールリの背の二機の装備が割れるように開く。ショウは空中で胸の前で両手を組んで人差し指を立てた――
ブォオオ!
「なんだ!?」
「か、風が……」
ショウを襲わんとしてた二機の周りで突如強風が吹き荒れる。暴風は巻き込まれた鉤爪ビッグスーツのボディを切り裂く。
ブシュゥ!
鉤爪ビッグスーツのコックピットでパイロットの皮膚が裂け、血が飛び散る。舌打ちして苦痛に顔を歪めるパイロット達。一体この不可思議な現象は何か!?
オールリの背の装備にその秘密はあった。貝状のこの装備はハイパーマイクロボット貯蔵タンク。このタンクに詰められたタイプのマイクロボットは様々な戦闘機能を備え、飛行も可能。
暴風の正体は高速で飛行する無数のマイクロボットであり、鉤爪ビッグスーツに高硬度の刃状の部品で斬りつけて攻撃していたのである。
それはビッグスーツの戦闘における、ある忍術の再現であった――
ショウの攻撃は実際、相手の虚を突いた。傷を負い、判断が遅れた鉤爪ビッグスーツより早く、ショウがヒート忍刀を振り抜く。忍刀は一機の鉤爪ビッグスーツの胸部を切り裂き、溶断された傷口が赤く光る。パイロットはコックピットで胸に斜めに刻まれた傷から大量に出血、鉤爪ビッグスーツがたまらず尻もちをつく。即死こそ免れたものの、実質戦闘不能に追い込まれた。
「このガキ……!」
体勢を立て直したもう一機がショウに飛び掛かる。
袈裟! 刺突! 逆水平!
鉤爪による連続攻撃をショウは巧みなステップとスウェーで
「甘いで!」
ガキィン!
鉤爪ビッグスーツの動きが止まる。ショウがヒート忍刀を左手の鉤爪の、爪と爪の間に差し込む形で防御したのだ。鉤爪ビッグスーツは右手側の鉤爪を振りかぶる。
ショウは忍刀から手を放し、素早く後ろに体を引いて鉤爪の攻撃を回避、空いた両手を胸の前で組んで再び印を結ぶ。
ボォ!
両者の間に赤く輝く火の玉が現れる。
「クソッ、また妙な……グワァ!」
ビッグスーツの胴体程の赤熱した球体は敵機に衝突する。激しい熱で鉤爪ビッグスーツのボディは一部が溶け、パイロットにも火傷を負う。ジュウッという音と同時にパイロットは苦悶の声を上げて身をよじる。
(ここや!)
大きく隙を見せる敵機、ショウは連続で拳を放つ。がら空きの胴体に無数の拳打を受け、鉤爪ビッグスーツは大きくバランスを崩す。
前のめりになった鉤爪ビッグスーツの頭部にショウのハイキックが直撃する。敵パイロットはその衝撃を受け、鼻血を出して力なくうなだれる。鉤爪ビッグスーツはひしゃげた頭部をスパークさせながら前に倒れた。
(最後の一機は、傭兵の兄ちゃんは……!)
ハイキックを決めて片足立ちの状態で、ショウは視線を最後の一機の方へ向ける。
横一文字! 逆水平! 真っ向! 逆袈裟! 袈裟! 刺突! 袈裟! 逆真っ向! 袈裟! 逆袈裟! 横一文字! 袈裟! 逆真っ向! 真っ向!
カリオとちょび髭の戦いは激しい乱撃の撃ちあいとなっていた。
(あの最後の一機……ワイの方に来た二機より出来る……!)
「む……!」
「しぶといな黒いの……」
カリオのクロジとちょび髭の鉤爪ビッグスーツのボディには、お互いの猛攻により無数の浅い傷が出来ている。コックピット内でも両者の身体に無数の切り傷が出来ていた。
「かますで兄ちゃん!」
ショウは二機の足元に爆発物を括り付けた三本のクナイを投擲する。
「お前またそれ……!」
カリオは慌てて飛び退く。
ドォン!
再び周囲に煙が立ち込める。
「目くらましにしても雑な、全く何のつもりやら……!」
ちょび髭も姿勢を低くして地面を蹴り、煙の中から抜け出す。視界が開けるとそこには――カリオのクロジの背中。
(好機……! 青いのはしくじったな、味方の邪魔をしおって!)
ちょび髭はカリオの背中に急接近し、鉤爪で貫く――!
ボゥン!
「!?」
ちょび髭は驚きのあまり目を見開く。鉤爪で貫いたと思った敵機が突如、煙となって
「分身の術。マイクロボットにカメレオンの真似事させてるとからしいんやけど、ようわからんねんな……まあ便利やしええか」
ちょび髭の機体の背後に影が迫る――カリオだ。
ビームソード・青月が青白い光の軌跡を描いてちょび髭の機体を斬り裂いた!
(メタル・ニンジャ・ショウタイム⑥へ続く)