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第3話 驚きと喜びでいっぱいの日々

さて、悪と呼ばれた令嬢の私アイリスも、

ダイゴくんの肉体に転生して日々を過ごしていくうちに、

何の見返りも求めない愛を理解できるようになってきました。

これは私にとって驚きの変化です。

この世界に来る前まで、私が感じたことのないものです。

あの頃は、何をしても悪とされてきましたから、

私は自分がいなくなることこそ善であると信じていました。

それが、ダイゴくんとともに生きていきますと、

何をしても褒められるのです。

大切にされるのです。

笑顔を向けられるのです。

抱きしめられますと、優しく触れられますし、

よい言葉をたくさんかけてもらえるのです。

ダイゴくんとともに、私は愛を感じているのです。

ダイゴくんという赤ちゃんが大事にされるのは当然なのかもしれませんが、

赤ちゃんを宝物として扱っている、

お父様もお母様も、周りの皆様も、

全てが愛に満ちているのだと感じています。

ダイゴくんからの見返りを求めた愛ではありません。

ただただ、皆様の心からの愛をダイゴくんにそそいでいるだけです。

なんと素晴らしいことでしょう。

ダイゴくんは毎日たくさんの愛を浴びて、

キラキラ笑いながら過ごしています。

同じ肉体にいる私にも、楽しいというイメージが伝わってきて、

とても嬉しくなります。

愛を注がれると、こんなにも幸せになれるのだと。

そして、愛を注ぐ皆様も、こんなに幸せそうなお顔をされていると。

見返りを求めない愛というものは、素晴らしいものであると理解します。

この世界にやってきて、ダイゴくんとともに生きられて、

私は毎日が幸せです。


ダイゴくんにはおばあ様がおられます。

車というもので少し移動した先に住まわれているようですが、

たまに、お父様とお母様と、ダイゴくんと訪問しますと、

おばあ様はお元気そのものの笑顔でお迎えしてくれます。

おばあ様のお歳はわかりませんが、

とてもお元気です。

おばあ様のお家で、ダイゴくんとハイハイをなされる様は、

若々しさに満ちております。

ダイゴくんはおばあ様が大好きなようです。

おばあ様のお顔を見ますと、ダイゴくんは満面の笑みを浮かべます。

私の魂にも、ダイゴくんの楽しいや幸せのイメージが伝わってきます。

おばあ様と言うことですから、

お歳は召しているのだと思いますし、

今は元気そのものでありましても、

元気でいられなくなる時がもしかしたらあるかもしれません。

お歳を召した方は、そのようなことがないとは言い切れないのです。

でも、おばあ様のはつらつとした笑顔を見ていますと、

ダイゴくんが大きくなるまで元気なおばあ様でいて欲しいと思うのです。

私が、赤ちゃんのダイゴくんを導いて、

みんなに愛されるこの世界の勇者のダイゴくんにするまで、

おばあ様には見届けていてほしいと思うのです。

ダイゴくんが大好きな、おばあ様には、

ぜひとも長生きしてもらいたいと願います。


つい最近、ダイゴくんにとって驚きの事態がありました。

お母様が髪を切られたのです。

ダイゴくんの中で、お母様ではないと見えたようで、

ダイゴくんは人見知りをされてしまいました。

ダイゴくんの中で私も、この方はお母様ですと言っても、

ダイゴくんのイメージの中では、お母様の姿と一致しないようでした。

お父様は、面白がられて、

もうダイゴくんの知るママはいないんだよと言って笑われました。

笑い事ではありませんと私は思いましたが、

お父様なりの御冗談だったのでしょう。

もしかしたらこのお父様は、賢い方であると同時に、

御冗談もたくさん述べられる方なのかもしれません。

お母様は、嘘つきのお父さんなどと、

お父様を評されております。

もしかしたら、私が知らないだけで、

ダイゴくんと私は騙されているのかもしれません。

とても賢い方が嘘をついたら、

私などでは嘘を見抜くことなどできません。

ダイゴくんを勇者にするにあたって、

私も賢くあらねばと思います。

お父様の言葉などをお聞きしつつ、賢くある術を学ぼうと思いますが、

嘘をつかれたのでしたらわかりません。

ダイゴくんが勇者になるには、

お父様以上に賢くあらねばなりません。

なかなかに、難しいことです。

お父様は幸いダイゴくんを心から愛されております。

この方は、敵に回してはいけない方なのかもしれないと思います。

また、このお父様とともに、ダイゴくんを愛しておられる、

お母様も偉大な方です。

お父様が生涯の伴侶として選ばれた方です。

なにより、ダイゴくんを産んだ方です。

偉大でなくてなんと言いましょう。

このお二方を越えてダイゴくんは勇者にならねばなりません。

愛される勇者への道は遠く、

親御様たちはとても偉大です。

壁として立ちはだかる以前に、

今は赤ちゃんであるダイゴくんを守る壁であるのだなと感じます。

偉大な壁は、未熟なダイゴくんを守ってくれています。

素晴らしく強い壁であると私は感じております。


ある時、お母様の車に乗せられ、

ダイゴくんは何かの建物にやってきました。

お風呂より大きな人工の池にダイゴくんとお母様は入ります。

どうやら教えてくれる先生がおられるようです。

私なりに理解したのは、この池で泳ぎを教えてくれるということでした。

池はプールと言うそうです。

こんなに幼い頃から泳ぎなどと思いましたが、

ダイゴくんはプールにも恐れることなく入り、

ハイハイで鍛えた足で水を蹴ります。

ダイゴくんは泳ぎの才能もあるのかもしれません。

ダイゴくんはお母様に支えられながら、

プールの中で浮かびます。

フワフワと浮かんでいるようでもあり、

ダイゴくんは支えが欲しくなってお母様の腕をつかみます。

お母様はダイゴくんの渾身の力を受け止めます。

少し痛そうでもありました。


ダイゴくんの日常はたくさんの驚きと喜びに満ちています。

それを幸せというのでしょうし、

この日常を包んでいるものを、

愛と言うのだろうと思います。

小さな身体にたくさんの愛を受けながら、

ダイゴくんは幸せに過ごし、ともに生きる私も幸せなのです。

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