未来先輩の手は俺の左手の4本の指を握る。
握られた手からじんわり先輩の温度が伝わってくる。ホッとするような‥‥‥‥。
「指先つめたい。緊張してる?」口元を緩めながら先輩がいう。
「う、うん。久しぶりすぎて‥‥‥‥。!!!」言い終わらないうちに先輩が指を絡めてくる。
ただソレだけで全身に電気が走ったような衝撃がくる。
そのまま、自分のほうに引っ張り俺を胸の中にいれ抱きしめ指を外し両手を背中に回す。
背中に回った手から先輩の温度を感じる。
「よく頑張ったな。龍輝。」耳元で言われただけでカミナリに打たれたような衝撃が全身に走るのを感じた。先輩に包まれて目から涙が溢れるのを必死に耐えた。
先輩が腕をとき向かい合うかたちになり先輩は笑って「泣けよ!」と言って頭をクチャクチャに撫ぜる。
「いやだよ。」と応えて笑う。
心地の良い空気が流れる。
「どうして、ここに??」
「うんー??稜輝に頼まれた。」
「兄ちゃん?一緒にいるの?」
「いないよ。稜輝は長年の片想いが叶って幸せに暮らしてるよ。」
「‥‥‥‥‥誰と?‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。‥‥‥‥‥‥‥‥やっぱりいい。幸せならいい。」
「うん。龍輝には申し訳ない。自分だけ幸せになって‥‥‥‥て言ってたぞ。」
「兄ちゃん‥‥‥‥‥。」涙が溢れる。
また先輩にクチャクチャに頭を撫ぜられる。
「俺をこの会社に入れてお前の秘書にして。」
俺には有り難い話、先輩にメリットはない。甘えていいのだろうか‥‥‥‥‥。先輩は兄ちゃんに負けず劣らず人望があり統率力があり‥‥‥たしか大会社に入社したと5年前に聞いた。
「俺は正直、助かる。けど‥‥‥いいの?」
「おー。お前と一橋商事を大きくしていきたい。」
いつもふざけている先輩が真剣な顔をしていた。
「よろしくお願いします」先輩に頭を下げる。
肩をポンポンとされて‥‥‥また、涙がながれる。
「泣き虫か?」っと笑う先輩を見て‥‥泣き笑う。
「俺はお前だけの味方だから。何があってもこの事だけはわすれるな。」
「先輩‥‥‥‥‥‥。」1番聞きたい事を聞くなら今だ!
「兄ちゃんと‥‥‥‥‥‥その‥‥‥‥‥。」言葉が繋がらない。
「フフフ。兄ちゃんとは??何?」顔をあげると意地悪い顔をした先輩がいた。
「その‥‥‥‥。元‥‥‥‥こ、こ、こい、び、びとだったりする?」はあー言えた。
「そうだったら、どうする??」
「‥‥‥‥‥‥‥。そうなんだ‥‥‥‥‥。」
「違う。そうだったら‥‥‥だよ!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「フッ。稜輝とは一度もない。もちろんカラダの関係も!!ただの親友。ずっと。」
「カカカカラダ‥‥‥‥‥。」
「なに赤くなってんの?」先輩は爆笑する。
「イヤっ‥‥‥‥‥。ヤッ。あ〜。」
「まぁ、その質問するって事は知ってると思うけど‥‥‥‥俺もゲイね!!」
先輩があっけらかんと言う。
「‥‥‥‥。うん。」
返事をするだけで精一杯だった。
「仕事の話は明日にして飲みに行こうぜ!」
「ちょっ。先輩!待って下さい。明日から社員で働いてもらうために、今できる手続きはしておきましょう!!!」
「フッ。さすが真面目くん。」っと笑う。