「あれ? なんか言ってたかしら?」
ジータは息無き司祭の顔を上げて、本当に死んでいるか確認し、死体を部下に運ばせた。
何かをしたがその何かは分からない。
そんな状況ではあるがジータ達によるリトル教殲滅作戦は成功で幕を閉じる。
***
バサラと
見渡せば見渡すほど、そこら中に敷き詰められている黄金と宝石を前に二人は目を輝かせる。
「こ、こ、これって! も、もしかして!」
「もしかすると!」
「
「ことでござるか?!」
両手をブンブンと振い、互いに喜びを分かち合うととりあえず、バサラは緊張の糸が切れたのか地面に座り込んだ。
「あはは! いやー! 僕一人じゃ絶対無理だった! ありがとう!
「こちらこそ! バサラ殿がいなければ飢え死んでおったわ!」
そんなことを言い合いながら
金品財宝が煌びやかに輝く中、一本だけ今まで見たことない
黒く染まった刀身に波打つように描かれた刃紋。漆黒の刃は遠目から眺めるバサラの姿が映っており、それは彼を待ち望んでいるかのように佇んでいた。
「おお! バサラ殿! この形! この刃! 正しく刀! 刀ですぞ!」
「ん? あ、うん、そうなんだ。あれが
「うむ? どうした、バサラ殿。体調が悪いのか?」
「あ、いや! そんなことないよ! 流石に、この
バサラの言葉を聞き、
「
「バサラ殿が見たがっているのであれば近づけようと思ってな。この金品に目を向けず、興味がないのにこれだけには興味を示した。なら、拙者は日の本の者。それが勝手に抜いたのであれば文句は言われんさ。それにしても、この刃、この氣、正しく妖刀の名が相応しいな」
「
「勿論だ! この刀、もしかしたらバサラ殿を待っていたのかも知れないぞ!」
黄金広がるその部屋に、混沌の孔が生じた。
黒紫の孔から一歩、二歩と這い出る
バサラ達から一定の距離があるが既に浮かれていた思考から切り替えられており、二人は構えた。
「
首としてでは無く、
そして、バサラも同様に動いていた。持っていた刀を投げ捨て、冷静さに欠けた自分らしくない速攻。そうしなければ
そんな中、
「うぐ」
苦しそうな声を上げるも首を断とうとする手は止めず、底無しの敵意を向けた。
その光景が過去に見た惨劇が重なり、一瞬にしてフラッシュバックする。バサラはそれがかつて自身が殺し堕とした者と同様の存在であることを理解し、彼は
首を絞められ、急に離されたことにゲホゲホと苦しそうにする
それを見て、腕を切られた混沌はバサラに怒りを向けた。
「おまえ、おれの腕を切ったか? この
ハスターと名乗る者はバサラを睨みつけると彼もまた睨み返し、普段の自分ではあり得ない強い口調で返した。
「知らねえよ。それよりもお前は今、俺の大切なモノを傷つけようとしたな? 切って当然だろう」