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#5

 テイルゲートの力を覚醒させたマイクはエレメントを発動し凄まじいエネルギーでカオス・レクスとアルフを吹き飛ばした。


「うぉぉぉっ⁈」


 アルフは後方に飛んでいくがレクスは踏ん張り耐えている。

 しかし前には進めない、それほどの力をマイクは放っていたのだ。


「テレサ、行こう」


 その隙にテレサを抱きかかえたマイクはサムエルの事も揺さぶって起こす。


「サムエル、起きろ」


 目が覚めたサムエルはマイクを見て驚愕していた。


「お前、それエレメント……?」


「話は後だ、なんか今すごい調子いい……!」


 一時的に凄まじい覚醒をしているだけである事は肌で感じていた、だからこそそれが切れる前にここから脱出するのだ。


「なんか機械に括り付けられてる間に無線外された! サムエル、連絡頼む……!」


 窓に向かって走りながらサムエルは無線で話す。


「テレサを取り返した、逃げるぞ!」


 他の仲間たちも戦いながらその無線を聞き外に出ようとする。

 ラミナは床を撃ち抜きそのまま下までショートカットをしカイルはジークを回収して階段を駆け降りる。

 そしてマイクとサムエルはそれぞれ入ってきた窓ガラスを破ろうとしていた。

 テレサを抱えながら走るマイクに背後からレクスが呼び止める。


「おい、マイクって言ったか」


 走るのは止めないが耳は澄ませる。

 レクスの言葉を聞いていた。


「これは戦いだ、綺麗事は通じない」


 その言葉は先ほどのやり取りを連想させる。


「お前らはどうせすぐ俺たちの所に帰って来る、今のうちにせいぜい楽しみな」


 その言葉の意味は分からなかったがマイクはひとまずガラスを破り外へ出た。


「はぁっ!」


 外へ飛び出し最上階から一気に落ちていく。

 サムエルは触手で下へと伝って行くがマイクはテレサを抱えたまま背中から何やらエレメントを出そうとしていた。


「どうすんだマイクッ⁈」


 下へ降りながらマイクを心配するサムエル。

 しかしその心配はすぐに必要なくなる。


「わぁ……」


 なんとマイクはエレメントで翼のような形を作り出しグライダーのように滑空し始めた。

 テレサはそこから見えるアストラルシティの夜景につい見惚れてしまう。


「なぁ、何で会ったばかりの俺に優しくしてくれるんだ……?」


「……分かってるでしょ?」


「あぁ、確かにな」


 そんなやり取りをしながら地面に着地するマイク。

 テレサを下ろすとサムエルや他の仲間たちも合流した。


「え、アンタ……!」


 エレメントを覚醒させている様子を見たラミナ達は驚きの声を上げる。

 しかしそんな暇はない、早くここから去らねばならない。


「早く行こう……っ」


 そしてその場から去ろうとする。

 そこへ一台のタクシーが到着した。


「っ……⁈」


 そのタクシーから降りて来た人物を見たマイクは衝撃を受ける。

 他の仲間たちが走って行く中、思わず立ち止まってしまった。


「やっぱりマイクか……?」


 降りて来たのはアレックスだった。

 リチャードもおり驚きながらマイクを見ている。


「アレックス……」


 二人はしばらく呆然としながら目を合わせていた。


「くっ……」


 しかし今は話している時間はない、思い切り飛び立ちマイクはその場から去って行く。


「待って!」


 追いかけようとするアレックスだったがリチャードが肩を押さえ静止した。

 そのままアレックスは月に向かって去って行くマイクを見ている事しか出来なかったのだ。





 慌てて走るマイクたち。

 何とか汚染区域の壁が見える所まで来た。


「早く裏口へ!」


 誰よりも焦っているのはサムエル。

 その理由はもちろん。


「みんな無事か……っ⁈」


 捕まった時に置いて来てしまったエリア5の家族たちが心配で仕方なかった。

 裏口を見つけてそこに入り奥へと進んで行く。

 そこから出ればすぐにエリア5へと到着するのだ。


「はっ、はっ……」


 いつものルートであるはずなのに長く感じられた。

 それほどまでに焦りと不安が襲って来ている。


「みんなぁっ!」


 そして遂にエリア5に到着した。

 声を上げて家族たちを呼ぶ。


「……っ?」


 しかし返事はない。

 みんな寝ているのだろうか、確かに夜は遅いが。


「おーいみんなぁ!」


 必死に叫ぶ。

 不安が募り爆発してしまいそうだった。


「クソどこだ、家にはいない!」


 家にしている建物を探すが誰もいない。

 どこにいるのか、寝ている訳では無さそうだ。

 サムエルとマイク、テレサの三人は共に探していた。

 あとは手分けしているのである。


「ん……?」


 すると奥の広場の方で何か炎が燃えているのを見つける。

 メラメラと燃えるもの、キャンプファイヤーでもやっているのだろうか。


「おい、みんな居るのか……?」


 何か嫌な予感がする。

 サムエルとマイク、テレサは恐る恐るそちらに近付いてみた。


「なぁ、大丈夫だよな……?」


 そして遂に辿り着く。

 キャンプファイヤーの正体が明らかとなった。


「〜っ」


 マイクは絶句してしまう。

 エリア5に来たばかりのマイクでもこのようになってしまうのだ。

 サムエルやテレサはどれほどショックを受けているだろう。


「お? マジか脱獄かよ」


 するとそのキャンプファイヤーの前にいた二人組のビヨンドが気付く。

 そして嫌々こちらに近付いて来た。


「もう消えちまったぜ、お前らの集落」


 その言葉の通り、キャンプファイヤーの正体とは。

 マイクも炎の中にある存在を見つける。


「あぁぁっ……」


 メラメラと燃えるケビン少年の顔がそこにはあった。

 彼らが捕まっている間、サムエルの心配通りエリア5は壊滅していた。






TO BE CONTINUED……

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