「ねえ。真美、VL辞めた?」
ランチタイム、突然由美ちゃんに聞かれて、焦ってしまった。
そういえば、由美ちゃんにすぐに辞めるって言った気がする。
まさか、下着まで男性に送っているなんて由美ちゃんには言えない。
でも、由美ちゃんに嘘はつきたくない。
「まだ、続けてるよ。お金も少しずって貯まってきたんだ」
「エロい依頼とかはない?
変なメールはこない?」
由美ちゃんが私の事を心配してくれてるのがわかるから、本当の事は言いにくい。
「たまにエロい依頼もあるけど、気をつけているから大丈夫だよ」
送ってるとは言えない、でも、送ってないと嘘もつきたくない。
あいまいな表現で誤魔化すことにした。
「冴。
冴は、嘘をつけないから、すぐにわかるよ。
どんどん依頼は過激になっていくよ。
辞めたくても、辞められなくなるよ」
「由美ちゃん。ごめん。
私、家族の為に本当にお金がいるの。
給料だけでは足りないんだ・もう少しVLを続けたい。
絶対危険な事はしないし、何かあったら必ず由美ちゃんに報告するから。
お願い」
「真美にお願いされると、ダメって言えないよ。
わかった。でも絶対、危険な事はしないでね」
由美ちゃんにわかってもらえて、ほっとした。
それから私は今まで通りVLを続けている。
モテる自分が当たり前になってきて、コメントもいつの間にか上から目線になっていく。
「宗男あんまりメールしてくれないと、もうメール拒否するよ」
宗男はまだ大学生。
周りの友達はみんな彼女がいるのに自分だけいない寂しさをVLのバーチャル恋愛で補おうとして
登録したらしい。
毎月月末になるとメールの数が急激に減る。
バイト料が入るまでお金がないんだと思う。
でも、宗男は所詮メールだけしかしてないんだからたいしてお金はかからない、
それなのに月末の度にメールが減る宗男にイライラを感じた。
「俺、お金しか考えない女なんて無理。
今日で真美子の指名やめるわ」
『あっ、そう。わかった。 さようなら!』
別に宗男みたいな貧乏人どうでもいい。
でも、気がつくと私を指名してくれている男性が少しずつ減っている。
私のせいじゃない、私の為にもっとお金を使えない男性が悪い。
「最近、真美変わったね、VLのせいじゃない?
前より、冷たい感じになったよ」
由美ちゃんに指摘された。心当たりがあるだけに何て答えたらいいかわからない。
「今までの真美は今みたいに上から目線で話す事はなかったよ」
由美ちゃんが悲しそうに私を見る。
VLを始めてから写真を投稿する為に服や化粧にも気を使うようになった。
自分でいうのもなんだけど垢抜けて綺麗になってきたと思う。
自分に自信もついてきた。
「由美ちゃん、私がモテるようになったから、ヤキモチやいてるの?」
由美ちゃんの言葉にイラッとして、意地悪く言い返した。
「私は優しい真美が好きだった。
今の真美は綺麗になったけど、前とは変わっちゃった。
ごめん。今の真美とは友達でいられない。
でもいつか真美が気づいて、元の真美に戻ってくれるって信じてる」
そういうと由美ちゃんは私から離れていった。
私が悪いの?
綺麗になることはいけないこと?
由美ちゃんの言葉の意味が少しもわからなかった。
由美ちゃんこそ、私に嫉妬してるんじゃないの?
もう由美ちゃんなんて、もういらない。
それからは、由美ちゃんとは会えば挨拶はするものの、前のように仲良く話すことはなくなった。
由美ちゃんの代わりに新しく出来た友達は、綺麗だけど人の悪口ばっかり言う怜ちゃん。
「あいつ、キモい。死ねばいいのに」
最初は抵抗のあった言葉も私も普通に使うようになった。