直輝さんはどんな人だろう。
ハンカチくらいで喜んでくれるんだから、真面目な人なんだろうな。
私がお金のためにVL彼女になったって知ったら軽蔑されるのかな。
「真美、誰かからメール?」
授業が終わった後、由美ちゃんが声をかけてきた。
少しだけ直輝さんの話をする。
「どんどん変な依頼が来るんじゃないの??
そんなアプリやめた方がいいよ」
由美ちゃんに忠告されたけど、まだお金も貯まってないから辞められない。
由美ちゃんにはあいまいな笑顔を向けて、「じゃ、今からバイトだからまたね」と言って教室を出る。
スーパーでのバイトが終わって家に帰ってから、直輝さんにメールをした。
ちなみに、女性から送るメールも検閲されるらしい。
《直輝さん。こんばんは♡
ハンカチ喜んでくれて嬉しいです。
また、依頼してね。
真美子》
すぐに直樹さんからメールが届いた。
メール交換をするだけで、どんどんポイントが増えていく。
直輝さんは、1日何通もメールをくれる。
私も暇な時はたわいもないメールを返している。
気がつくと、1時間以上メールが続く時もあった。
50円×40通
ただ、メールするだけで、1時間2.000円。
半額はVLが取っているから、直輝さんは4000円を払っていることになる。
ただのメールに1時間4.000円も払うなんて。
直輝さんは、お金持ちなのかな。
直輝さんのメールは仕事の話や趣味の話など話題が多岐に渡っていて、読んでいても楽しい。
いつの間にか直輝さんとのメールが日課になった。
『真美子、メールをしてるのは俺だけ?』
『もちろん。直輝さんだけだよ』
最初、メール交換しているのは直輝さんだけだった。
でも、その後、明さん、博さん、大地さんと、メール相手が増えてきた。
同じ時間に何人かとメールしていると、メールの返信速度が遅くなるから、他の人とメールしてるのがバレてしまう。
だから、なるべくいつも少し遅めにメールを返す様にした。
VLポイントは順調に貯まっている。
ランキング上位の登録女性とも友達になった。
美緒、凛、葵。そして以前から交流のある亜理紗。
登録男性が被っている事もあって、登録男性の情報をお互いに共有出来るメリットもある。
明さんは医者の息子。
私達5人とも指名されている。
私達が情報を交換して、みんなが指名されてるのを知っている事は、もちろん明には秘密。
澪はいつもBest5以内。
凛と葵もよくBest10位に入ってる。
亜理紗は15位くらい、そして私は30位。
彼女達に追いつきたい。
私は少しずつ露出度をあげた写真をアップするようになった。
「真美子、愛してるって言って」
「直輝さん、愛してる」
こんなメールが、昼夜問わず直輝さんから届く。
お金は欲しいけど寝不足になる日がある。
直輝さんが嫌だと思えば直輝さんの指名を外す。というボタンをクリックして、直輝さんをブラックリストに入れたら、2度と直輝さんからのメールは来る事はない。
直輝さんを拒否したいけど、お金が減るのは困る。
そして、直輝さんの事を少しは気になっている。