「おかえり。そしてお疲れ様」
ルウの部屋。
僕とケイはメインクエストのラストエピソードを迎えるため、ルウに会いに行った。
「いろいろイレギュラーがあって、一時はどうなるかと思ったけど、ここまでこれて良かった」
「頑張ったねヒロ。では私とのエンディングに進もうか」
「うん」
「じゃあ俺は一旦ルウの中に入るよ」
ケイがルウの中に入り、僕はルウと共にエンディングを迎える場所へ向かう。
エンディングの場所は神の間、
主人公が魔王を倒した後に、最も好感度が高い攻略対象の部屋を訪れると始まり、攻略対象に誘われて告白の場所へ向かう。
ちなみに好感度が5以上の場合はエンディング前に恋仲になることもあり、その場合はエンディングで別のイベントが発生する。
「私たちの間で告白は今更だからね。今日はヒロにおねだりをしようと思ってるんだ」
ステータスウィンドウを確認して見たルウの好感度はMAXのハート10。
魔王戦をクリアしたことで、最後の好感度アップが完了している。
「ルウがおねだりなんて珍しいね。何を望むの?」
僕は微笑んで答える。
何をおねだりされるかは知っているけれど、ここは知らない感じで話しておこう。
「知ってるクセに」
クスッと笑われてしまった。
それからルウは
「で、OKしてくれるのかな?」
「OKしなきゃクリアしないの分かってて言ってるよね?」
今度は僕が笑って言う。
もちろんそれを断るつもりはない。
「いいよ。多分それがケイを現実世界へ戻す方法だと思うから」
「じゃあ、これを食べて」
ルウが
僕は雛みたいに口を開けて、真っ赤なハート型の果実を放り込んでもらった。
甘酸っぱい果実は、サクランボみたいな味がする。
でも一般的なサクランボよりも粒が大きめで、糖度が高い。
贈答用の化粧箱に入ってる高級サクランボに近い味と形だ。
果実の中には種が1つ。
これを飲み込むことで、身体に変化が起きる。
「どう?」
「なんか、疼くような感じがする」
「触ってみてもいい?」
「う、うん……ひゃっ?!」
自分の身体に何が起きたかは、情報として知っている。
知ってるんだけど、ルウにそこを触れられた途端、ビクッとして変な声が出てしまった。
男性の身体に無いモノが、今の僕の身体にはある。
「OK、ちゃんと機能してるね。じゃあ……攻めるよ?」
「ど……どうぞ」
ルウが楽しそうだ。
つまり、それを食べた僕は今、男性でありながら女性の機能も備えた身体になっていた。
「今日はこっちの姿にしておくよ」
いつもなら行為に及ぶ際は少年の姿になるルウが、青年の姿で攻めてくる。
期間限定で存在する場所に、ルウが入ってきた。
初めてなのに痛みが無いのは、
やがてルウが解き放ったモノは、僕の胎内に新たな生命を宿した。
神様は呼ばれなきゃ出てこないので、気にしなくてOK!
30分後(多分)。
満足そうに微笑むルウの横で、普段は経験したことがない感覚に翻弄され続けた僕は果てていた。
ゼェゼェ息切れしていたら、ルウがいたわるように頬を撫でてくれた。
「
ルウの身体に憑依してしまったケイを、現実世界に連れ戻す方法。
それは、僕がルウとの子を胎内に宿してケイを憑依させ、一緒にログアウトすることだった。
「ケイはそっちに入ったよ。ログアウトしてみて」
「ありがとう。また会いに来るからね」
「うん、待ってるよ。次にログインしたらヒロは出産することになるけど」
「あはは……子供に会うの楽しみにしてて」
そんな会話を交わし、感謝のキスをして、僕はシステムウィンドウを開いてログアウトした。
ルウが時間操作をしてくれたおかげで、プレイタイムは5時間ほど。
ゲーム世界ではかなり長い期間を過ごしたけれど、現実世界では僕がログインした夜で、まだ夜明け前だ。
ケイが昏睡状態になっている期間としては3日、入院2泊目の深夜、消灯の時間帯で付き添いがいる個室だから、看護師が見回りに来ることは無いだろう。