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第1話 憧れのマドンナ


 俺、椿 千紘(つばき ちひろ)16歳の高校2年生。


 好きなことはアニメ鑑賞や、ゲームをすること。


 学校では、ボッチの陰キャの(以下略)で、騒がしい朝の教室にポツンと1人で座っている。


「(なんで俺、学校に来てるんだろう)」


 楽しそうな周りを見て思う。

 もの凄く羨ましくって、そして妬ましいって。


「(まぁ、俺が根暗だからいけないんだけどね)」


 人と話すことが昔から苦手だった俺。


「よろしくな、椿」

「よ、よろしく」

「椿ってどこ中?」

「そのっあのっ」


 クラスメイトに話しかけられた時、俺はうまく会話をすることができなかった。

 それがいけなかった。

 クラスメイトはすぐに「なんか悪いな」と謝ると、別のクラスメイトに話に行ってしまった。


「(何やってんだろう)」


 それからも何度か会話イベントはあったが、見事に撃沈……今に至るというわけだ。


「(はぁ、まぁしょうがない。俺はあと2年ボッチでも頑張るさ)」


 今は高校2年の5月。

 少しずつ新しいクラスに慣れてきたような時期。あと2年我慢すれば卒業だ。


「はぁ」


 俺はボッチだと周りに思われたくなくて。机に閉まったラノベを取り出した。

 "陰キャの僕がマドンナにキスされた"略してボクマド。大好きなライトノベルの一つだ。


 いつもボクマドを見るのが1日の日課だ。

 パラパラとボクマドを見る。こんな学生生活送りたかったなーっと羨ましがっていたその時、


「おい、あれ見ろよ」

「あっ小花衣ちゃんだ!」


「(えっ小花衣さん?)」


 バッと窓辺の席から外を見るとそこには、長い黒髪を靡かせた女子が歩いていた。

 その女子の顔は美しく、その女子が通るだけで周りの生徒は見惚れていた。


 スラッとした体、だが出るとこは出ていて……まるでモデルのようなスタイル。


「さすが乙丸高校マドンナ3のうちの1人!」

「ほんと、モデルみたい〜」


 周りが感嘆をあげる。

 その気持ち、俺にも分かる。


「(小花衣さん、綺麗だな)」


 俺の通う乙丸学園には3人の美少女がいた。

 その3人は互いに個性の違う美少女なのだが、そのうちの1人である小花衣さんは清楚な美少女。


 成績優秀、運動神経抜群、まさに模範的な優等生。

 明るく優しい性格から周りに好かれ、カースト上位に君臨している。


 そんなすごい彼女は俺と同じクラスで。


「(まるで、別次元の人間だよな)」


 俺は彼女に憧れると同時に、彼女へ好意を抱いていた。叶わない恋だって分かってるけどね。


 じーっと外にいる小花衣さんをみていると、不意に目が合った気がした。綺麗な黒色の瞳と目が合う。


 だがすぐにパッと目を逸らされる。それだけで、どうしようもなく胸がバクバクしてしまう。


「(あぁ、やっぱり彼女のこと好きだな)」


 この気持ちを伝える気はない。

 きっと大人になって、マドンナに恋をしたなって思い出す。そんな感じだろう。


「(もしも……)」


 もしも、俺がかっこよくて明るかったら小花衣さんに告白できたのかな?


「(なんて、いきなりイケメンになれるわけないけど)」





「ふふっ♪」



「はぁ、まさか雑用を任されるなんて」


 放課後の教室。

 俺は1人で帰る支度をしていた。


 というのもさっきまで担任の先生に、プリントをホッチキスでとめて欲しいと頼まれてやっていたのだ。しかも、2クラス分……。


 なんとか1人で全てやりおえ、今に至るというわけだ。


「早く帰って、ゲームしよ」


 外からは部活動の生徒たちの声が聞こえてくる。

 窓からはオレンジ色の夕陽が入り込み、教室を染めあげた。


 ついその光景に目を奪われ、ジッと見ていた時……ガラガラと扉を開く音が横から聞こえてきた。


 パッと振り向くと、そこにいたのは小花衣さんだった。小花衣さんは手に鞄を持っていて、俺を見てキョトーンとした顔をしていた。


「椿くん? 珍しいね、この時間にいるの」

「こ、小花衣さん」

「あははっそうだよ、小花衣だよ」


 小花衣さんと話すのは2度目のことだった。ってか小花衣さんがまさか俺のことを知っているだなんて。


 緊張する俺に対して、小花衣さんはというと俺の横を通り自分の席へと向かう。


「実はね、宿題。忘れちゃったんだ」


 困った顔で笑う小花衣さん。舌をぺろっと出す。優等生の彼女のおっちょこちょいな一面が見れた瞬間だった。


「(可愛いすぎるだろ!?)」


 僕の心臓はバクバクと音を立て、顔が熱くなった。


 放課後の教室。


 まるで漫画やアニメに出てくるようなシチュエーションだなって妄想したりして。


「(って何を考えるんだ俺は!?)」


 ブンブンと頭を振る。

 恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。


 小花衣さんはというと、その間に俺のそばに寄ってきた。しかも、俺の目の前に!!


「ねぇ、椿くん」

「ひゃい」

「椿くん。もしも、私が好きっていったらどうする」

「は、はい!?」


 心臓がさらにバクバクと高鳴る。

 い、いきなり何を言ってるんだ??


 きっと俺の目はグルグルになっていたと思う。


「(まさか、そんな訳。じょ、冗談だよな)」


 なんて考える俺に対して、小花衣さんは頬を染めて言った。


「私、実は椿くんのこと好きなんだ」


 困惑する俺。

 そんな俺に対して小花衣さんは、



「まぁ、断っても堕とすけど」

「へ?」


 次の瞬間、俺は壁際まで追いやられ壁ドンされていた。小花衣さんに……えっ???


「ねぇ、椿くん。私と付き合って、私の"子犬"になってよ」

「はい??」


 どういうこと???













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