「はぁ…はぁ…」
私は人目につかない路地裏まで逃げていた。人を殺していたからだ。私の後ろからくる少女の肩にあるマークは学院のものだ。つまり私を捕まえるために追ってきているのだろう。あの学院は今や警察に成り代わっている能力者組織だ。その強さは想像しなくてもわかる。そのとき一人の男が視界に入り足を止めた。
「お?俺のところに来るなんて…彼方は何をしてるんだか…えーっとこういうときどうすればいいんだ…」
「何を言ってやがる!」
目の前の男にも同じマークがある…戦って勝てるはずがない。
「ついてくるなよ!ついてきたら殺すからな!」
そんな捨て台詞を私は吐き捨てて逃げに専念するのだった。
-------------
目の前の男が逃げて3分後、彼方が後ろから走ってきた。
「何で取り逃がしてるんですか!」
「俺はお前と違って一般人なんだ。得体のしれない能力を持った奴に「ついてきたら殺すぞ」って言われたら、ついていかないだろ?」
「学院の学生として捕まえるのは当たり前の行動です!何でそんな脅しに屈してるんですか!」
「俺に死ねと申すか…」
「会話で足止めぐらいはできるでしょう!」
「会話する暇なかったぞ?それよりいいのか?今俺と会話して足止めされているのは彼方だぞ?」
その言葉を聞いた彼方はしまったという顔をして追いかけるのだが結局捕まえることはできず、手柄は別の生徒に手柄は取られたらしい。
俺はそれをかわいそうだな~と他人事のように思うのだった。